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24回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・固定資産(その1)


Q1 固定資産の調査のポイントとしてはどのようなものがありますか。

 固定資産の調査のポイントとしては次のようなものがあります


(1)固定資産の取得価額は適正か
  これが調査の際重要ポイントです。
  固定資産の取得価額の決定はその後の減価償却費の計算の基礎となるべきものであり極めて重要です。仮に固定資産の取得価額に含めるべき費用を支出時の損金としてしまうと、資産を取得した事業年度の所得計算に直接影響が及びます。

  したがって、固定資産の取得があった事業年度については必ずその計上された取得価額の妥当性が検討されます。


(2)耐用年数、償却方法は妥当か
  減価償却においては、法人の恣意性を排除するため、その耐用年数、残存価額、償却可能限度額、償却方法などの規定が詳細に定められています。これらの規定に従って、減価償却計算が適正に行われているかどうかが検討されます。


(3)減価償却費の計上そのものが妥当か(架空ではないか)
  書画骨董や電話加入権等の非減価償却資産や事業の用に供していない資産や稼働休止資産については減価償却費の計上は認められないが、計上していないかどうかを検討します。
  また、架空の減価償却資産を計上して架空の減価償却費を計上していないかというような不正計算の有無についても、検討します。


(4)固定資産売却損益の計上は妥当か
  期中に固定資産を売却している場合、その売却損益について、計上時期の妥当性が検討されます。また、売却価額及び譲渡原価が適正かということについても検討が行われます。


(5)グループ法人、同族関係者間における固定資産の売買取引価額は適正か
  これも調査の際の重要ポイントです。

  グループ法人や同族関係者間で固定資産が売買されている場合、恣意性が働きやすいため第三者との取引以上に取引価額が妥当かどうか検討されます。

  検討の結果、低廉譲渡や高価買入が行われていることが判明すると、寄付金課税や認定賞与等の問題が生じることになります。低廉取得の場合には受贈益計上の問題が生じることになります。


(6)除却損の計上時期は妥当か
  法人が計上した除却損については、その計上時期、計上金額は妥当かどうかが検討されます。また、有姿除却により除却損が計上されている場合には、今後通常の方法により事業のように供される可能性がないかどうかについても検討されます。

Q2 調査官はどのように固定資産について調査を展開するのでしょうか。

 おおむね、次のような点を中心に調査が展開されます。


(1)固定資産取得に係る関係書類の検討
  固定資産の取得価額の妥当性を確かめるため、契約書、見積書、請求書、納品書などを検討します。

  また、支払手数料、運送費、租税公課、雑費勘定等より、取得価額に算入すべき付随費用などが取得価額から漏れていないかどうか検討します。


(2)耐用年数、償却方法は妥当か
  法人が適用している耐用年数の適否については、耐用年数省令における耐用年数表を基に、場合によっては、現物確認、固定資産管理責任者等に質問するなどして検討を行います。

  償却方法の妥当性については、届出がされている償却方法により償却を行っているかどうか、税務上認められている償却方法以外の償却方法を適用していないかを償却方法の届出書等より検討します。

  また、期中に減価償却資産を取得した場合、事業年度の変更などにより事業年度が12カ月未満となった場合、償却方法を変更した場合などにおいて、償却限度額の計算が妥当かどうかを固定資産台帳等より検討します。


(3)償却開始時期の妥当性の検討
  減価償却資産については、その資産を事業の用に供した日から償却が可能になりますので、その減価償却資産が事業に供した日がいつかということを、契約書、納品書、検収書、運転日報、その資産により製造された製品などの流れ、資産取得代金の決済状況、現場担当者に対する質問等により確認します。


(4)少額減価償却資産に対する検討
  取得した減価償却資産が取得価額10万円未満の少額減価償却資産あるいは取得価額20万円未満の一括償却資産あるいは取得価額30万円未満の少額減価償却資産の損金算入特例対象とする減価償却資産に該当するかどうかは、通常1単位として取引される単位の価額で判定されます。

  少額な減価償却資産に該当するかどうかを、請求書や見積書、実際の使用状況を確認することにより検討を行います。


(5)特別償却制度適用の適否についての検討
  減価償却資産につき租税特別措置法による特別償却を実施している場合には、適用対象法人、対象資産、適用期間等が措置法の規定に抵触していないかを検討します。


(6)除却損計上時期、計上額の妥当性の検討
  除却損計上時期の妥当性については、実際に除却された時期がいつであるかを確認するため、稟議書、取壊費用や廃棄運賃に係る請求書・領収証、廃棄業者の証明書、スクラップ売却代金に係る領収証控え等から検討を行います。

  必要があれば、廃棄された資産が存在した場所の現場を確認したり現場担当者に対しても廃棄時の状況を質問するようなことも行われます。

  また、有姿除却が行われている場合には、除却損計上後のその資産の状況を確認するとともに、その計上額について、除却資産の帳簿価額からその資産の処分見込価額を控除して計上されているかどうかについても検討されます。


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第25回 科目別税務調査の目の付けどころ・・・固定資産関係(その2)

今回は、固定資産関係について否認を受けないための対応策、否認事例及び誤りやすい事例について紹介していていきたいと思います。


Q3 固定資産関係について否認を受けないための対応策について教えてください


A 固定資産関係について否認を受けないための対応策としては、次のようなものが考えられます。


(1)  取得価額に含まれる費用を確認すること


減価償却資産の取得価額には、原則としてその資産の購入価額だけでなく、購入に伴って発生する付随費用及びその資産を事業の用に供するための費用も含まれます。

 したがって、減価償却資産の取得価額の中に引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税、据付費、試運転費などが含まれているかどうかを確認する必要があります。

 また、固定資産購入に係る借入金利子、不動産取得税、特別土地保有税、新増設にかかる事業所税、登録免許税、建設計画変更により不要となったものに係る費用については、その費用を固定資産の取得価額に含めるかどうかは法人の任意であるとされています。ただし、いったんこれらの費用を固定資産の取得価額に含めた場合、翌期以降の事業年度で、改めてこれらの額を抜き出して損金処理することは認められません。


(2)  償却開始時期を確認すること

 減価償却費の計上は、その資産が事業の用に供された日以降に可能となります。
したがって、新規に取得した減価償却資産が、いつから事業の用に供されたかを明らかにし得る書類を用意しておく必要があります。具体的には、たとえば、機械装置であれば作業日報、運転日報、工具であれば受け払い簿、賃貸用マンションであれば入居者募集のチラシなどが挙げられます。


(3)  耐用年数、償却方法が妥当かどうかを確認すること

償却計算において各減価償却資産に用いる耐用年数については耐用年数省令における耐用年数表によっているか、中古資産の場合その耐用年数の算定は妥当かどうかということを固定資産台帳などにより確認する必要があります。

 また、償却方法についても、税務署に届け出た償却方法によっているかどうかを確認しておく必要があります。


(4)  除却時期を証明できる資料などを把握しておくこと

 除却損の計上は、原則として、事業年度内にその資産を現実に除却しなければ認められません。
 したがって、除却損の計上に当たっては、その資産の除却が事業年度内に行われたことを証明するために、廃棄業者などから業者の証明書、廃棄費用支払いにかかる請求書・領収書、マニュフェストなどを取っておくとともに、実際に除却した際の様子を日付入りに写真に撮って保管しておくことが必要になります。

 また、有姿除却を行った際は、その資産の使用を廃止しており、今後通常の方法により事業のように供する可能性がないということが明らかになる資料(機械運転日報、稟議書、有姿除却後の写真など)を備えておく必要があります。


Q4 固定資産関係については、どのような否認事例及び誤りやすい事例がありますか。


A 固定資産関係における否認事例及び誤りやすい事例としては、次のようなものがあります。


(1)  年の途中で取得した建物にかかる固定資産税相当額の支払額を、租税公課として処理していたもの

 この場合、前の所有者が負担した固定資産税のうち譲渡後の期間に対応する固定資産税相当額を買主が負担するというケースがよくあります。
 しかし、固定資産税は、あくまでも1月1日現在の所有者に対して賦課決定されるものであり、年の途中で固定資産を取得した所有者には納税義務は生じません。そのため、買主が負担した固定資産税相当額は、税務上、固定資産そのものではなく、取得した固定資産につき買主が固定資産税を納付することなく利用できる対価、すなわち、取得した固定資産の対価の一部であるという考え方をとっています。

 したがって、売買価額とは別に固定資産税相当額を受け取ったとしても、その固定資産税相当額は固定資産の取得価額に含めなければならず、租税公課として損金処理することはできません。

(2)  建物付き土地を取得し1年以内に建物を取り壊した場合、その建物の取得価額および取壊費用を損金処理していたもの

 通常、法人が建物を取壊した場合、その建物の取得価額及び取壊費用についてはその建物を取り壊した事業年度の損金として処理することが可能です。

 しかし、建物付土地を取得し、その取得後おおむね1年以内にその建物の取壊しに着手するなど「当初からその建物を取り壊して土地を利用する目的でその物件を取得したこと」が明らかであると認められる場合には、その建物の取得価額及び取壊費用は、その土地の取得価額に含めなければなりません。


(3)  自社制作のソフトウエアについて資産計上を行っていなかったもの

 従来、ソフトウエアはノウハウに準ずるものとして繰延資産として取り扱うこととされていました。しかし、平成12年度の改正により平成12年4月1日以降取得したソフトウエアが無形固定資産として取り扱われることになったことに伴い、従来、資産計上する必要がなかった自社制作のソフトウエアについても資産計上が必要とされています。

 その場合におけるソフトウエアの取得価額は、そのソフトウエアを制作するために要した原材料費・労務費・経費、及びそのソフトウエアを事業の用に供するための費用とされています。


(4)  稼働休止資産について減価償却を行っていたもの

 事業の用に供されていない減価償却資産について減価償却が認めらていないのと同様、稼働休止資産についても減価償却費の計上は原則として認められません。

 なお、その稼働休止資産について必要な維持補修がなされており、いつでも稼働できるような状態にある場合には、減価償却費の計上が認められています。


(5)  取得価額10万円未満の電話加入権を取得した際、少額であるという理由でその取得価額全額を損金処理していたもの


    土地、電話加入権、書画骨董などのように、減価償却が認められていない資産については、たとえその資産の取得価額が少額であったとしても、減価償却資産において認められている少額な減価償却資産に係る取扱い(少額減価償却資産、一括償却資産)は適用できません。

    ただし、書画骨董に該当するかどうか明らかでない美術品などで、その取得価額が1点20万円未満(絵画にあっては号2万円未満)であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができ、少額な減価償却資産に係る取扱いが適用可能であるとされています。


(6)  一括償却資産につき除却損を計上していたもの

 取得価額が20万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産に対する規定の適用を受ける資産を除きます。)を取得し、事業の用に供した場合には、それらの減価償却資産の全部または一部を一括したもの(一括償却資産)の取得価額の合計額の3分の1ずつを、事業の用に供した事業年度から3年間にわたって損金処理することができます。

 一括償却資産の損金算入限度額は、その事業年度中に事業の用に供された一括償却資産の合計額をもとに計算されるものであって、個々の資産ごとにそれぞれの限度額を算出するものではありません。また、その後の事業年度において、その資産を除却したり売却したりしたとしても、その時点で、未償却残高を全額損金とせず、資産の有無にかかわらず、毎期3分の1ずつ償却計算を続けていく必要があるとされています。


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今回からは有価証券について税務調査における対応策などを述べていきたいと思います。


Q1 有価証券勘定の調査ポイント何ですか。


A 有価証券の調査ポイント及び調査の進め方は次のようなことが考えられます。


(1)  簿外の有価証券がないか
 まず、簿外の有価証券が存在しないかということを、有価証券の現物確認、保護預かり証書、株式発行会社の配当金支払調書などから検討します。


(2)  有価証券の取得価額は妥当か
 また、有価証券勘定については、その取得価額の計上は妥当か、有価証券の取得価額に含めるべき費用を損金として処理していないかということについても調査のポイントになります。

 その取得価額の妥当性は、証券会社からの資料、支払手数料勘定などから調査をします。


(3)  有価証券の区分は適正になされているか
 税務上、有価証券は①売買目的有価証券、②満期保有目的有価証券、③その他有価証券の3つに区分されます。

 また、その期末評価は、①の売買目的有価証券については時価法により、②満期保有目的有価証券と③その他有価証券については、原価法により評価を行うこととされています。

 調査の際は、法人がこのような区分を正しく行い、それぞれの区分に応じた評価を行っているかどうかが検討されます。


(4)  有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出は妥当か

 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法が、税務署に届けられた算出方法によっているか、また、期中の有価証券増減数量が有価証券台帳などに正しく記帳され、有価証券一単位当たりの帳簿価額の計算が正しく行われているかどうかが調査されます。


(5)  有価証券譲渡損益の計上時期は妥当か
 有価証券を譲渡した場合の譲渡損益は、その譲渡にかかる契約(約定)をした日の属する事業年度に計上する必要があります。

 税務調査においては、証券会社委託分については売買報告書、相対取引については、売買契約書等により、その契約(約定)日がいつかを調査し、法人が計上した有価証券に係る譲渡損益の計上時期の妥当性が検討されます。


(6)  有価証券評価損について、その計上根拠や計上額は妥当か
 有価証券の評価損は、その時価が著しく低下した等、一定の事実がなければ認められません。

 法人が有価証券につき評価損を計上している場合、評価損計上の要件を満たしているか、また満たしているとした場合、評価損の額の計上の基礎となった時価の評価は妥当かということが調査の対象となります。


Q2 有価証券勘定について否認を受けないための対応策を教えてください。


A 有価証券勘定について、否認を受けないための対応策としては、次のようなものが考えられます。


(1)  有価証券の取得価額の妥当性の検討
 有価証券を購入した際に証券会社が発行した株式購入に係る資料より、取引価額及び購入手数料等の購入のために要した費用がその取得価額に含まれているかどうかを確認します。

 また、相対取引の場合は、購入に係るあっせん手数料や謝礼金等が取得価額に含まれているかどうかを確認します。

 補足ながら、有価証券取得に係る名義書換料、通信費、交通費、外国有価証券の取得に際して徴収される有価証券取得税等の税金は有価証券の取得価額に含めないことができます。

 また、公社債を購入した際に支払われる、直前の利払期から購入時までの経過利子相当額(端数利子)についても取得価額に含めず前払金として経理しておき、利払期に受け取った利子と相殺することができます。


(2)  有価証券の区分の妥当性の検討
 有価証券が①売買目的有価証券、②満期保有目的有価証券、③その他有価証券の3つに適正に区分されているかを、その有価証券の保有目的により確認します。

 なお、有価証券を取得した際、帳簿書類に売買目的有価証券である旨の表示をしてしまいますと、税務上その有価証券は売買目的有価証券であるとされてしまい、毎期末に時価評価する必要が生じるので注意が必要です。


(3)  一単位当たりの帳簿価額の算出方法の検討
 税務署に届け出た算出方法を確認するとともに(届け出がない場合には移動平均法による)、その方法により適切に一単位当たりの帳簿価額が算出されているかを、取得価額、期中における取得数量、売却数量を把握した上で確認します。

(4有価証券売却損益の計上時期の妥当性の検討
 有価証券譲渡にかかる売買報告書、売買契約書などにより、有価証券譲渡損益を計上すべき日を確認します。
 特に期末前後に計上された譲渡損益については注意が必要です。


(5)  有価証券評価損について、その計上時期、計上額の妥当性の検討
 有価証券につき評価損を計上する場合、その対象となる有価証券が上場株式である場合には、①株式の時価が著しく(おおむね50%相当額)低下し、かつ、②将来においてその価額の回復が見込まれない状況であったということを説明できるように準備しておく必要があります。
 また、非上場株式の場合も、(ア)発行法人の資産状況が悪化し、(イ)これに起因して有価証券の時価が著しく低下したという事実がなければ評価損計上は認められませんので、そのような事実が生じていたかどうかを確認しておく必要があります。


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今回は前回に引き続き、有価証券勘定における否認事例及び誤りやすい事

例につき紹介していきたいと思います。

 

 Q3 有価証券勘定における否認事例、誤りやすい事例にはどのようなもの

がありますか。


 有価証券勘定における否認事例及び誤りやすい事例としては、次のような
のがあります。
 

 1有価証券の譲渡契約(約定)を期末までに行っているにもかかわ

らず、その有価証券の売却益を、その有価証券の引渡日である翌期に計

上して いたもの 

 

 有価証券の譲渡損益の計上時期は、証券会社を通じて行うものも、相対 

引によるものも、 企業会計と同じく、原則として、売買等の契約(約定) 

成立した日に行うこととされて いますので注意が必要です。

 

 

 これは、有価証券受渡し不履行のリスクが極めて低いこと、時価の変動 

スクや発行者の財産状態等に基づく信用リスク等が約定日から買手側に 生じ

ること等の理由によるものです。

 

 

2有価証券につきクロス取引を行って含み損を実現させていたもの   

 

 

 利益調整等を目的として、保有している有価証券の含み損を実現させるた

 めに、その有価証券を売却して譲渡損を計上し、その後、直ちに売却先から

 売却した 有価証券を買い戻すというクロス取引が行われる場合があります。

 

 このような、いわゆる有価証券のクロス取引を行って譲渡損を計上したと

 しても、税務上、その取引はないものとして取り扱われますので注意が必要

 です。

 

 

 なお、クロス取引に係る税務処理の詳細については回を改めて述べること 

にします。
 

 (3)上場有価証券の時価が単に取得価額の2分の1に下落したというだけ

で、その有価証券につき評価損を計上していたもの  

 

 

 上場有価証券について評価損の計上が認められる要件である、「有価証

券の 価額が著しく低下したこと」とは、

   その有価証券の事業年度終了の時における価額が帳簿価額のおおむね 50

相当額を下回ることとなり、かつ、  

② 近い将来その価額の回復が見込まれないこと

をいいます。

 

 

 したがって、期末においてその時価が、単に取得価額の2分の1に下落した 

いう理由だけでは評価損の計上は認められず、回復の可能性をも検討する必 

があります。

 

 この、回復が見込まれないかどうかの判断は、過去の市場状況の推移、発行

 法人の業況等も踏まえて、その事業年度終了の時に行うこととされています。

 

 

  (4)債務超過の状態を改善するために増資払込を行った有価証券につき、

その増 直後に評価損を計上していたもの   

 

 

 債務超過の赤字会社に対して増資払込を行った場合、その増資は、当面の業

 の回復を期待して払込みが行われたものであるとして、その有価証券に対す

る評 価損の計上は認められていません。

 

 ただし、その増資から相当期間を経過した後(少なくとも12年を要すると

 考えられています)に改めて業況が悪化したような場合には、評価損の計上が

認 められる余地は生じます。

 

(5)企業支配株式における企業支配対価部分についても評価損を計上してい

たもの  

 

 法人の有する企業支配株式等(その法人の発行済株式数の20%以上を保有し

てい る株式等をいいます)の取得価額のうち、その株式の通常の価額を超えて

取得した 部分の金額、 すなわち、企業支配の対価と認められる部分の金額につ

いては、 その株式の保有を通じて 企業支配の状態が存続している限り、その価

値に変化 はないものと考えられています。

 

 したがって、その部分についての評価損は認められませんので注意が必要です。

 

 

   (6)有価証券につき低価法を適用し、評価損を計上していたもの  

 

 従来、上場有価証券について認められていた低価法による評価は、平成12年度

 税制改正により廃止されています。

 

 

   現在は、有価証券の評価方法は移動平均法又は総平均法による原価法しか認め

 れていま せんので注意が必要です。

 

 

  (7)単に翌期に売却が予定されているというだけの理由で保有していた有価証券

を売 買目的有価証券であるとし、時価評価して評価損を計上していたもの 

 

 有価証券はその保有目的により、

 ① 売買目的有価証券

 ② 満期保有目的等有価証券

 ③ その他有価証券

 に区分されますが、そのうち、

 ①の売買目的有価証券については、期末に時価評価が必要 とされます。

  売買目的有価証券とは、短期的な価格変動 を利用して利益を得る目的

で特定の取引勘定を設けて、専門部署にいる取引専担者が日常的に売買

を行うために取得した有価証券などをいいます。 

 

 したがって、単に翌期に売却が予定されているだけでは、「売買目的

有価証券」には該当せず、期末に時価評価することは原則として認め

られません。 

 

(8)売買目的有価証券が企業支配株式等に該当することとなった場合に、

その有価証券を時価により評価替えしていなかったもの  

 

 有価証券につき次のような区分変更が行われた場合には、いったん変更前

の区分の有価証券を時価(又は簿価)で譲渡し、区分変更後の有価証券を取

得したとみなす処理(みなし譲渡)を行う必要があります。

 

  売買目的有価証券が企業支配株式等(満期保有目的等有価証券)に該

することとなった場合

  ⇒時価でその株式を譲渡し、満期保有目的等有価証券を取得したものと

   みなす

 

 ② 売買目的有価証券を保有している場合で、短期売買目的で有価証券の

売買をう業務の全部を廃止した場合 

 ⇒時価でその有価証券を譲渡し、満期保有目的等有価証券又はその他有価

証券を取得したものとみなす

 

 ③ 企業支配株式等(満期保有目的等有価証券)が企業支配株式等に該当

しないこと となった場合

  ⇒ 簿価でその有価証券を譲渡し、売買目的有価証券又はその他有価証

券を取得したものとみなす

 

 ④ その他有価証券が企業支配株式等に該当することとなった場合

 ⇒簿価でその株式譲渡し、満期保有目的等有価証券を取得したものとみなす

 

 ⑤ 法令の規定に従って、新たに短期売買業務を行うこととなったことに伴い、

その他有価証券を短期売買業務に使用することとなった場合

  ⇒時価でその有価証券を譲渡し、売買目的有価証券を取得したものとみなす

 

 

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Q1 クロス取引とは何ですか

  A クロス取引とは同一の有価証券について、同一の価額で、同一の数だけ、

売りと買いを同時に行うような取引をいいます。  例えば、企業が、帳簿価

1200円、時価1150円の株式〈含み損のある株式)1万株を保有してい

る場合、その株式を時価である150万円で売却して50万円の譲渡損を計上さ

せると同時に、同じ株式1万株を150万円で購入するような取引がこれにあた

ります。 

 逆に、帳簿価額が1150円、時価が1200円の株式(含み益のある株式)

1万株を200万円で売却して50万円の譲渡益を計上させると同時に、同じ株式

1万株を200万円で購入するような取引もクロス取引にあたります。

 

 

 クロス取引は、決算対策上、長期保有する有価証券の含み損や含み益を損益

として表面 化させたい場合などに用いられますが、企業会計上、このような

クロス取引は、有価証券 を売買したことにはあたらないものとされています。 

 

 

Q2 クロス取引の税務上の取扱いについて教えてください 

A 税務においても、

(1)同一の有価証券が売却の直後に購入された場合で

 その売却先から売却した有価証券の買い戻しや再購入をする同時の契約

があるとき (証券会社を通じて市場を通して行われるような場合も含まれま

す)は、売却した有価証券のうち買い戻し又は再購入した部分の有価証券の

売却はなかったものとして取り扱われます。

 

 したがって、税務上、このような取引により譲渡損を計上している場合は申

告加算(留保)、譲渡益を計上している場合は申告減算(留保)する必要がありま

す(ただし、売買目的有価証券の売却については除かれています) 

 

 なお、「同時の契約」がない場合でも、

 これらの取引があらかじめ予定されたものであり、かつ、(2)売却価額と購入

価額が同一となるように売買価額が設定されていたり、売却代金の決済日と購

入代金の決済日との間の金利調整のみを行った価額となるように取引金額が設

定されている場合 は「同時の契約」があったものとされます。 

 

 また、先に有価証券を購入し、直後に売却 が行われた場合でも、同様の実態

にあるものは、取引がなかったものとして取り扱われます。

 

  Q3 クロス取引に伴い支出した費用はどうなりますか

A クロス取引に伴い支出された委託手数料などの費用は、税務上、有価証券の売買が

なかったものとされるため、その有価証券の取得価額に含めず損金処理することになり

ます。

 

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Q1 租税公課の調査のポイントとしてはどのようなものがありますか。また、調査はどのように進められますか。

租税公課の調査ポイント及び調査の進め方としては次の様なものが考えられますのでこれらに対処するために事前のチェックが必要です。

(1)損金算入が認められていない租税公課を損金算入していないか

税金や罰課金等、国や地方公共団体等に納める租税公課については次の表1のように税務上損金算入が認められないものとそうでないものがあります。

≪表1≫

 損金算入が認められない租税公課

損金算入が認められる租税公課 

 法人税

都道府県民税

市町村民税

各種加算税

延滞税

延滞金(納期限の延長に係るものを除く)

印紙税の過怠税

罰課金

交通反則金

法人事業税

印紙税

登録免許税

固定資産税

都市計画税

不動産取得税

自動車税

自動車取得税

自動車重量税

 

税務調査においては法人が納付した租税公課について、申告加算などの申告調整が適正に行われているかどうかが検討されます。

(2)租税公課の損金算入時期は妥当か

また、損金算入が認められている租税公課の損金算入時期は、原則として次の≪表2≫のようになり、その租税公課が申告納税方式、賦課課税方式、特別徴収方式のいずれであるかにより、その損金算入時期がそれぞれ異なります。

税務調査においては、その損金算入時期の妥当性が申告書、賦課決定通知書、更正又は決定通知書、納付書等より検討されます。

≪表2≫

方式   内容  損金算入時期
 申告納税方式

事業税

酒税

事業所税 等

・申告書が提出された日の属する事業年度

・更正、決定のあった日の属する事業年度

賦課課税方式 

固定資産税

不動産取得税

自動車税 等

・賦課決定のあった日の属する事業年度
特別徴収方式

ゴルフ場利用税

軽油引取税 等

・申告の日の属する事業年度

・更正、決定のあった日の属する事業年度

(3)個人的に負担すべき租税公課を法人が負担していないか

調査官は、法人が計上した租税公課の内容を検討し、代表者等個人が本来負担すべき租税公課を法人が負担していないかどうかといった誤りについても検討します。特に、固定資産税、交通反則金、罰課金等にはその誤りが多く見受けられます。


Q2 租税公課における否認事例、誤りやすい事例にはどのようなものがありますか。

よく見受けられる事例としては、以下に掲げるような交通反則金、罰課金、固定資産税に関連するものを中心に、様々なものがあります。ここでは、代表的なものを挙げておきます。

(1)法人の業務と関連しない行為により課された交通反則金を法人の損金としていた事例

法人が負担した交通反則金は損金不算入とされますが、商品配達中の交通反則金など法人の業務と関連する行為により課されたものに限られ、法人の業務に関連しない行為などにより課されたものについては、課された役員又は使用人に対する給与(賞与)として取り扱われます。 なお、交通反則金の税務上の取り扱いの詳細については次回お伝えします。

 

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交通反則金の取扱いについて
1 罰科金の損金不算入

  法人が納める罰金、科料などの罰科金は、反社会的な行為に対する制裁的の意図を

   もって課されるものです。これらの罰科金について損金算入を認めてしまうと、その分

   法人の税負担が少なくなり、罰科金の効果が減殺されてしまいます。したがって、これ

   らの罰科金については、税務上、損金の額に算入されないこととされています。

 

  2 法人が負担した交通反則金の取扱い 

    交通反則金は、法人そのものに課されず、その法人の役員や使用人個人に対して課され

   るものです。 そのような交通反則金などの罰科金等を法人が負担した場合の処理につい

   ては、次のように定められています。    

   (1) その罰科金等が法人の業務の遂行に関連してされた行為等に対して課されたもの

        である場合  

   ⇒ 個人的な費用ではなく、法人の費用として認められますが、損金の額には算入されま

       せん。これは、法人の業務に関連して発生した罰科金等を法人が負担するのは、一

    般的に法人の使用者責任に基づくものであり、そのような場合、経済的に法人の罰

    科金と同様に取り扱うという趣旨によるものです。

  (2) その罰科金等が法人の業務に関連しない行為等に対して課されたものである場合  

   ⇒ 課された役員または使用人に対する給与(賞与)として取り扱われます。 

 

 3 通反則共済掛金の損金不算入

   なお一定の掛金を支払って会員になると、会員が交通違反を犯した場合に、交通反則金

   の支払いを会員に代わって行ってくれる交通反則共済制度というものがあります。この共

   済に係る掛金や入会金については、交通反則金を法人が直接支払った場合と同じく損金

   不算入となります。

 

 4 レッカー移動料等の徴収金の取扱い

   駐車違反などの交通違反に伴い納付するレッカー移動料、車両保管料等の徴収金は、車

   両の移動、保管等の実費を車両の運転者等に負担させるものです。これらの徴収金は損

   金不算入とされる罰科金には含まれておらず、法人の業務の遂行に関連してされた行為

   に対して課されたものである場合には損金算入となります。

 

 5 消費税の取扱い

   最後に、消費税の仕入税額控除についてですが、支払った交通反則金について仕入税額

   控除が認められないのはもちろん、レッカー移動料等の徴収金についても、往来の妨げと

   なる違法駐車車両を移動しなければならなかったことに対する一種の損害賠償であるという

   理由から、仕入税額控除が認められません。その取扱いは、法人税より厳しくなっています

   のでご注意ください。

 

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Q2 否認事例及び誤りやすい事例

 

 前号のQ2()に続き、代表的な例をご紹介します。

 2)印紙税における過怠税の一部しか損金不算入としていなかったもの 
 損金不算入となる印紙税の過怠税の額は、納付しなかった印紙税額と納付し
かった印紙税額の10%(又は200%)相当額の合計額(すなわち印紙税
の1.1倍又は3倍)です。

ところが、過怠税の範囲を誤り、納付しなかった印税税額の10%(又は20
0%)相当額のみが過怠税であるとして損金不算入額を計算する事例が見受け
られますので、注意が必要です。 
 

 (3)裁判手続を経て外国で課された罰科金等を損金算入していたもの
 外国で課された加算税や罰科金等については、わが国の加算税と類似するも
であっても損金算入が認められています。
その理由としては、必ずしもその内容が明らかでないことや、他国におけるペ
ナルティの効果を損金処理により減殺させても国内における適正な申告を求め
ることへの妨げにはならないこと等があげられます。

ただし、外国やその地方公共団体が課する罰金や科料に相当するもので裁判手
続(刑事訴訟手続)を経て課されたものや、いわゆる司法取引により支払われ
たものについては損金算入が認められないこととされています。
 

 (4)法人税の還付金に係る還付加算金を益金不算入としていたもの
 法人税の還付金そのものは、納付した法人税が損金不算入であるのと対応
て益金不算入とされています。
しかし、還付加算金は預金利子と同様の性格を持つものですから、益金不算入
とはされません。
還付金と還付加算金は合計されて振込入金があるので、経理処理の際、還付通
知書等により両者を区別しておく必要があります。


(5)製造原価を構成しない事業所税につき申告がされていないにもかか
わらず未払い計上し損金処理していたもの
 事業所税は、東京都や大阪市など一定の大規模な都市(政令指定都市等)に
いて、法人や個人の行う事業に対し、その事業所の床面積や従業員給与総額
課税基準として課される租税です。その主旨は、都市環境の整備に要する費
に充てるためとされています。

事業所税は損金算入が認められる申告納税方式の租税であり、原則として、事
業所税の申告書が提出された日を含む事業年度において損金算入が認められる
ことになります。
したがって、申告されていない事業所について、未払い計上することは認めら
れません。

ただし、事業所税のうち、工場に係るものなど、製造原価を構成する事業所税
については例外的に、申告期限が未到来であっても、法人が損金経理により未
払い計上した金額についてはその処理を認めることとされています。
これは、販売費及び一般管理費として計上される租税と異なり、製造原価に含
まれる租税については、売上との対応を重視する必要があること、製造活動に
係る事業所税を製造原価等に含めることは、広く一般に行われていることなど
の理由によるものです。


6)不動産購入時に支払った前所有者が負担していた固定資産税の精算
分を損金処理していたもの

 固定資産税は毎年1月1日現在の固定資産の所有者に対して賦課されます。
したがって、年の中で固定資産を取得した場合、前の所有者が負担した固定資
産税のうち譲渡後の期間に対応する固定資産税相当額を買主が負担するという
ケースがよく見受けられます。

しかし、固定資産税は、あくまでも、毎年1月1日現在の所有者に対し賦課決
定されるものであり、年の途中で固定資産を取得した所有者には、納税義務は
生じません。
そこで、法人税においては、買主が負担した固定資産税相当額は、固定資産税
そのものではなく、取得した固定資産につき、固定資産税を納付することなく
利用できる対価、すなわち、取得した固定資産の対価であるという考え方をし
ています。

また、買主は固定資産税相当額を売主に支払わなければ、その固定資産を取得
できない契約であるとすれば、固定資産税相当額の支出額は、いわば、固定資
産を取得するために要する費用であるという考え方もできます。
したがって、固定資産税相当額を売買価額とは別に支払ったとしても、その固
定資産税相当額は、固定資産の取得価額に含めなければならず、租税公課とし
て損金処理はできないということになります。

一方、売主側も、この固定資産税相当額は、売主が負担した固定資産税の控除
額としてではなく、固定資産の譲渡対価に含めるべきものとして取り扱わなけ
ればならないということになります。
したがって、消費税において、建物に係る固定資産税相当額については消費税
における課税取引に該当します。
 

 (7)社会保険料滞納により納付した延滞金を損金不算入としていたもの
 法人税法においては、損金不算入となる租税公課を限定列挙して定めていま
す。

 具体的には、表1に揚げる租税公課が損金不算入になるとされています。
社会保険料や労働保険料の滞納にかかる延滞金は、これら列挙されている租税
課には含まれていませんので損金算入が可能です。

《表1》

  損金不算入となる租税公課 
1  法人税(延滞税、加算税を含み退職年金等積立金に対する法人税を除く)
2  公益法人に課される贈与税、相続税
3  法人税以外の国税に係る延滞税、加算税、印紙税の過怠税
4  都道府県民税、市町村民税(都民税を含み退職年金等積立金に対する法人税に係るものを除く)
5  地方税法の規定による延滞金(納期限の延長に係る分を除く)、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金
6  罰金、科料、過料
7  国民生活安定緊急措置法の規定による課徴金、延滞金
8  独占禁止法、公正取引法の規定による課徴金、延滞金
9  第二次納税義務に係る納付税額
 (10)  法人税額から控除、還付される所得税額、外国税額
 (11)  地方消費税に係る延滞税、加算税

(8)道府県税から控除されなかった利子割相当額を損金不算入としていなかったもの
 利子等の支払いを受ける際に徴収される道府県民税の利子割は、法人税に
て所得税額控除の対象とする源泉所得税(15%)、復興特別所得税(0.315%)と同様、元本の所有期間に
対応する部分についてのみ、申告の際に道府県民税から控除されます。
しかし、利子割は、その金額が道府県民税に該当するため、法人税法上、利
金額が損金の額に算入されないことになります。したがって、利子割のうち
元本の所有期間に対応しない部分、すなわち道府県民税の控除対象とできない
部分についても損金不算入とされます。

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Q1. 繰延資産についての目のつけどころ   

  繰延資産の調査のポイントには、どのようなものがありますか。また、調査はどのように進められますか。  

A.   繰延資産の調査ポイント及び調査の進め方としては次のようなものが考えられ、調査をうける法人側もこのような調査ポイントに対応した事前チェックが必要となります。

 

 

 

 

  (1)繰延資産に計上すべきものを損金算入していないか


     法人が支出する費用のうち、その支出の効果が1年以上に及ぶ次の費用については繰延資産として計上し、償却期間にわたり償却計算を行わなければなりません。

①   自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
②   資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立退料その他の費用
③   役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
④   製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
⑤   その他、自己が便益を受けるために支出する費用 

 

 税務調査においては、法人が損金処理した支出のうち、税務上繰延資産に該当するものはないかどうかにつき、経費帳、請求書、領収証、契約書、稟議書等から検討が行われます。

 

 

 (2)繰延資産の償却においてその償却期間は適正か


  会計上の繰延資産については、随時償却が認められていますが、税法固有の繰延資産については、それぞれの償却期間が法人税基本通達により定められています。

 税務調査においては、その償却期間が適正かどうかということも検討されます。 
  特に、公共的施設等の負担金、建物を賃借するために支出した権利金等に係る償却期間の適否が、調査ではよく問題となります。 

  (3)繰延資産の償却開始時期は適正か

 
 
 
 
 
 また、繰延資産の償却開始時期が妥当かということも調査において検討されます。

  繰延資産の償却開始時期は、原則として、繰延資産となる費用の支出をした日となります。

 ただし、公共的施設や共同的施設の負担金(その施設の建設等に着手した時から)や建物を賃借するために支出した権利金(その建物を賃借した時から)のように、その償却開始時期が支出した日より後となる場合のものもあり、注意が必要です。

 また、分割払いにより支出した繰延資産の償却についても誤りが多いため、その適否が検討されます。

 

 Q.否認事例及び誤りやすい事例    

  繰延資産における否認事例、誤りやすい事例にはどのようなものがありますか。

 A.   繰延資産における、否認事例及び誤りやすい事例としては次のようなものがあります。

 

  (1)  大型店の新規出店に際し、地元商店街に対し支出した営業補償金(商店街の売り上げ減少分を填補するため損害賠償金)を繰延資産として計上していたもの 

 

 このような営業保償金は、新規出店のために支出されるものであり、その効果が1年以上に及ぶため、繰延資産として計上すべきであるとも考えられます。 

 しかし、地元商店街とは、本来、自由な競争をすべき関係にあり、このような営業補償金は、必ず支払わなくてはならない性格のものではありません。

 ビルの建設による日照妨害や電波障害等に対して支払われる、損害賠償金的な補償金とも内容が異なります。

 このようにして考えていきますと、この種の営業補償金は、地元商店街に金銭を与えることにより、地域内の軋轢など、新規店舗の営業活動に対する損害要因を抑えるという一種の賄賂的な性格を持ち、交際費に該当すると考えられます。

 

 (2)地方公共団体に支払った開発負担金を一時の損金として処理していたもの 

 

 前記(1)の事例と類似したものとして、法人が固定資産として使用する土地、建物等の造成、建設等の許可を受けるために、地方公共団体に対して開発負担金等を支払わなければならない場合があります。 

 この負担金については、建物建設等に際しての条件としてあらかじめ約束されているものであり、支払先も地方公共団体であって公共性の高いものであるという理由から、交際費には該当しないものとされています。

 このような負担金を支出した場合、その負担金等の性質により、支出した額を、その固定資産の取得価額に含めなければならない場合や、無形減価償却資産、繰延資産として計上しなければならない場合がありますので、支出した負担金の性質を確認する必要があります。

 このような開発負担金の取扱いの詳細については、次回掲載予定の記事をご参照ください。

 

  (3)国等に対して支出した、自己の必要に基づいて行う道路、堤防、その他の施設等の公共的施設の設置、改良等のために支出する費用を、国等に対する寄付金であるとして損金処理していたもの

 

 国等に対する寄附金であっても、その寄附により、寄附した者に特別の利益が及ぶようなものについては、税務上、国等に対する寄附金に該当しないものとされています。 

 さらに、その寄附金が、自己の必要に基づいて行う道路、堤防、その他の施設等の公共的施設の設置、改良等のために支出する費用であれば、その費用は繰延資産として計上する必要があります。 

 なお、その場合の償却期間は、負担者が専ら使用する施設等であれば、その施設等の法定耐用年数の10分の7、それ以外の施設であれば10分の4となります。

 国等に対する寄附金であっても、税務上そのすべてが全額損金算入となるとは限らない、ということに留意しておくべきです。

 

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Q、開発負担金の税務上の取扱いについて教えて下さい

A、開発負担金の税務上の取扱いは以下のようになります

宅地開発等に際して支出する開発負担金
 


 法人が固定資産として使用する土地、建物の造成、建設等を行おう
とした場合、その地方公共団体の開発指導要綱等に基づき開発負担金

の支払いや土地、施設等の提供が必要となる場合があります。

 法人からすれば、その負担金支出の効果が将来に及ぶため繰延資産
として、あるいは、負担金を支払わなければ建物の建設等ができない
ため、建物等の取得価額に算入すべき費用として処理すべきであると
も思われます。

 しかし、負担金にもさまざまな性質のものがあり、一律に負担金の
額をその建物等の取得価額に算入したり繰延資産として取り扱うこと
も妥当ではありません。

 そこで、法人が支出した各種負担金の性質により次のように処理す
ることとされています。

(1)文教福祉施設(学校、図書館など)、環境衛生施設(病院、開
発地域外下水道など)、消防施設(消防署、消火栓など)など開発
地域外の住民の便益に寄与すると認められる公共的な施設の負担金の
額は繰延資産とすることとされており、その償却期間は8年とされてい
ます。

(2)次に、土地の開発において、開発地域内の道路、公園、緑地、
道との取付道路などのように直接開発した土地の効用を形成すると
認められるものにる負担金等の額は、その土地の取得価額に算入す
ることとされています。

(3)また、上水道、下水道、工場用水道、汚水処理場、開発地域周
辺の道路(取付道路を除く)などのように土地や建物等の効用を超え
て独立した効用を形成すると認められる施設で、その法人の便益に直
接寄与すると認められるものに係る負担金等の額は、それぞれの施設の性
質に応じて無形減価償却資産の取得価額又は繰延資産とすることと
ています。


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Q、否認事例及び誤りやすい事例

繰延資産における否認事例、誤りやすい事例にはどのようなものが
ありますか。


1)商店街組合の会館建設のための負担金を繰延資産として計
上していなかったもの

 税務上の繰延資産には、「自己が便益を受ける共同的施設の設置
又は改良のために支出する費用」というものがあります。具体的に
は、法人が所属する協会、組合、商店街などの行う共同的施設の建
設又は改良に要する費用の負担金がこれにあたります。

 ここでいう「共同的施設」とは、共同展示場、共同宿泊所、所属
する協会等の会館のほか、商店街における共同のアーケード、日
よけ、アーチ、すずらん灯などが該当します。

 なお、これらの繰延資産の償却期間は、その施設等が負担者等の
共同の用に供されるものや協会等の本来の用に供されるものについ
てはその施設等の法定耐用年数の10分の7とされていますが、
のようにして求めた年数が10年を超える場合には、10年を償
却期間として償却限度額を計算することとされています(土地部
については45年)。

 次に、共同のアーケード、日よけ等負担者の共同の用と一般公衆
の用の両者に供されるものの償却期間については5年(その施設
法定耐用年数が5年より短い場合には、その耐用年数)とされて
ます。

 また、償却開始時期は、その会館の建設に着手した時点とされて
います。なお、その施設の相当部分が貸室に供されるなど、負担者
にその支出の効果が反映されないようなときは、その部分に係る負
担金は、組合等に対する寄附金となりますのでご注意ください。

(2)建物を賃借する際に支払った敷金のうち返還されない部分につ
いても全額損金処理していたもの


 建物を賃借するために支出した権利金や敷金のうち返還されない
分については、繰延資産として計上し、5年(賃借期間が5年未
満である場合で、更新時に再び権利金を支払わなければならないも
のについては、その賃借期間)で償却を行う必要があります。

 なお、建物を賃借する際に支出した仲介手数料については、厳密
考えれば権利等と同様、建物を賃借するための費用であり、繰延
資産として計上すべきであるという考え方もあります。

 しかし、一般的にこのような仲介手数料は、宅建業法の規定によ
り、家賃の1か月分と定められており、このような少額なものまで
繰延資産計上を強制するのは酷であるという重要性の観点から、支
出時の損金として処理することが認められています。

 また、似たような支出である土地を賃借するために支出する仲介
数料については、繰延資産ではなく借地権の取得価額に含まれま
すのでご注意ください。

(3)フランチャイズ・チェーンの加盟一時金を繰延資産としていな
かったもの


 フランチャイズ・チェーンの加盟店になれば、本部からさまざま
営上のノウハウの提供を受けたり、材料の一括仕入れなどによ
る経費節減、本部が加盟店の広告宣伝を行ってくれるなど、さまざ
まなメリットを受けることが可能になります。

 このようなメリットの対価として、加盟店は本部に対し、加盟時
加盟一時金を支払います。この加盟一時金は、加盟後さまざまな
メリットを受けるために支出する権利金的なものと考えられており、
その契約期間も1年を超える場合が通常ですので、繰延資産として
計上する必要があります。

 その償却期間については、ノウハウの設定契約に際して支出する
時金の償却期間が5年(契約期間が5年未満である場合で、更新
に再び一時金を支払わなければならないものについては、その契
期間)と定められていることから、加盟一時金もこれに準ずるも
のとして同様の取扱いがなされています。

 また、これに類似したものとして、自社の製品をスーパーマーケ
トなどの店頭に並べてもらうためにスーパーに対して支出する一
時金(フェース料などと呼ばれている場合が多いようです)があり
ます。

 この一時金についても、その効果が及ぶ期間が1年以上あれば、
事例の加盟一時金と同様、繰延資産として計上する必要があると
思われます。


(4)広告宣伝用資産の贈与費用を広告宣伝費として処理し、繰延資
産としていなかったもの


 法人が、自己の製品などの広告宣伝のため、特約店などにその法
人名や製品名などが表示された看板、陳列ケース、自動車などの広
告宣伝用資産を贈与した場合には、その広告宣伝の効果が1年以上
及ぶため、その贈与に係る費用は繰延資産として計上しなければ
りません。

 このような広告宣伝用資産を贈与した場合の繰延資産の償却期間
は、その贈与した資産の耐用年数の10分の7に相当する期間とさ
れています。広告宣伝用資産を贈与した場合における税務上の取扱
いの詳細については、次回の記事をご参照ください。

(5)長期分割払いの繰延資産について、その総額につき未払金計上
し、償却をしていたもの


 法人が税務上の繰延資産に該当する費用を分割して支払う場合に
は、原則として、たとえその総額が確定しているときであっても、
の総額を未払金に計上して償却することはできないこととされて
ます。

 例えば、繰延資産(償却期間5年)として処理すべき費用100万円
5年間にわり毎期首に20万円ずつ分割払いしたような場合、それ
ぞれの期における償却限度額は[表1]のようになります。だし、そ
分割期間が短期間(おおむね3年以内)である場合には、その総額
を未払金計上して償却することが可能です。

 また、分割払いの際、それぞれの分割金の額が20万円未満であっ
たとしても、支出時に金額を損金処理することは認められません。
少額な繰延資産に該当すかどうかの判定は、あくまでもその繰延
資産に対して支出する総額によることなりますので、その点もご
注意ください。

 なお、繰延資産となる公共的施設や共同的施設の設置などに係る
負担金を分割払いした場合、次の要件をすべて満たしているものに
ついては、支出のつど、その支出金金額を損金算入することが認め
られています。

① 負担金の額が、その負担金に係る繰延資産の償却期間以上の期
間にわたり分割して支払われるものであること。

② 分割して支払われる負担金の額がおおむね均等額であること。

③ 負担金の支払いが、おおむねその支出に係る施設の工事の着工
後に開始されること。

[表1] 

  支出累計額  償却限度額  償却累計額
 第1期  20万円  20×5/1=4万円  4万円
 第2期  40万円  40×5/1=8万円  12万円
 第3期  60万円  60×5/1=12万円  24万円
 第4期  80万円  80×5/1=16万円  40万円
 第5期  100万円  100×5/1=20万円  60万円
 第6期  100万円  100×5/1=20万円  80万円
 第7期  100万円  残額=20万円  100万円

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広告宣伝用資産を贈与した場合


メーカーなどが、広告宣伝活動の一環として、販売業者等に、
そのメーカー名や製品名などが表示された看板、陳列ケースな
どの広告宣伝用資産を、無償あるいは低い価額で譲渡するよう
な場合がよく見受けられます。

1 広告宣伝用資産を贈与した側の処理

 メーカーなどが、広告宣伝用資産を贈与あるいは低廉譲渡し
た場合は、その贈与等に要した費用を広告宣伝費等で一時の損
金として処理することはできず、その支出の効果が1年以上に
及ぶ費用、すなわち繰延資産として計上する必要があります。


 広告宣伝用資産に該当するものとしては、次のようなものが
あります。

(1) 看板 (広告宣伝用のもの:以下同じ)
(2) ネオンサイン
(3) どん帳
(4) 陳列棚
(5) 自動車など


 また広告宣伝用資産には、展示用モデルハウスのように見本
としての性質を併せ持つものも含まれます。その償却期間につ
いては、その贈与等を行った広告宣伝用資産の法定耐用年数の
 70%に相当する年数(1年未満の端数は切捨て、その年数が5
を超えるときは5年)とされています。


 例えば、自社製品のロゴマークが車体全体に描かれた営業用
自動車を贈与した場合、その自動車の法定耐用年数は6年(
量が0.66を超える場合)とされていますので、
 6年×0.7≒4年(端数切捨て)
がその償却期間となります。


 ただし、その贈与等に要した費用が20万円未満である場合に
は、少額な繰延資産として、贈与した事業年度に、その費用全
額を損金処理することができます。

2 受贈益を計上しなければならない場合

 一方、広告宣伝用資産の贈与等を受けた販売業者等も、ある
程度の経済的な利益を受けるわけですから、その資産の取得に
際し、受贈益を計上しなければならない場合があります。


 販売業者等がメーカー等から、次の(1)から(3)のような広告宣
伝用資産の交付を受けた場合、次の[算式]により計算した金額が
販売業者等が受けた経済的利益の額であるとして、その資産の
取得価額を算定します。

(1) 自動車や自動二輪車などで車体の大部分の一定の色彩を塗
装して、メーカー等の製品名又は社名を表示し、その広告宣伝
を目的としていることが明らかなもの。

(2) 陳列棚、陳列ケース、冷蔵庫又は容器でメーカー等の製品
名や社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの。

(3) 展示用モデルハウスのようにメーカー等の製品の見本であ
ることが明らかなもの。

[算式]

 例えば、メーカーのロゴが大きく車体に塗装された120万円
ワゴン車を販売店が30万円で取得した場合、販売店が受けた
済的利益の額は、(120万円×2/3)−30万円=50万円となり、
のワゴン車の取得価額は80万円(30万円[販売店負担額]50
万円[経済的利益の額])となります。


 したがって、この広告宣伝用資産の取得に係る処理は次の仕訳
のようになります。

(借方)             (貸方)
 車両運搬具 80万円                現金       30万円
             /            固定資産受贈益 50万円

 なお、次のような場合には受贈益の認識は必要ありません。

(1) 上記の[算式]により計算された経済的利益の額が30万円以下
と少額である場合
 なお、同一のメーカーなどから2以上の広告宣伝資産を受けた
ときは、その合計額により判定します。

(2) 取得した資産が、広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳
のように、専ら広告宣伝の用に供される資産である場合


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Q1ソフトウエアについての目のつけどころ

 ソフトウエアに係る調査ポイントには、どのようなものがあ
ますか。また、調査はどのように進められますか。

A ソフトウエアの調査ポイント及び調査の進め方としては次
のようなものが考えられ、調査を受ける法人側もこのような調
査ポイントに対応した事前チェックが必要となります。

(1)ソフトウエアとして資産計上すべき費用を損金算入してい
ないか

 ソフトウエアも減価償却資産に該当しますので、そのソフト
ウエアの購入代価、製作費用、購入に要した付随費用、事業の
用に供するための費用は、原則として、そのソフトウエアの取
得価額に含める必要があります。

 したがって、調査においては、購入したソフトウエアであれ
ばその納品書、請求書、領収書等から、自社制作のものであれ
ば作業日報、作業報告書、外注依頼書、その製作費用の集計プ
ロセス等から、その取得価額の妥当性が検討されます。

 また、支払手数料、外注費、雑費等の中に、そのソフトウエ
アの取得価額に算入すべき付随費用等が含まれていないかとい
うことも検討されます。

 さらに、既存のソフトウエアにつき、補修、改良等を行った
場合、資本的支出に該当するものはないかという点についても
検討されます。

(2)ソフトウエアの償却においての、その償却期間は適正か

 ソフトウエアについては、その耐用年数は5年あるいは3年
と法定されていますので、それ以外の耐用年数を用いて減価償
却計算を行っていないかどうかが検討されます。

 特に、販売用にソフトウエア、中古ソフトウエアについてそ
の誤りが多いようです。

(3)ソフトウエアの償却開始時期は適正か

 ソフトウエアの償却開始時期が妥当かということも調査にお
いて検討されます。ソフトウエアの償却開始時期は、通常の減
価償却資産と同じく、そのソフトウエアを事業の用に供した日
となります。

 そのため、調査においては、そのソフトウエアの納入時期
(自社制作のものについてはその完成時期)、取得代金の決済
状況、そのソフトウエアに係るアウトプット資料など、その利
用開始時期が明らかとなる資料を検討して、事業の用に供した
日の検討が行われることになります。


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取得した中古ソフトウエアの耐用年数

1 中古減価償却資産の耐用年数

 中古の減価償却資産については、法定耐用年数を用いずに、残存耐
用年数を見積もり、その見積耐用年数により償却計算を行うことが
められています(見積法)。

 また、その見積もりが困難な場合は、次の算式により算定した年数
をその中古資産の耐用年数とする方法(簡便法)も認められています。

(1)法定耐用年数の全部を経過した資産法定年数×0.2
(2)法定耐用年数の一部を経過した資産
      (法定耐用年数−経過年数)+(経過年数×0.2
      (端数切捨て、2年未満である場合は2年)

 しかし、この簡便法による耐用年数の算定が可能な資産は特定され
ており、耐用年数表の別表第一、二、五から八に挙げる資産に限られ
ています([参考:減価償却資産の耐用年数表別表]参照)

2 中古ソフトウエアの耐用年数

 ソフトウエアは一般的に、別表第三の無形減価償却資産に該当しま
す。したがって、簡便法による耐用年数の算定は認められないことに
なります。

 また、見積法による算定も考えられますが、ソフトウエアについては、
物理的や機能的な減価原因より残存耐用年数を見積もることは困難であ
ると思われるためその適用が困難であり、結果的に法定耐用年数によら
ざるを得ないものと考えられます。

 なお、ソフトウエアでも開発研究用のものについては、別表第八の開
発研究用減価償却資産の中に挙げられているソフトウエアに該当します
ので、このソフトウエアについては簡便法による見積もりが可能という
ことになります。

[参考:減価償却資産の耐用年数表別表]

 別表第一

 機械装置以外の有形減価償却資産

(建物、建物附属設備、構築物、車両運搬具、工具器具備品など)

 別表第二  機械及び装置の耐用年数表
 別表第三  無形減価償却資産の耐用年数表
 別表第四  生物の耐用年数表
 別表第五  公害防止用減価償却資産の耐用年数表
 別表第六  開発研究用減価償却資産の耐用年数表
 別表第七  平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産の償却率表
 別表第八

 平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の償却率、

改定償却率及び保証率の表

 別表第九  平成19年3月31日以前に取得された減価償却資産の残存割合表

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Q2 否認事例及び誤りやすい事例
 ソフトウエアにおける否認事例、誤りやすい事例には、どのよう
なものがありますか。

 ソフトウエアにおける、否認事例及び誤りやすい事例としては
次のようなものがあります。

(1) 自社制作のソフトウエアに係る費用を資産計上
していなかったもの


 従来、ソフトウエアはノウハウに準ずるものとして、税務上、繰
資産として取り扱われていました。そのため、他から購入したソ
フトウエアのみが資産計上の対象となり、自社制作のソフトウエア
については資産計上の必要がありませんでした。

 しかし、平成12年度の税法改正により、ソフトウエアは繰延資産
はなく無形減価償却資産として取り扱われることとなったため、
平成12年4月1日以降取得された自社製作のソフトウエアについては、
一般的な自社製作減価償却資産と同様、その製作に要した費用(原
材料費、労務費、経費)及びそのソフトウエアを事業の用に供する
ために直接要した費用につき資産計上をする必要があります。

 ただし、製作等のために要した間接費、付随費用で、その費用の
合計額がその製作価額のおおむね3%以内のものは、そのソフ
トウアの取得価額に算入しないことができることとされています。

(2) 購入したソフトウエアのインストール費用を、そのソフトウエア
取得価額に含めていなかったもの

 前述のようにソフトウエアも減価償却資産に含まれますので、その
得価額には、購入代価、購入手数料等の購入のために要した費用お
よびそのソフトウエアを事業の用に供するための費用も含まれます。

 したがって、購入あるいは外注製作したソフトウエアをコンピュー
にインストールするための費用も、そのソフトウエアを事業の用に
供するための費用として、そのソフトウエアの取得価額に含まれるこ
とになります。

(3) ソフトウエアのバージョンアップのための費用を修繕費として処
していたもの

 ソフトウエアについて、プログラムの修正、補修、改良等を行った
合の費用が、資本的支出に当たるか、あるいは修繕費に当たるか
の判定基準は、原則として、他の減価償却資産と変わりありません。

 すなわち、価値や機能を増加させるために支出した費用は資本的支
に該当し、通常の維持管理や現状回復のために支出した費用は修繕
費に該当することになります。

 ソフトウエアについての、資本的支出と修繕費の区分基準はおおむ
以下のようになります。

① 修繕費に該当する場合
 法人が有するソフトウエアにつきプログラムの修正を行った場合に
いて、その修正がプログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の
維持などに該当するとき、その修正に要した費用は修繕費に該当します。

② 資本的支出に該当する場合
 一方、その修正が新たな機能の追加、機能の向上など(いわゆるバ
ージョンアップ)に該当するときは、その修正に要した費用は資本的
支出に該当することになります。

③ ソフトウエアの取得価額となる場合
 また、既に有するソフトウエアや購入したパッケージソフトウエア
などの仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための
費用は、原則としてソフトウエアの取得価額となります。

(4) 事業の用に供していないソフトウエアにつき減価償却を行っていた
もの

 無形減価償却資産の中には、漁業権や工業所有権のように、事業の
に供されているか否かにかかわらず、取得の日からその権利の存続
期間により償却可能なものがあります。

しかし、ソフトウエアについては、一般的な機械装置や器具備品など
の減価償却資産と同じく、そのソフトウエアを事業の用に供した日以
降でないと償却は認められません。

(5) 販売用ソフトウエアの償却を、見込総販売数量、当期実際販売数量
づいて行っていたもの

 企業会計(研究開発費等に係る会計基準)においては、販売用ソフ
トウエアの償却は、その「性格に応じて、見込販売数量に基づく償却
方法その他合理的な方法により償却しなければならない。」とされて
います。

しかし、税務の場合、企業会計の規定にかかわらず、税務上定められ
た法定耐用年数に基づいて限度額計算を行う必要があります。

 税務上、販売用ソフトウエアの耐用年数は3年とされています(省令
別表三の「ソフトウエア」、「複写して販売するための原本」)。




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Q1 会費・入会金等についての目のつけどころ

 会費・入会金等に係る調査のポイントには、どのようなものが
ありますか。また、調査はどのように進められますか。


 法人は、その事業活動に役立てるため、様々な団体、すな
わち同業者団体、ゴルフクラブ、レジャークラブ、社交団体、
従業員福利厚生団体等に加入します。

 税務調査においては、そのような団体に対して、法人が支払う
会費・入会金等に係る税務処理の妥当性につき検討が行われます。

 すなわち、その会費等の支出が、
(1) 個人的な費用に該当するものではないか
(2) 交際費に該当するものではないか
(3) 寄附金に該当するものではないか
(4) 資産計上すべきものではないか
(5) 翌事業年度以降の費用とすべきものではないか
というポイントを中心に調査が進められることになります。

 また、調査を進めるにあたっては、経費帳、稟議書、出席報告
書、領収書、請求書、加入している団体等の会則・規約、会報、
会計報告等の資料を中心に検討が行われます。

調査を受ける法人側もこうした調査ポイントに対応した事前チ
ックが必要となります。

Q2 否認事例及び誤りやすい事例

会費・入会金等における否認事例、誤りやすい事例にはどのよ
なものがありますか。


 否認事例及び誤りやすい事例としては、次のようなものが
ります。

(1) 法人が支出したゴルフクラブの入会金を入会時に会費として
金処理していたもの

 ゴルフクラブの入会金や他から購入したゴルフクラブ会員権の
実績は、ゴルフ場施設利用権(一種の無形固定資産)であると
われています。

 そして、その施設利用権は、次のような性質を有しており、税
務上は、無形の非減価償却資産であるということができます。
① 永久利用権としての性格を有しており、ゴルフ場がプレー可
である限りその利用権の価値は減少しない
会員権を他に譲渡することにより、投下資金を回収できる
③ 水道施設利用権や電気通信施設利用権のように、税務上、償
が可能な無形減価償却資産として列挙されていない

 したがって法人がその業務目的で支出したゴルフクラブ入会金
他から取得したゴルフクラブ会員権については、たとえ脱会時
入会金の返還を受けられない場合とか、権利を他人に譲渡でき
い場合であっても、入会時の損金処理は認められず、プレーが
能である限り資産計上する必要があり、その償却も認められな
こととされます。

 そして、ゴルフクラブを脱会してもその返還を受けることがで
ない場合におけるその入会金やその会員たる地位を他に譲渡し
ことにより生じたその入会金に係る譲渡損失については、その
脱会をし、又は、譲渡をした日の属する事業年度において損金の
額に算入することになります。

 なお、他人の有するゴルフ会員権を購入した場合には、その購入
価にゴルフクラブに支払う名義書換手数料、ゴルフ会員権取扱い
業者に支払う購入手数料を含めて資産に計上する必要があります。


(2) 代表者等が法人の業務と関係なく個人的に利用するためのゴル
クラブの入会金を法人の資産として計上していたもの


法人会員として入会する場合
 法人会員として入会する場合、入会金は、原則として、資産とし
計上する必要があります。ただし、記名式の法人会員でも名義人
ある特定の役員や使用人が専ら法人の業務に関係なく利用するた
め、これらの者が負担すべきものであると認められるときは、その
入会金に相当する金額は、これらの者に対する給与(賞与)とされ
ます。


個人会員として入会する場合
 個人会員として入会する場合、その入会金は、原則として、個人
員である特定の役員や使用人に対する給与(賞与)とされます。
だし、(i)無記名式の法人会員制度がないため個人会員として入
し、(ii)その入会金を法人が資産に計上した場合で、(iii)その入
金が法人の業務の遂行上必要であるため法人の負担すべきもので
る場合には、その資産計上を認めることとされています。


(3) 法人がすでに所有しているゴルフ会員権(法人会員記名式)の会
員名義書換料を単純損金として処理していたもの

 得意先の接待等のために法人がゴルフ会員権を取得する際に支出
した名義書換料は、取得のために要する費用としてその会員権の取
得価額に含める必要があります。

 しかし、本事例のように、すでに法人が保有している会員権にお
ける会員の名義を書き換えるための費用は交際費に該当します。こ
のような名義書換料は、ゴルフ場における接待等を継続するために
必要とされる費用であり、プレー代の一部として支払われるもので
あるという考え方によるものです。

 なお、脱会や会員権の譲渡により損失が生じた場合には、その損
失については、交際費には該当しないものとされています。


(4) ゴルフ会員権の時価が大幅に下落しているという理由で評価損を
計上していたもの

 税務上、ゴルフ会員権は、金銭債権や有価証券ではなく、無形固定
資産とされている水道施設利用権や電気通信施設利用権など同様にゴ
ルフ場の施設を利用できる権利(ゴルフ場施設利用権)すなわちプレ
ー権であるとされています。

 そして、そのプレー権は、永久利用権としての性格を有しており、
ルフ場でプレー可能である限りその利用権の価値は減少しないもの
されています。

 そのため、水道施設利用権や電気通信施設利用権のように、税務上、
償却が可能な無形減価償却資産としても列挙されていません。

 したがって、市場におけるゴルフ会員権の相場が、その取得価額よ
大幅に下落していたとしても、まだプレーが可能である限り、プレ
ー権の価値は減少しておらず、その会員権についての評価損の計上は
認められないということになります。


(5) レジャークラブの入会金を資産計上せず支出時の損金として処理し
ていたもの

 レジャークラブ(宿泊施設、体育施設、遊技施設などを会員に利用
せることを目的とするクラブ)の入会金についての取扱いは、原則
として、ゴルフクラブの入会金の取扱いと同様とされています。

 すなわち、法人会員として入会する場合、その入会金は資産計上す
必要があり、その償却は認められていません。また、特定の役員等
が個人的に利用する場合はその者に対する給与となります。

 しかし、①その会員として有効期間が定められており、かつ、②そ
脱退に際して入会金相当額の返還を受けることができない入会金に
ついては、その利用できる期間において費用化することが合理的であ
ると考えられることから、繰延資産として計上し、償却することが認
められています。


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Q2 否認事例及び誤りやすい事例

会費・入会金等における否認事例、誤りやすい事例にどの
ようなものがありますか。

A

(6) 社交団体の入会金や会費を交際費として処理せず単純
損金処理していたもの

 税務上、社交団体(○○クラブ、○○会などの親睦団体)
の入会金は他に譲渡できず、脱会の際にも返還されない場
が多いため、法人会員として入会する場合その入会金は支出
の日の属する事業年度の交際費とされます。

 また、個人会員として入会する場合、その会員である特
の役員又は使用人の給与とされます。

 ただし、法人会員制度がないため個人会員として入会した
場合でその入会が法人の業務の遂行上必要があると認められ
るときは、その入会金は支出の日の属する事業年度の交際費
とされます。

 次に、経常会費については、その入会金が交際費に該当す
る場合には交際費とし、その入会金が給与に該当する場合に
は会員たる特定の役員又は使用人の給与とされます。

 また、経常会費以外の費用については、その費用が法人の
業務の遂行上必要があると認められる場合には交際費とし、
会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきものであると
められる場合にはその役員又は使用人の給与とされます。

() 法人が支出したロータリークラブの会費を交際費とせず
単純損金としていたもの

 ロータリークラブやライオンズクラブは、産業別の法人の
経営者や個人事業者が会員であり、その活動目的は社会連帯
の高揚や社会奉仕とされていますが、一方において業界関係
者である会員相互間の交流を深める会であるという側面もあ
るようです。

 したがって、その会費等については税務上以下のように取
り扱われています。

入会金又は経常会費については、その支出の日の属する事
業年度の交際費とされます。
それ以外に負担した金額については、その支出の目的に応
じた寄附金又は交際費とされます。

 ただし、会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきもの
であると認められる場合には、その役員又は使用人の給与と
されます。

() 法人が支出した同業者団体の入会金を繰延資産とせず単
純損金としていたもの

 法人が同業者団体等の入会にあたり支出した入会金につい
は、原則として、繰延資産として処理する必要があります
(償却期間5年)。

 これは、入会後、会員はその同業者団体等から、会員とし
てのさまざまなサービスの提供を受けることになるため、会
員が支出した入会金の支出の効果は翌期以降にも及ぶという
理由からです。

 ただし、会員としての地位を他に譲渡できる場合には、そ
の地位を他に譲渡したり、脱会したりするまで資産として計
上することが必要とされています。

 なお、通常会費(その構成員のために行う広報活動、調査
研究、研修指導、福利厚生など、通常の業務運営のために経
常的に要する費用の分担額)については、原則として、その
支出した事業年度の費用となります。

 ただし、同業者団体等の剰余金が不相当に多額に留保されて
いる場合には、その剰余金が生じた時以後に支出する通常会費
については、その剰余金が適正な額になるまでは前払費用とし
て処理しなければなりません。

() 会館建設のために創立された同業団体に係る特別会費(会
館建設のためのもの)を支出時の損金として処理していたもの

 特定の目的のために同業団体等に支出する特別会費など次の
費用の分担額は前払費用として処理し、その同業団体等がこれ
らを支出した日に、その費途に応じて繰延資産、交際費、寄附
金等として取り扱うことになります。

会館その他特別な施設の取得又は改良⇒繰延資産
会員相互の共済⇒貸付金等
会員相互の業界の関係先等との懇親等⇒交際費
政治献金その他の寄附⇒寄附金



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◎ゴルフ場が破綻した場合のゴルフ会員権の処理

 接待等のためにゴルフ場を利用するため、ゴルフ会員権を
保有している企業が多く見られますが、昨今、ゴルフ場の経
営が破綻して民事再生法等の適用を受ける場合などが多く見
受けられ、その場合、ゴルフ会員権の預託金部品につき貸倒
引当金や貸倒損金の対象にできるかということが税務上よく
問題となります。

 現在、わが国のゴルフクラブのほとんどは、その入会時に
預託金をそのゴルフクラブに納めるという預託金方式をとっ
ています。預託金は一定の据置期間経過後、退会を条件に返
還請求することができます。

 法人がゴルフクラブに入会した場合、その支払った預託金
はゴルフ会員権として資産計上されることになります。この
ようなゴルフ会員権の法的な性格は、プレーを行うためにゴ
ルフ場の施設を利用できる権利、すなわちゴルフ場施設利用
権や金銭債権である預託金返還請求権等をその内容とするも
のであるとされています。

 しかし税務上は、ゴルフ場施設を利用できる間については、
そのゴルフ会員権の性格は、金銭債権ではなく、ゴルフ場施
設利用権を得るために拠出されたもの、すなわちプレー権と
いう一種の無形固定資産であるとして取り扱われています。

(1) 破綻してもプレーが可能である場合
 ゴルフクラブが経営破綻により再建型の倒産処理手続きで
ある民事再生法による再生手続開始の申立てが行われたとし
ても、その段階では、ゴルフ場の運営は継続中でありプレー
が可能な状態ですので、プレー権はまだ存在しており、預託
金返還請求権は生じていません。

 よって、そのゴルフ場においてプレーが可能である限り、
その預託金の性格は金銭債権ではなく、プレー権であるとさ
れますので、民事再生法による再生手続開始の申立て段階で
は、預託金の50%相当額につき個別評価による貸倒引当金を
繰り入れることは認められないということになります。

(2) 破綻によりプレーができない場合
 ゴルフ場に対する破産宣告等によりゴルフ場が閉鎖されプ
レーができない状態になった場合やゴルフクラブを退会した
場合には、預託金の性格がプレー権から金銭債権に転換され
たとして、その預託金相当額については、貸倒損失及び貸倒
引当金の対象とすることができます。

(3) 預託金の一部が切捨てられた場合
 再生手続開始の申立て後、再生計画が認可され、その再生
計画に基づき預託金の一部が切り捨てられた場合には、その
切捨て部分については預託金の性格がプレー権から金銭債権
に転換し、その金銭債権が回収不能になったものとして取り
扱われます。

 よってその切捨て部分については、たとえ、そのゴルフ場
でプレーが可能であったとしても貸倒損失として損金処理す
ることが可能であると考えられます。

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Q 消費税についての目のつけどころ
 消費税に係る調査はどのように進められますか。また、調査
ポイントにはどのようなものがありますか。
 

 

消費税に係る調査官の調査の進め方及び調査ポイントとして
は、次のようなものが考えられます。調査を受ける法人側も、
このような調査ポイント等に対応した事前チェックが必要とな
ります。

連動非違と固有非違
  消費税の調査は通常、法人税の調査と並行して行われます。
消費税の調査における非違は、法人税の非違に連動して消費税
の非違も生じるもの(連動非違)と、法人税の否認とは連動し
ない消費税固有の非違(固有非違)とに分類されます。

 連動非違については、法人税の調査を行うことにより消費税
の調査も同時に行われることになりますが、固有非違について
は、消費税独自の調査が別に行われることになります。

 連動非違及び固有非違の具体例としては、次のようなものが
あります。

 連動非違         固有非違
・売上除外     ・取引における課非判定誤り
・売上計上漏れ   ・仕入税額控除の計上時期及び計算誤り
・架空仕入     ・簡易課税制度の適用及び計算誤り
・経費の繰上計上  ・課税売上割合の算定誤り
        など             など

 なお、加算税の取扱いですが、売上除外のような連動非違の
場合、法人税において重加算税の対象とされるような非違につ
いては消費税においても重加算税対象の非違として取り扱われ
ますので注意が必要です。

消費税の調査におけるポイント
 消費税における調査のポイントとしては、次のようなものが
考えられます。

(1) 課税事業者に該当するにもかかわらず消費税の申告を行っ
ていない法人はないか
 消費税の課税事業者となる法人は、基準期間(その事業年度
の前々事業年度)の課税売上高が1千万円超の法人です。また、
その事業年度開始の日における資本及び出資の金額が1千万円
上の法人の事業年度のうち設立1期目、2期目など、基準期
ない事業年度については、その基準期間がない事業年度につ
ては課税事業者として取り扱われます。

 さらに、「消費税課税事業者選択届出書」を提出している法人
ついては、基準期間の課税売上高が1千万円未満であっても
事業者として取り扱われます。税務調査において、これら
課税業者に該当する法人が適正に消費税の申告を行っている
かどうが確認されます。

(2) 課税売上高の算定に誤りはないか
 消費税においては、国内において事業として対価を得て行わ
る資産の譲渡、貸付及び役務の提供が課税対象となります。
課税売上高の調査においては、これらの課税取引をもとに課税
売上高が適正に集計されているかどうか、課税取引を非課税取
引や不課税取引として取り扱っていないかどうかについて調査
が行われます。

(3) 仕入税額控除の算定に誤りはないか
 仕入税額控除については、課税売上高の算定とは逆に、非課
税取引や不課税取引に該当するものを課税取引とし、仕入税額
控除の対象としていないかが調査の対象となります。特に、給
与、会費、交際費、旅費交通費等に誤りが多く見られるようで
す。

 また、課税売上割合が95%未満である事業年度においては、
課税仕入等に係る消費税額のうち一部が控除対象として認めら
れないことになりますので、課税売上割合の計算及び仕入税額
控除額は妥当かということが調査されます。

(4) 簡易課税制度の適用及びその計算に誤りはないか
 簡易課税制度は基準期間の課税売上高が5千万円以下の小規
模な事業者の消費税事務の負担を軽減するために選択適用が認
められた制度です。

 簡易課税制度を選択している法人については、基準期間の課
税売上高、「簡易課税制度選択届出書」提出の有無などから、簡
易課税の適用が可能な法人かどうかの検討が行われます。また、
業種によって異なるみなし仕入率の適用が妥当かどうかという
ことも調査の対象となります。

(5) 申告書、各種届出書等の提出時期に誤りはないか
 消費税の申告書は、原則として、課税期間終了後2か月以内
に提出する必要があります。また、「消費税簡易課税制度選択届
出書」や「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」、「消費税課
税事業者選択届出書」は、原則として、その適用(不適用)を
受けようとする課税期間開始の日の前日までにその届出書を提出
しなければ、その課税期間における適用(不適用)は認められま
せん。

 税務調査においては、これら申告書や届出書の提出期限が妥当
かどうかということも確認されます。


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簡易課税制度とはどのような制度ですか


簡易課税制度とは
 簡易課税制度は、小規模な事業者の消費税事務の負担を軽減
するために設けられた制度です。納付すべき消費税額は本来、
課税売上高に対する消費税額から実際の仕入れに対する消費税
額を控除して算定します。

 しかし、簡易課税制度を選択すると、課税売上高に対する消
費税額を把握するだけでよく、仕入れに係る消費税額は課税売
上高に対する消費税額に一定率(みなし仕入率)を乗ずること
により算定されます。

納付税額=課税売上高に対する消費税−課税売上高に対する消費税額

×みなし仕入率

(40%、50%、60%、70%、80%、90%)

  簡易課税制度は、基準期間(通常はその課税期間の前々年の
税期間)の課税売上高が5千万円以下の事業者が選択適用
できます。

 一般的に、仕入れや経費の中で人件費など消費税がかからな
 い取引の占める割合の高い企業では、実額による計算より簡易
課税による計算の方が有利な場合が多いようです。しかし、簡
易課税制度では、消費税が還付されるということはありません
(中間申告分の還付は除く)。

 したがって、多額の設備投資を行った課税期間等については、
簡易課税制度を選択するより、実額による計算により仕入控除
税額の計算を行った方が還付が生じて有利な場合も考えられま
す。


みなし仕入率
 簡易課税に用いられるみなし仕入率は業種別に定められてお
り、具体的にはつぎのとおりです。

事業区分 該当する事業 みなし仕入率
第一種事業  卸売業(他の者から購入した商品を、その性質及び形     状を変更しないで他の事業者に販売する事業) 90%
第二種事業  小売業(他の者から購入した商品を、その性質及び形
      状を変更しないで他の事業者に販売する事業)
80%
第三種事業 (注1)      農業、林業、漁業、鉱業、建設業、 製造業(注2)電気業、ガス業、
   熱供給業及び水道業 
70%
第四種事業  第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業、第六種事業以外の事業(注3  )(飲食店業等) 
・事業者が自己で使用していた固定資産を譲渡する場合も該当する。 
60%
第五種事業   金融業及び保険業(注4)サービス業(注5) 
運輸通信業    
  (第一種事業から第三種事業までに該当しないもの)
50%
第六種事業   不動産業(注4) 40%

  ※注1
 第一種事業、第二種事業に該当する事業、加工賃等に類する料金を対価とする役務の提供を除く。
  ※注
 製造小売業を含む。
 ※注
  第三種事業から除かれる、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業は第四種事業  に含まれる。
 
※注
  平成27年3月31日までに開始した課税期間においては、金融業及び保険業は第四種事業(みなし仕入率  60%)、不動産業は第五種事業(みなし仕入率50%)となります。
 
※注
  飲食店業に該当する事業を除く。 


簡易課税制度の適用を受けるためには
 簡易課税制度の適用を受けるためには、原則として適用しよ
うとする課税期間の前日までに、所轄税務署長に「消費税簡易
課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

 なお、簡易課税制度を選択した事業者は、事業廃止の場合を
除き、2年間は実額計算による仕入税額控除に変更することは
できません。




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