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税務調査に関する役立つ情報

税務調査に関する役立つ知識 

まずは本題に入る前に申告納税制度に関する義務を担保する制度についてから

始めていきたいと思います。


(以下はできるだけ平易なことばで簡潔にということを主眼に置きましたので説明不

十分な点が多々あることをあらかじめお断りします。)

第1回 事業所得者の記帳義務、帳簿等保存義務について

Q1 私は、個人事業者ですが、帳簿はつけなくてはいけないのですか?

A かつては事業所得などの合計が300万円以下の白色申告者は、帳簿を作って売上や

  経費を記帳する義務がありませんでしたが、2014年(平成26年)1月からは事業や不動産
  貸付等を行うすべての白色申告者に記帳義務が課されるようになりました。
 
 ●青色申告者の場合
    「青色申告者は、事業所得の金額や不動産所得の金額が正確に計算できるように、

       仕訳帳、総勘定元帳、その他必要な書類を備えてすべての取引を正規の簿記の原
      則に従い、整然とかつ明瞭に記録しなければならない。」(所得税法148条@)となっ

      ています。

     つまり複式簿記の原則によって 帳簿に記録する義務 があります。ただし、簡易

        な方法 による記帳(簡易簿記)も可能です。

  ●白色申告者の場合
     上記に述べたように改正になりました。

  条文では「不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行う全ての白色申告者
 は、一定の帳簿を備え付けてこれにこれらの所得を生ずべき業務に係るその年の取引のうち
 総収入金額及び必要経費に関する事項を簡易な方法により記録し、かつ、その帳簿や関係書類
 を整理して保存しなければならない」(所得税法231の2@)となっています。


Q2 帳簿は何年間保存しておかなければならないのですか?
 
A    帳簿等の保存期間を白色申告の記帳対象者と青色申告者を比較すれば次の

    ようになります。
 

区分記帳対象者青色申告者
帳簿・決算関係書類7年7年
現金預金取引等関係書類 5年 7年(前々年所得が300万円以下の人は5年)
その他証ひょう書類5年5年

 
     参考・・・保存しなくてはならない帳簿書類とはいわゆる帳簿のほかに、棚卸表、決算

       書、 決算整理に関して作成した書類、取引に関して相手方から受け取った注文書、
       契約書,送り状、領収書、見積書等や自分の作成した書類でその写しのあるものは

      その写し(簡単にいえば、売上の請求書控え、領収書控えの類)のことです。

第2回 記帳義務違反、帳簿等保存義務違反をした場合の制裁等及び課税調査権について

Q3 帳簿を記帳しなかったり、保存しなかったりした場合になにか不利益はありますか?
 
A  青色申告の方が記帳、帳簿等保存義務に違反した場合青色申告が取り消される場合があります。
  また、記帳、帳簿等保存義務に違反した白色申告の方に対しては課税庁(税務署等)は調査に際して推計課税を行うことができることになっています。

  (所得税法156条)

Q4 税務調査はどういった権限で行われるものですか?

A 調査について必要があるときは、課税庁(税務署等)は納税義務者、源泉徴収票提出義務者等、取引関係者等に対し質問し、または帳簿書類等の検査を行うことができるという質問検査権という権限が法律上認められています。(所得税法234条、法人税法153条他)
 また、課税庁(税務署等)の調査に対して不答弁・虚偽の報告をした場合は、刑事罰が科されます。

第3回 税務調査の遡求年分と加算税について

Q5 税務調査は、何年間さかのぼって調査が可能ですか?

A 通常の場合は5年(以前は3年でしたが、平成16年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税については税法の改正により5年となりました。仮装隠ぺいの場合は7年間遡及可能です。

Q6 申告額が誤っていたり、申告しなかった場合のペナルティーにはどんなものがありますか?

A ●解釈誤りや計算誤りなど仮装、隠ぺいを伴わない場合は過少申告加算税が追徴税額の10%基本的にかかります。ただし、調査等によらず自主的に誤りについて修正申告をした場合には過少申告加算税はかかりません。
  ●無申告であった場合は無申告加算税が納めるべき税額のうち50万円以下の部分については15%50万円超の部分については20%かかります。(平成19年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用。)ただし、調査等によらず自主的に期限後申告をした場合は無申告加算税が納めるべき税額の5%になります。
  ●仮装又は隠ぺいがあった場合は重加算税が追徴税額の35%(無申告の場合は40%)かかります。

  また、税金の納付が遅れると、遅れた日数が2か月以内については年利7.3%2か月を超えた日数については年利14.6%の割合で延滞税がかかります。

  ただし、現在は以下のようになっております。
 

  1. (1) 納期限(注2)の翌日から2月を経過する日まで
     原則として年「7.3%」
     ただし、平成12年1月1日から平成25年12月31日までの期間は、「前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率+4%」の割合となります。
     また、平成26年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「特例基準割合(注3)+1%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
    • 平成27年1月1日から平成27年12月31日までの期間は、年2.8%
    • 平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年2.9%
    • 平成22年1月1日から平成25年12月31日までの期間は、年4.3%
    • 平成21年1月1日から平成21年12月31日までの期間は、年4.5%
    • 平成20年1月1日から平成20年12月31日までの期間は、年4.7%
    • 平成19年1月1日から平成19年12月31日までの期間は、年4.4%
    • 平成14年1月1日から平成18年12月31日までの期間は、年4.1%
    • 平成12年1月1日から平成13年12月31日までの期間は、年4.5%
  2. (2) 納期限の翌日から2月を経過した日以後
     原則として年「14.6%」
     ただし、平成26年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
     平成27年1月1日から平成27年12月31日までの期間は、年9.1%
     平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年9.2%
  3. (注3) 特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。
 

 
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科目別税務調査の目のつけどころ

第4回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・売上(その1

今回から、各勘定科目別に税務調査における調査のポイント及びその対策などを紹介していきたいと思います。
税務調査において税務署は何を中心に調査をするかといえば一番の主眼はその法人や個人が不正を行っていないかどうかということである。すなわち、売上除外架空仕入棚卸除外架空経費架空人件費利益調整等の不正計算をしていないかどうかということを中心に調査を行うことになる。これらの事実の有無を見極めたうえで、次は税務上誤りやすい科目について、税法に従って正しく処理されているかということを調査することになる。
まずは、最も重要科目である売上から税務署の目のつけどころ、調査方法を紹介することとする。

Q1 税務署は売上のどこに目をつけて調査するのですか。

A 売上の目のつけどころとしては、次のようなものがあります。

@売上除外(注)はしていないか。

売上除外の発見は帳簿等に載っていない取引を発見することになるわけであり税務署にとっても簡単なことではありません。がしかし様々な手法を駆使して発見に努めることになります。例えば売上発生に関連する費用から調査する方法、モノの動きから調査する方法、売上代金決済状況から調査する方法、現金管理状況から調査する方法、法人代表者や個人事業主の個人預金の動きより調査する方法などあらゆる角度から調査を実施し売上除外がないか検討をします。
 (注)売上除外とは、意図的に売上を帳簿に計上しないことをいいます。
A売上の計上漏れ(繰り延べ)はしていないか。

これは正しい期間損益計算がなされているかといった観点で調査するものであり、翌期の帳簿に計上されている売上の中に調査対象期の売上とすべきものはないかを検討するものです。

Q2 売上勘定について税務署はどのように調査を進めるのですか

A 調査を進める順序は、担当者によって様々ですが次のようなポイントを中心に調査を進めるのが一般的です。

@取引の流れ、作成帳簿等の把握

まず、会社や個人事業の事業内容を把握することに努めます。すなわち、モノの受注から出荷、相手方の検収、代金回収までの流れを聞き取りその中でどのような帳簿や記録が作成されているか、また、どの時点でどのような事実や帳簿等を基に売上を計上しているかを把握します。そして、把握した取引の流れ、帳簿等を基に売上除外の有無や売上繰延の有無を調査します。

A売上の計上時期が妥当かどうかの検討

売上の計上時期が税法に照らして妥当かどうかの検討です。モノの販売は引き渡しがあった日に売上を計上します。
その引き渡しがあった日をいつとみるかによって、出荷基準、検収基準、使用収益基準,検針基準などがありもっとも合理的な基準を採用します。

B翌期の売上からの検討

翌期に入ってから1か月〜2ヶ月くらいの売上請求書控、納品書控や帳簿等を調査し調査対象期の売上にすべきものがないか検討します。(売上の繰延べの有無の検討)

C他の費用項目からの検討

モノの引き渡しに関連する費用項目について(例えば運賃、手数料等)領収証等原始記録から売上計上の妥当性を検討します。

D資料との突合による検討

税務署の収集している資料(法定資料など収集形態は多岐にわたる)との突合によって売り上げ計上の妥当性を検討します。

E代金決済状況からの検討

代金決済がすべて完了しているが売上計上のないものがあればその処理の妥当性について検討します。

F現金有高からの検討

この方法は現金商売の業種によく使われます。事前通知なしに会社や事業所に臨場し実際の現金有高と金銭出納帳残高を突合し不一致がないか検討すると共に現金管理状況を検討し売上除外の有無を検討します。

G売上領収証控からの検討

領収証控やレジペーパーなど売上の基となる記録を把握し売上勘定と突合し、売上除外の有無を検討する。

 
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第5回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・売上(その2)

 

Q3 売上について否認を受けないための対策はありますか。

 

 税務署の調査に対する事前準備として売上の繰延べ売上計上漏れ等がないかを以下のような点から検討することは可能です。

 

@    物の流れからの検討

御社で提供する物やサービスの流れから実際に計上すべき日に適正に売上が計上されているかを再度確認すること。

また、調査の際にモノの発注から納品、代金決済までの流れを税務署の調査担当者に説明できるようにしておくことも重要です。

 

A    翌期に計上している売上からの検討

翌期に計上している売上について、納品書や物の動きを再度確認し、当期の売上として計上すべきものはないかを確認します。

 

B    金額未確定のものも売上計上されているかの確認

出荷基準を採用している場合、出荷済みではあるが金額未確定のものについても売上を見込みで計上する必要があります。

 

C    売掛金残高の確認

売上計上が漏れており入金だけ記帳されているような場合もあり売掛金残高からの確認は重要です。

 

D    手付金などからの検討

 

E    現金管理を徹底すること

  特に現金商売の場合は現金の入出金管理が徹底されているかが最大のポイントとなる。

 

Q4 売上について税務調査で指摘された例としてはどのようなものがありますか。

 

@    納品書控えや、領収書控えから

翌期の納品書控えを検討したところ、納品日が当期のものが発見されたり、会社が保管している領収書控えと帳簿の売上勘定を突合したところ売上除外が判明した。

A    売掛金残高から

御社の売掛金残高と取引先の買掛金残高を照合した結果、残高が不一致であることを端著に売上計上漏れが判明した。

 

B    前受金残高から

 

C    資料の突合から

税務署の調査担当者が持参した資料と帳簿の売上を突合したところ、売上除外が判明した。

 

D    個人名義の預金の入金状況から

  代表者の個人名義の預金の入金状況を検討したところ売上除外代金が入金されていた。

 

E    代表者借入金から

実際は売上であるにもかかわらず、代表者借入金として処理していた。

 

F    現金監査の実施から

  現金商売について、現金監査を実施したところ、実際の現金有高のほうが金銭出納帳有高より多く現金売上の除外が判明した。

 

  

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科目別税務調査の目のつけどころ・・・仕入

6回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・仕入 

仕入勘定も売上勘定とともに税務調査においては重点的な調査科目です。今回は仕入勘定について税務署の目のつけどころ、調査方法、対応策等を述べていきたいと思います。

 

Q1仕入勘定について税務署の目のつけどころとしてはどのようなものがありますか。

 

A 仕入勘定の調査は、架空仕入がないか、仕入の繰上計上がないかという点を中心に行われます。以下主なポイントを挙げていきます。

 

@    架空仕入(注)はないか

税務署の調査は不正発見が主な目的であることからまずこの点を重点的に調査します。

具体的には法人(あるいは事業者)が記帳している帳簿や、保管している証憑類を様々な角度から検討します。

 (注)架空仕入とは意図的に仕入取引がないのにかかわらず帳簿に記載して仕入があったように仮装することです。

A    仕入れの繰上計上はないか

適正な期間損益計算の観点からの検討で、本来翌期に計上すべき仕入を当期に計上していないかという点を調査します。

B    簿外仕入簿外売上はないか

仕入を簿外にすれば法人にとって不利になりますが、簿外仕入と同時に簿外売上を行う場合も想定されるため調査では簿外仕入の有無も検討します。

C    仕入値引、返品の処理は妥当か

仕入値引、返品が確定しているにもかかわらず未処理となっていないかを検討します。

 

Q2 仕入勘定について税務署はどのように調査を進めますか

 

A 税務署の調査担当者によって進め方は様々ですがおおむね次のような点を中心に調査を進めていきます。

@    取引の流れ、法人(事業者)が作成している帳簿等の把握

まず事業概況を把握するため発注から入荷、検収、代金決済までの流れを聞きその流れに従って各段階でどのような帳簿等を作成しているか、またどのような証憑類が保管されているか、どのような事実や帳簿等をもとに仕入を計上しているかを検討します。そして、このような流れの中で架空仕入や仕入繰上計上の有無を調査します。

A    仕入の計上時期の妥当性の検討

商品等の流れからみて仕入れの計上時期が妥当かどうか検討します。また期末前の仕入の納品書を調査しその中に翌期のものが含まれていないかを検討します。

B    仕入代金の決済状況等からの検討

  例えば通常は代金決済が振込であるが特定取引だけ現金決済である等イレギュラーな取引について決済が妥当かどうか検討します。

C    取引態様からの検討

  スポット取引遠隔地取引、取引金額がラウンド数字のもの等についてその計上が妥当かどうか検討します。

D    買掛金残高からの検討

長期にわたり買掛金残高が多額の取引先について、架空仕入、仕入取消、返品,値引の事実の有無等を検討します。

E    証憑類からの検討

市販の領収証等を使っているもの、手書きのものなどを中心に不審な証憑類を抽出し架空仕入の有無を検討します。

F    反面調査の実施

以上の調査により不審な仕入先が把握された場合、その仕入先に対して反面調査を実施し、その取引の妥当性を検討する場合もあります。

 

Q3 仕入勘定について否認をされない対応策はありますか。

 

A 物の流れや、代金決済状況等から事前に仕入や仕入値引、戻し、返品の計上時期について妥当かどうか再確認しておくことが必要です。対応策としては次のようなものがあげられます。

 

@    物の流れからの確認と整理

売上の場合と同様モノの流れからの検討が重要です。納品書、検収書控、入庫記録などからモノの流れを把握し、実際に計上すべき日に仕入を計上しているかを再度確認します。

また調査の際には自社で作成している帳簿や証憑類を基に物の流れとお金の流れを示し仕入をどの時点で計上しているかを、税務調査の担当者に説明できるよう整理しておくことが必要です。

A    買掛金残高からの確認

買掛金残高が多額になっている仕入先に対してその原因を解明することにより仕入れの金額が過大になっていないか確認しておくことが必要です。

B    翌期の仕入値引、戻し、返品等からの検討

 

Q4 仕入勘定否認の例としてはどのようなものがありますか。

A 仕入勘定否認の例としては次のようなものがあります。

 

@    現金取引、スポット取引(単発取引)からの否認事例

現金取引、スポット取引(単発取引)の仕入先に対して反面調査を実施したところ架空の取引であった。

A    証憑類の検討からの否認事例

市販の領収書や請求書のある取引先からの仕入が架空であった。

B    買掛金残高からの検討による否認事例

買掛金残高が多額の仕入先について検討したところ、仕入の返品処理が計上漏れであった。

C    仕入単価の変動からの検討による否認事例

利益調整のために当期の仕入単価を過大に計上し翌期に仕入値引の形で訂正処理をしていた。

D    商品入荷記録からの検討による否認事例

倉庫における入荷記録がない仕入を検討したところ架空であった。

E    工事原価の付け替え

建設業において、未成工事(期末時点で未完成の工事)に係る原材料等の工事原価を完成工事原価に付け替えていた。

 

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科目別税務調査の目のつけどころ・・・売上割戻し(その1)

7回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・売上割戻し(その1)

売上割戻しとは、商慣習の一種で、得意先に対する払戻しや金銭による支出をいいます。
その額は会社の売上高や売掛金の回収高に比例して、又は売上高の一定額ごとに、あるいは得意先の営業地域の特殊事情、協力度合等を勘案して決められます。

Q1 税務調査において、売上割戻し勘定の目のつけどころはどこですか。

A 売上割戻し勘定の調査は、不正行為を行っていないか、その計上時期は妥当か、交際費に該当するものはないか等を中心に調査がおこなわれます。おもな調査

ポイントは次のようなものが挙げられます。
 
@ 架空の売上割戻しはないか
   税務調査は不正発見が最大の目的です。

A 相手方に対する不正加担はないか
   調査対象者の不正発見だけではなく、得意先等の不正に加担していないかという点もポイントになります。

B 計上時期は妥当か
   売上割戻しの計上時期は相手方に対しその算定基準の明示があるか否かにより、[図1]のように定められています。

C 交際費に該当するものが含まれていないか
   売上割戻が金銭により得意先ではなく得意先の従業員などに支払われているような場合は交際費課税の問題が発生します。

[図1]売上割戻しの算定基準 

 

 

売上割戻しの種類

計上基準

@     

その算定基準が販売価額又は販売数量によっており、かつ、その算定基準が相手方に明示されているもの

割戻しの対象となる商品を販売した日か相手方に割戻額を通知又は支払った日

A     

@    以外の売上割戻し

割戻し額を通知又は支払った日(注)

(注)期末までに割戻金を支払うこと及びその算定基準が内部的に決定されており、確定申告書の提出期限までに相手方にその割戻額を通知した場合は、期末における割戻金の未払計上が継続適用を条件として認められる。

 

Q2 売上割戻し勘定についてどのように調査はすすめられますか

A おおむね次のような点を中心に調査が進められます。

@ 算定基準の把握
  まず売上割戻しについて、税務署の担当者はどのような算定基準に基づいて実施されたかを契約書、覚書、連絡文書、メール等から把握します。
  その際、契約書、覚書、メール等が後からさかのぼって作成したものでないかということも調査の対象になります。

A 計上時期の妥当性の検討
  次に前記の[図表1]の基準に従って、売上割戻しが計上されているかを検討します。
  特に[図表1のA]については割戻額を通知した日、あるいは支払った日まで売上割戻しを計上できないわけですから、そこに計上の前倒しなどの不正がないかを金銭の支払い記録、得意先への通知書等から確認します。

B 割戻し額の妥当性の検討
  算定基準の基礎となっているもの、たとえば売上高、売掛金の回収高等から割戻額の妥当性を検討します。

C 割戻金等の交付状況からの検討
  割戻金等の交付状況の検討は、特に取引先以外に支払われている場合は不正行為や交際費課税の問題が発生する場合がありますので注目して調査を進めます。
  なお金銭以外で割戻が行われる場合の課税関係は下記[図表2]のようになります。

 [図表2]売上割戻と同一基準により物品等を交付する場合

交付物品等 

課税関係 
金銭  単純損金 
物品 

事業用資産(注1)

棚卸資産  単純損金
固定資産 単純損金
物品 それ以外

少額物品(注2)

単純損金
それ以外 交際費
旅行観劇券等 交際費

(注1)   事業用資産とは、相手方において棚卸資産又は、固定資産として販売又は使用することが明らかな物品をいいます。

(注2) 少額物品とは、その購入単価がおおむね3,000円以下の物品をいいます。

 

 

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科目別税務調査の目のつけどころ・・・売上割戻し(その2)

8回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・売上割戻し(その2) 

今回は前回に引き続き売上割戻しについての否認を受けないための対応策、否認事例、誤りやすい事例について説明していきたいと思います。

  Q3 売上割戻しについて否認を受けないための対応策について教えてください。 

 

A 対応策としては次のようなものがあげられます。

 @ 契約内容からの確認

  売上割戻しの契約内容を確認し、割戻額の算定根拠、計上時期を再度確認する必要があります。また、割戻額が売上高等の一定の基準によらないものである場合、その割合がどういった根拠によるものか説明できるように準備しておく必要があります。 

A 相手方への支払い、通知、算定基準明示の有無の確認

 売上割戻しの計上時期は原則として割戻し額を通知または支払った日、その算定基準が 販売額等によっておりその算定根拠が相手方に明示されている場合は割戻しの対象となる商品を販売した日となります。したがって売上割戻しがこれらの事実に基づき計上されているかを確認しておく必要があります。

 B 物品等により売上割戻しを行っている場合における物品等の内容確認

 売上割戻しと同じ基準で物品等を取引先に交付する場合、その物品等が少額物品や事業用資産でない場合には交際費課税の問題が発生しますのでその物品等の内容を確認する必要があります。

 C 支払い相手先の確認

 割戻金の支払い相手先がその取引先の代表者、従業員等である場合には、交際費課税の問題が生じます。

 D 割戻金を留保している場合

 契約等により割戻金が一定期間留保されている場合には、原則として現実に支払いがなされるまではその計上は認められませんからその留保状況を確認しておく必要があります。ただし、ここでは述べませんが例外規定はあります。

 Q4 売上割戻し勘定の否認事例にはどのようなものがありますか。 

A 売上割戻し勘定の否認事例には次のようなものがあります。

 @ 架空の売上割戻しの計上

 簿外資金ねん出のため架空の売上割戻し契約書を作成し、現金で割戻額を支出していた事例

 A 相手方との通謀によるもの

 正規の割戻額に一定額を上乗せして割戻金を相手方に支払い簿外で上乗せ分の返礼を受けていた事例 

B 契約日の改ざんによるもの

 売上割戻しの契約を日付を遡って(バックデート)作成し、売上割戻しに仮装して相手方に対する利益供与を行っていた事例

 C 契約内容によるもの

 契約上の算定基準による売上割戻しより実際の支払われた割戻額のほうが過大であった事例

D 支払い相手先から

 割戻金を得意先の従業員に支払っていた事例 

E 割戻額の通知状況によるもの

 確定申告の提出期限までに相手方に対して割戻額を通知していないにもかかわらず期末に売上割戻金を未払計上していた事例

 F 割戻金の留保状況によるもの

 割戻金を留保するという契約があるにもかかわらず割戻しの対象となる商品を販売したつど割戻を計上していた事例

 Q5 売上割戻勘定について誤りやすい事例を教えてください。 

A 以上説明したもののほかに売上割戻勘定に係る誤りやすい事例としては売上割戻しと同 一の基準で物品を交付する場合における少額物品、事業資産の判定があります。

 @ 売上割戻額を商品券で交付しているにもかかわらず交際費としていなかった事例

 少額物品かどうかの判定(判定は通常の取引単位ごとによる)はその少額物品の購入単価がおおむね3,000円以下の物品であるかどうかで判断し3,000円以下であれば交際費には該当しません。よく問題になるケースとしては商品券やビール券のような商品引換券が少額物品にあたるかということですがしたの[図表1]のように判定します。

 [図表1]商品引換券における少額物品の判定

1) 引き換えることのできる商品が特定されているもの(ビール券、図書券など) その商品引換券の1枚の券面額、又はこれらに相当する金額を基準として少額物品かどうかの判定を行う
(2) 引き換えることのできる商品が特定されていないもの(商品券、お買い物券など) 券面金額がいくらであるかにかかわらず少額物品には該当せず、交付した費用は交際費になる
(3) 旅行券、観劇券、食事券などのように、これと引き換えに特定のサービスを提供するもの サービスは物品ではないので交付に要した費用は交際費になる

 A 売上割戻しとしてゴルフのクラブを交付しているにもかかわらず交際費としていなかった事例

 交付した物品が事業用資産(相手方において棚卸資産又は固定資産として販売又は使用すること明らかな物品)である場合は、その交付に要する費用は交際費に該当しないものとされます。この場合、交付した物品が事業用資産に該当するかどうかは、その物品の性格に応じておおむね[図表2]のように判断します。

 [図表2]事業用資産の例

1)事業用資産に該当するもの

*商品陳列棚、レジスターなど事務用と

 して確実に用いられると認められる器

 具備品*商品運搬用の貨物自動車*従業員の使用する作業服

(2)事業用資産に該当するとはいえな いもの(注)

*貴金属類*美術品*娯楽、スポーツ用品*家庭用家具*家庭用電化製品

(注)このようなものでも、得意先の業種、業態によっては、事業に使用することが明らかな場合もあるので、その得意先の事情により判断する場合も考えられる。

 <参考法令等>法基通251252253

       措通6141)−36141)−4     

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税務調査の目のつけどころ・・・棚卸資産(その1)

9回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・棚卸資産(その1)  

今回は、棚卸資産勘定について税務調査における目のつけどころ等を紹介していきたいと思います。棚卸資産についても税務調査においては売上勘定 仕入勘定とともに最も重要な調査科目の1つです。その理由は、棚卸資産はその額が多額になる場合が多く、その多寡により、課税所得が大きく影響を受けるからです。 

また、棚卸資産は、取引先など外部への影響を考えることなく会社の内部だけで容易にその計上額の調整が可能であること、また調整をしたとしても翌期に戻しいれられるため、翌期にはその調整が治癒されることから、利益調整の手段として利用されることが高い科目だからです。

 Q1棚卸資産勘定の目のつけどころとしてはどのようなものがありますか。 

A 売上高に対応する売上原価の計算要素として期末棚卸高があるが売上原価の計算上期末棚卸高が過少に計上されれば当期の売上原価は過大に計上されることになる。したがって、税務調査においては期末棚卸計上額が過少となっていないか、すなわち、簿外の棚卸資産はないか、棚卸資産の過小評価はないかがポイントとなります。具体的には以下の3点を中心に調査が行われます。 

@ 棚卸除外はないか

 これは、期末の棚卸数量を意図的に除外する不正行為である。棚卸除外は売上原価が過少計上されるのはもちろんのこと、棚卸除外により生じた簿外資 産をさらに簿外で売却したり、翌期に棚卸除外分に見合う架空仕入を計上してつじつまを合わせるといった不正につながる行為である。 税務署の調査担当者はまず、棚卸除外の有無に調査の重点を置きます。

A 棚卸資産の数量、評価は過少ではないか。

 計算誤りなどにより期末の棚卸数量が過少になっていないか、また単価については税務署に届け出た棚卸評価方法によって計算がなされているか、また、単価が過少に計上されていないかがポイントになります。

 B 評価損廃棄損の計上は妥当か。

 評価損は内部的に計上ができるため、その妥当性について検討を行います。 すでに、市場価値がないような棚卸資産については廃棄した上で廃棄損を計上する場合がありますが、調査においては廃棄の事実の有無、計上時期の妥当性について検討を行います。

 Q2棚卸資産について、税務署の担当者はどのように調査を進めるのですか。

A 調査担当者によって進め方には相違はありますがおおむね、次のような点を中心に調査を進めていくものと思われます。

@ 棚卸資産計上までの過程の聞き取りをする。

 期末棚卸高は通常、実地棚卸をして、そこで把握した数量に単価を付して棚卸表を作成、棚卸表における集計額を期末棚卸として計上します。このような過程において、いつ、誰が、どのように実地棚卸をし、把握した数量を集計し、単価を付けたのか、ということを聞き取り不審点はないかを調査します。

A 実地棚卸の際の原始記録を確認する

 実地棚卸の際に使用した棚卸票、メモ書きなどの原始記録を把握し実際に棚卸を行っているか、原始記録における数量と最終的な棚卸表における数量とに差異はないか等を検討します。

B 棚卸資産の保管状況を現場に臨場して確認する

 棚卸資産の保管状況を確認するため、倉庫や資材置き場などに臨場し調査日現在の資産の状況、長期滞留商品の有無、商品受払の手続き、現場における作成帳簿等を把握します。

C 期末前後の売上、仕入から期末数量の妥当性を検討する。 

D 調査日現在の商品有高から期末数量の妥当性を検討する。

 特定商品について調査日現在の有高を把握し、次に決算日から調査日現在までの売上、仕入数量を把握することにより、期末棚卸高の妥当性を検討します。

E 預け在庫の計上漏れの有無を検討する。

 業者の倉庫に預けてある商品が漏れているケースが頻繁にみられるため、倉庫保管料などの計上の有無を確認したあと、預け在庫の全部または一部が簿外となっていないかを確認します。 また、仕入先や外注先に預けてある商品や原材料、仕入先が発送し当社にまだ到着していない商品(未着品という)などについて漏れていないか検討します。

F 仕入単価などから期末評価の妥当性を検討する。

 棚卸資産の評価について税務署に届け出た方法により正当に計算されているかを検討します。また、購入に際しての付随費用が棚卸資産の取得価額に適正に含まれているかについても検討します。

G 評価損計上の妥当性を検討する。

H 廃棄損計上の妥当性を検討する。

 実際に当該棚卸商品が期末までに廃棄されたかどうかを確認するためまず、その商品を廃棄した理由を聞き取ります。その後、廃棄業者から受領した原始記録や社内稟議書など廃棄の事実が明らかとなる資料から、計上の妥当性を検討します。 

〈参考法令〉法令2832 法基通5115112513914、 915 

   

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科目別税務調査の目のつけどころ・・・棚卸資産(その2)

10回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・棚卸資産(その2)  

今回も前回に引き続き棚卸資産について税務調査で否認を受けないための対応策、否認の事例、誤りやすい事例について説明します。

 Q3 棚卸資産について否認を受けないための対応策について教えてください。 

A 

@ 棚卸に際しての原始記録を保管しておくこと。

 調査の際は、まず調査担当者は棚卸を実施したときの原始記録から実際に棚卸をしたのかどうか、実施したときの棚卸数量が正しく期末棚卸高に反映されているかどうかを確認します。 したがって、棚卸をした時の原始記録を基にどのように期末棚卸高を計算し、集計したのかという過程を説明できるようにしておく必要があります。

 A 期末前後の売上、仕入の状況から漏れがないか検討しておくこと。

 主要商品について、決算日前1〜2か月間の仕入数量を基に、また、決算日後1〜2か月間の売上数量を基に数量計算を実施し、棚卸資産の計上漏れがないか確認します。

 B 会社の外部の在庫の有無を確認しておくこと 

 倉庫や外注先、仕入先等に預けてある商品、あるいは未着品などがないかを確認しておきます。 

C 評価方法、計算過程を確認しておくこと。

 期末棚卸資産の評価方法が税務署に届け出た評価方法によっている、また計算過程に誤りがないかを確認しておきます。

 D 棚卸資産の取得価額を確認しておくこと。

 仕入の際の付随費用を棚卸資産の取得価額に含めているかを確認しておきます。(仕入の付随費用の例としては買入手数料、関税、検査料などが挙げられます。)

 E 評価損を計上した場合その根拠を確認しておくこと。 

 品質低下、陳腐化等により評価損を計上した場合、その原因及び計上額の算定根拠を確認しておき、調査の際に説明できるようにしておきます。

 F 除却損を計上した場合それが妥当であるかどうかを確認しておくこと。

 実際に棚卸資産を除却したのかどうか、また除却が期末までになされているのかどうかについて、廃棄業者の証明書や請求書等の原始記録から確認します。

 Q4 棚卸資産勘定の否認事例としてはどのようなものがありますか

 

@ 棚卸の際の原始記録より 

 保管されている棚卸の際の原始記録を検討したところ原始記録の一部を破棄していることが明らかになったもの。あるいは、原始記録に記録されている数量の一部を改ざんしていたもの。

 A 棚卸表の集計状況より

 棚卸表の集計段階において故意に集計額を誤って計算し、期末棚卸高を過少に計上していたもの。

 B 在庫の現物確認調査より

 倉庫などの棚卸資産の保管場所に臨場し、調査日現在の在庫の状況を確認したところ、調査対象事業年度中に購入した商品が計上漏れになっていたもの。

 C 倉庫保管料より

 倉庫保管料の請求内容から検討を行ったところ、倉庫保管の棚卸商品の一部を除外していたことが把握されたもの。

 D 架空売上の計上

 期末に仕入単価とほぼ同額の単価で架空売上を計上し棚卸除外を行い、翌期に架空売上における単価より高い単価で簿外売上を行っていたもの。

 E 付随費用の計上漏れ 

引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料等、取得原価に含めなければならない費用を含めていなかったもの。

 F 低い単価による仕入

 期末直前に仕入先に依頼して、異常に低い単価で仕入を行い、期末棚卸資産の単価を引き下げていたもの。なお、翌期首の直後には、前回単価を引き下げた見返りに仕入単価は高めに設定されていた。

 G 未成工事支出金に係る工事原価の付け替え

 未成工事支出金に係る工事原価を、完成工事に係る原価に付け替えて期末の未成工事支出金を過少に計上していたもの。

 H 廃棄損の計上時期誤り

 廃棄したとされる商品の廃棄状況を廃棄業者からの請求書等から検討したところ、期末までに廃棄処分が行われていなかったもの。

 Q5 棚卸資産勘定について誤りやすい事例を教えてください。

 

@ 引取運賃、運送保険料、購入手数料の金額が少額であるからという理由で棚卸資産の取得価額に含めなかった事例

 棚卸資産購入に際しての付随費用は引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等の外部付随費用と買入事務、検収、整理、選別、配送等の内部付随費用に分類される。 内部付随費用については、棚卸資産の購入代価のおおむね3%以内の少額なものであればその棚卸資産の取得価額に含めないことができるが、外部付随費用についてはたとえ少額であってもその棚卸資産の取得価額に含めなければなりません。

 A いわゆる規格製品のような代替性のある棚卸資産について個別法を適用していたもの

 個別法をいわゆる規格製品について適用した場合、会社にとって都合のよい価額を恣意的につけられる可能性があるため、適用できないことになっています。

 B 2年前に変更した棚卸資産の評価方法を今回また変更しようとしていたもの

 棚卸資産の評価方法の変更は、現によっている評価方法を採用してから相当期間(3年)経過していることが必要です。ただし例外的に認められるケースもあります。

 C 物価変動、過剰生産、建値の変更等の理由により棚卸資産の評価損を計上していたもの 

 棚卸資産については、破損、型崩れ,棚ざらし、品質低下、災害等による著しい損傷、著しい陳腐化が生じた場合などには、評価損の計上が認められますが、単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の理由だけでは評価損の計上は認められません。 

 

〈参考法令〉法法29,32,33 法令28,29,30,68法基通5−1−1、5−2−1、5−2−20、9−1−6  

    

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科目別税務調査の目のつけどころ・・・交際費(その1)

11回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・交際費(その1)  

 交際費とは、租税特別措置法において「交際費、接待費、機密費その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」をいうとされています。 

 したがって、その範囲は広く、支出の相手方は、得意先、仕入先だけではなく、同業者、従業員、株主、地域住民などの事業関係者が含まれます。また、単なる飲食、贈答の費用だけではなく、謝礼金、リベート、情報提供料、談合金、地元対策費なども交際費に含まれる場合がありその処理について誤りが散見されるところです。 

 さらに、その否認額は、翌期以降認容(翌期以降に所得から減算されること)とならず、社外流出項目となるため、その影響は大きくなります。

  Q1 交際費勘定の目のつけどころとしてはどのようなものがありますか。 

 

 交際費勘定の目のつけどころとしては次のようなものがあります。

 @ 本来交際に該当する取引を交際費に該当しない取引に仮装して処理していないか 

      交際費課税を免れるために、人数の水増し、請求書・領収書の内容の改ざん、バックデートによる契約書の作成などの仮想行為が行われている場合があ  ります。このような不正行為が明らかになれば当然、重加算税対象の否認になります。 

 A 交際費以外の費用科目の中に交際費に該当するものが含まれていないか 

  これは、いわゆる「他科目交際費」の検討といわれるもので必ずおこなわれるものです。特に誤りやすい勘定科目としては、会議費、支払手数料、売上割戻し、広告宣伝費、福利厚生費、給料、寄付金、雑費などが挙げられます。   

 B 固定資産や棚卸資産の取得価額の中に交際費に該当するものが含まれていないか  

   交際費は、その支出が行われた事業年度において課税関係が生じます。したがって固定資産や棚卸資産の取得価額に算入さておりその期の損金になっていない場合でも、その交際費は支出した期の交際費として損金不算入の対象にしなければなりません。 

 C 交際費の中に個人的費用や使途秘匿金に該当するものが含まれていないか  

   法人が交際費として処理している費用の中にも、その内容が役員等の個人的費用や使途秘匿金に該当するものが含まれている場合があります。この場合、役員等の個人的費用であればその役員に対する給与(あるいは賞与)として源泉所得税の問題が生じます。また使途秘匿金であれば使途秘匿金課税(40%の税額加算)の問題が生じます。よって、損金不算入対象とされている費用も調査のポイントとされる場合があります。

 Q2 交際費勘定について税務署の担当者はどのように調査を進めるのですか。 

 担当者によって相違はありますがおおむね次のような点を中心に調査は進められるものと思われます。 

 @ 会社内部におけるチェック体制の把握

   まず、どのような費用を交際費として処理しているのか、また、その判定は誰があるいはどの部署が行っているのか、交際費の支出の承認はどの部署が行っているのかなどの会社内部のチェック体制を把握します。 

 A 元帳、経費帳、証憑類、契約書などからの検討 

 次に、元帳、経費帳などから交際費に該当すると思われる費用を抽出し、それに係る請求書、領収書、契約書などからその内容を検討し交際費加算漏れの 有無を調査します。その際、特に請求書、領収書に人数の水増し、内容の書き換えなどの改ざん、契約書がバックデートで作成されていないか等を重点的に調査します。 

 B 社内決裁文書などからの検討 

 稟議書や社内の決裁文書などから費用に支出目的、支出内容を検討し、交際費に該当するものがないかを検討します。  

 C 交際費に係る予算、実績からの検討  

  会社によっては各部署や担当者ごとに交際費の予算を定めている場合があり、その予算を超えて交際費が必要になった場合に他の科目に仮装して支出を行い交際費課税を免れようとする場合があります。そのため、各部署の予算、実績状況を把握し、交際費課税を検討する場合もあります。

  D 業種、業態からの検討  

  各業種、業態に応じ、特有の交際費支出があります。よって、税務署の調査担当者はその業種、業態に特有の支出について、準備調査の段階で十分理解した上で調査に臨み、これらの支出が交際費として処理されているか、また、計上がない場合には他の科目に仮装されていないか等の検討を行います。例えば建 設業においては地元対策費・談合金・元請担当者に対するリベート、医薬品製造販売業における病院や医者に対する利益供与などがこれに該当します。 

 E 反面調査の実施  

  調査対象法人の社内の帳簿や資料だけではその取引実態が明らかにならない場合はその支出先に対して反面調査を行い取引内容を確認する場合もあります。 

〈参考法令〉措法614、措通61424

 

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科目別税務調査の目のつけどころ・・・交際費(その2)

第12回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・交際費(その2)
今回は前回に引き続き交際費についての否認を受けないための対応策について説明していきます。

Q3 交際費について否認を受けない対応策について教えてください。

 交際費について否認を受けない対応策についてはもっとも重要なことは、交際費以外の科目に交際費に該当するものが含まれていないかをチェックすることです。
以下この点についての科目別にポイントを挙げていきたいと思います。

会議費
会議費と交際費の区別はしばしば、税務署との間でトラブルになります。会議費とは来客との商談、打ち合わせに際して社内または会議を行うにふさわしい場所において、昼食の程度を超えない飲食物の供与に要する費用を言います。
両者の区分のポイントとしては時間帯、場所、単価、アルコールの程度はどうかなどがあり、これらの点から税務調査では交際費に該当するものはないかを確認することになります。
したがって、税務署との無用のトラブルを避けるためにも社内で基準をつくり統一的に処理することが望ましいと思われます。
また、一般的に単価3,000円程度までの飲食費は会議費としても良いというようなことがよく言われますが、税務上会議費として認められる具体的な金額基準はありません。

売上割戻し
 得意先などに対し、売上高に比例して、あるいは売上高の一定額ごとに金銭で支出するものは売上割戻しに該当し交際費には該当しません。しかし、割戻しを金銭ではなく物品等の交付で実施する場合、たとえば宝石などの貴金属類、商品券、食事券など業務用資産(棚卸資産や相手方が固定資産として販売または使用することが明らかな物品)
や少額物品(購入単価がおおむね3,000円以下の物品)以外のものを交付すると交際費に該当します。
 また割戻金をその得意先などではなく、得意先等の役員や担当者個人に支払った場合は、たとえ金銭で支払った場合であっても交際費になります。

販売促進費
 一般顧客から新規の客を紹介してもらったことに対する謝礼金などのように、情報提供を業としていないものに対する謝礼金については次の3つの要件すべてを満たしていなければ交際費になります。
・その金銭などの交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること
(契約は必ずしも契約書の形で作成されたものだけに限りません。)
・提供を受ける役務の内容がその契約において具体的に明らかにされていること
・交付した金品の価額が役務の内容に照らして相当と認められること

福利厚生費
 交際費における接待の相手方は得意先や仕入先などには限りません。会社の役員、従業員、株主、地域住民等も含まれます。したがってたとえば社内において特定の従業員だけを飲食により慰労するような場合は交際費とされる場合があります。

広告宣伝費
 通常広告宣伝活動は不特定多数の一般消費者を対象として行われるものです。したがってたとえば次のような者は一般消費者には当たりませんので注意が必要です。
・医薬品メーカーや医薬品販売会社における医師や病院
・化粧品メーカーにおける理美容院
・建材メーカーにおける建築業者 など
旅費交通費
 交際費には得意先等を接待、供応するための費用がすべて含まれます。したがって接待の際得意先をタクシーなどで送迎する費用や、手土産代等も交際費となります。これらの交通費を交際費に含めていな法人が多く見受けられますので注意が必要です。

会費
 親睦を目的とした同業者団体の会費やロータリー、ライオンズクラブ等の入会金や通常会費などは交際費に該当します。自社が入っている同業者団体の会則などを入手して内容を確認し交際費とすべき会費でないかを確認する必要があります。
 その他の交際費になる会費の例
  ・ゴルフクラブの会費やプレー代、名義書換料(新規に会員権を取得した場合を除く)、ロッカー料

寄付金
 事業に直接関係のない者に対して金銭や物品などを贈与した場合は、原則として寄付金として取り扱われます。したがって寄付金勘定の中に事業に関連する者に対する支出が含まれていないか、また含まれている場合それが交際費に該当するものでないかを十分に検討しておく必要があります。

交際費等から除かれる「一人当たり5,000円以下の飲食費等」
 平成18年4月1日以後に開始事業年度より1人当たり5,000円以下の飲食費(ただし、いわゆる「社内交際費」や「社内飲食費」は除く)については交際費とは別に損金算入が認められているが、この規定を受けるためには財務省例で定める書類の保存が必要になる。したがって当該規定を適用している法人については書類の保存はされているか、要件には合致しているかを再度確認しておく必要がある。(令21条の18の2に規定する要件を具備しなければならない。)

その他
 その他、入札における談合金の支出や総会対策としていわゆる総会屋に支払う費用も交際費とされますがこれらの支出は外注費、支払手数料、広告料、情報提供料等の科目に仮装して支出されることが多いようです。したがって、税務調査においてはこれらの支出が交際費であるとして否認された場合、科目や支払う理由を仮装しているとして重加算税の対象となる場合がほとんどです。
 これらの支出は本来あってはならないものですが、仮に支出する場合は間違いなく交際費として処理しておくことが必要です。

〈参考法令〉措法61の4、措通61の4(1)−1、61の4(1)−3、61の4(1)−4、
 61の4(1)−8、61の4(1)−9、61の4(1)−10、61の4(1)−15、61の4(1)−21、61の4(2)−7、法基通9−7−14、9−7−15、9−7−15の2

 

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科目別税務調査の目のつけどころ・・・交際費(その3)

13回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・交際費(その3)

今回は前回と同様交際費勘定について税務調査での否認事例、誤りやすい事例について説明していきたいと思います。

 Q4 交際費勘定の否認事例としてはどのようなものがありますか

 

 交際費勘定の否認事例は様々なケースがありますが、よく見受けられるのは不正計算を理由に否認されるケースがあります。例としては次のようなもの挙げられます。

 @ お中元お歳暮の費用 

   お中元やお歳暮にかかる金額のうち単価が3,000円以下のものを抽出して、少額であるとの理由で交際費から除外していた事例 

A 社員慰労のための費用  

   特定の社員のみを対象とした「慰労」という名目で高級料亭、クラブ等における飲食の費用を福利厚生費として処理していた事例

 B 居酒屋での会議費  

  本来、会議をするのにふさわしくない場所での飲食費を打ち合わせのための会議費として処理していた事例

 C 会議が終わった後での飲食費 

 得意先との会議が終わった後、打ち上げと称して料亭で飲食した費用を会議費として処理していた事例 

D 得意先の役員に対する売上割戻し 

 売上割戻しを得意先ではなくその役員や従業員個人に対して行っていた事例

 E 業務用資産でないものによって行われた売上割戻し 

 売上割戻しと同一基準で得意先に物品を交付しているが、その物品が宝石・貴金属類・ゴルフクラブセットなど事業資産に該当しないものによって行っていた事例 

 F 談合金の仮装経理 

 談合金の支出先を明らかにするのを避けるため、外注費として計上し、帳簿類に架空の作業内容を記載していた事例

 G 地元対策費のねん出  

  工場建設の際に生じた地元住民の反対を抑えるために地元の有力者に支払った工作活動費を設計料に仮装していた事例

 H 情報提供料の支出  

 情報提供を業としていない者に対して支払った情報提供料について、契約に基づいて支出しなければ交際費となるため、後日契約書をバックデートして作成した事例

 Q5 交際費勘定の誤りやすい事例を教えてください。

 

 誤りやすい事例としては以下のようなものが挙げられます。

 @ 接待に係るタクシー代を交際費として処理していなかった事例  

  得意先等を接待した時にタクシーを使ったときは旅費交通費ではなく交際費になります。具体的には得意先を接待を行う場所まで招くためのもの、得意先を自宅まで送り届けるためのもの、接待を行う自社の社員が接待場所まで移動するためのもの、自社の社員が深夜に帰宅するためのものなどが該当すると思われます。 

A 売上割戻しと同一基準で商品券を交付しているにもかかわらず交際費として処理していなかったもの

 商品券など引き換える物品が特定されていない商品引換券を得意先などに交付した場合、たとえそれが売上割戻しと同一基準で交付されたものであってもその費用は交際費に該当します。(旅行券、観劇券、御食事券なども同様です)  ビール券、図書券などのように引き換える物品が特定されているものについては、売上割戻しと同一基準で交付した場合、その券面額がおおむね3,000円以下と少額であれば交際費には該当しません。

 B 売上割戻しを売上高や売掛金の回収高に比例して実施していなかったとして交際費処理していたもの 

 得意先がある営業地域の特殊事情、協力度合いなどを勘案して金銭で支出費用については交際費に該当しないとされています。

 C 社長の長男である専務の結婚披露宴の費用を、その披露宴に得意先等を多数招いたとの理由で交際費処理していたもの 

  結婚式や結婚披露宴は社会通念上、個人的色彩が強い私的な行事であり個人が負担すべきものです。 したがって、得意先などを多数招いたとしても交際費ではなく専務に対する役員賞与として取り扱われます

D 役員に対する渡し切り交際費を交際費として処理していたもの
  役員などに接待に使用するという名目で毎月定額を支給し、しかもその使途については報告を求めないという、いわゆる渡し切り交際費というものがあります。この渡し切り交際費は支給された者の給与として課税されます。
  これが、給与とはされず法人の交際費であると処理するためには次のような点について注意する必要があります。
  ・必ず領収書などによりその使途を明確にしておくこと
  ・領収書が取れない場合はその状況をできるだけ詳細に記録しておくこと
  ・渡し切りにせず必ず精算を行うこと

 

 <参考法令>措法61の4
         措通61の4(1)−3、61の4(1)−4、61の4(1)−8
         61の4(1)−15、61の4(1)−16、61の4(1)−21
         61の4(1)−22、61の4(1)−23


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第14回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・交際費(その4)

14回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・交際費(その4)

 

交際費の額はいくらとすべきかという問題が税務調査でよくトラブルになります。以下代表的な事例をご紹介します。

 

* パーティを開催した場合に受け取った祝い金の処理について

【事例】

 ある法人が得意先、仕入先等を招いて記念パーティを開催し、その開催費用や記念品代として100万円を支出したが、得意先等の参加者から祝い金として40万円受領したので最終的な負担額が60万円となったような場合に交際費として処理すべき金額はいくらになるか。

 

@ 会費制をとらなかった場合・・・交際費の金額はその会社がパーティ開催に際して直接要した費用100万円となり、祝い金40万円は雑収入に計上することになる。

 

A 祝い金ではなく会費制をとった場合・・・パーティ費用100万円と会費40万円との相殺後の金額60万円が交際費になる。

 

上記のような処理の相違は祝い金は会社の任意で支払われるものであるのに対して会費は、その会費を支払わなければパーティに参加できないわけであり、いわば、パーティ費用のうちの一部を参加者が負担したことになるからです。

 

≪会社の対応策≫・・・パーティ等を開催する際に、交際費の額を抑えたい場合には、会費制にできる余地がないかどうか開催前に検討しておくことが必要でしょう。

 

* 遠隔地で会議を行った場合

【事例】

 メーカーなどが温泉地等の遠隔地で全国の代理店を集めて全体会議・宴会等を行う場合、それらに要した費用のうちどれだけを交際費とすべきかということもたびたび問題となります。

  例えば以下のような費用が生じたとします。

1)現地までの交通費、宿泊代240万円

2)現地での営業会議費用  40万円

3)現地での宴会・観光費用 80万円

          合計  360万円

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 これらの費用のうち2)の営業会議費用40万円は会議費として、3)の宴会・観光費用は交際費としてそれぞれ処理すべきですが、問題は1)の交通費・宿泊代を交際費とすべきかどうかということです。

 

ポイント・・・この場合現地で行われた会議が会議としての実態を備えているかどうかが、判断の基準となります。

 すなわち、現地で行われた会議が会議としての実態を備えておれば(1)の交通費・宿泊代240万円は会議に通常要すると認められる費用になり、交際費の額に含める必要はありません。

 一方、会議としての実態を備えていないと判断された場合は、(2)の営業会議費用40万円のみが会議費とされ、残りの320万円は交際費として処理しなければならなくなります。

 

≪会社の対応策≫・・・会議の実態を備えているかどうかは事実認定の問題ですが、例えば会議の時間が1〜2時間程度で内容的にもあいさつ、スライド映写、営業戦略・営業概要の説明程度のものであれば税務調査の際にその実態なしと判断される可能性が高いでしょう。

 遠隔地で会議と接待・慰労等を実施した場合。税務調査の際必ずその内容について質問されます。

客観的証拠として請求書や領収証等は当然ですが。案内状、日程表、参加者名簿、配布資料、会議の議事録等は必ず保管しておく必要があります。

 

 

 

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第15回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・寄附金(その1)

第15回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・寄附金(その1)

 今回からは寄附金勘定について、税務調査における調査のポイント及びその調査方法についてみていきたいと思います。寄附金は企業会計上はその全額が費用となるべきものですが、法人税法上は一定の損金算入限度額が設けられています。税務調査においても他の科目との区別、親子会社間取引等がよく問題となります。

  

Q1 寄附金勘定についての目のつけどころにはどのようなものがありますか。

  

 

A 寄附金勘定の調査は以下の点を中心に行われます。

 

 @ 寄附金の計上時期が妥当かどうか。

  寄附金は税務上、現実に金銭や資産等を引き渡した時点で寄附があったと認識されますので、税務調査の際はその計上時期が妥当かどうかが検討されます。

 

 A国等に対する寄附金、指定寄附金、特定公益増進法人等に対する寄附金についてはその要件を満たしているか。      

  これらの寄附金については一般の寄附金とは別枠で損金算入の特例が認められています。ただし、それぞれの寄附金について、指定期間、募集目的等その特例が認められる要件があり、それらの要件を満たしているかということが調査のポイントになります。

 

B 個人的費用に該当するものはないか。

  本来は、社長等の個人が行うべき寄附を法人で行う場合がよく見受けられます。

  寄附金を計上した場合、その寄附を行った経緯等から、個人的寄附金を法人が負担していないかという点も検討されます。

 

 C 繰延資産に該当するものはないか。

  例えば、国や地方公共団体に寄附を行った場合でも、自己が便益を受ける公共的施設を寄附したような場合はその費用は国等に対する寄附金には該当せず、繰延資産として計上しなければなりません。

 

D 親子会社、関連会社等グループ法人間における取引価格は妥当か。

  親子会社間の取引は、第三者間の取引と異なり、その取引価格を恣意的に決めること が容易であり、その取引を通じて子会社等に利益供与を行ったり、債務免除、無利息貸付無償での人材派遣等の利益供与が行われる場合があります。  

  このような利益供与は原則として寄附金に該当するため、親子会社間等の取引について は利益供与の有無が調査のポイントとなります。 

 

Q2 寄附金勘定について、税務署の担当者はどのように調査を進めていきますか。

 

A 寄附金勘定について税務署の担当者は経費帳、領収証、受領証はもちろんであるが、相手からの寄附の要請書、礼状、寄附を行うことを決定した際の稟議書、役員会議事録等の資料をもとにして以下のような点を中心に調査を進めていきます。

 

@ 領収証など証憑類からの検討 

  寄附金の計上時期は、現実に金銭や資産等を引き渡した時点ですので、領収証等から金 銭や資産等の動きを確認し、未払計上を行っていないかが調査されます。

  また、国等に対する寄附金の場合には、採納手続きが行われたことを証する書類があ  るか、指定寄附金、特定公益増進法人に対する寄附金については、寄附の要請書等からそれらの要件に該当する寄附金であるかどうか、領収証や受領証等の日付から指定期間内に寄附が行われているかどうか、ということについても調査が行われます。

 

A 寄附を行った経緯からの検討 

 寄附を行った場合、その寄附に至った経緯も検討対象になります。  

 例えば、本来、役員個人に寄附をお願いしたものを法人がその寄附を負担し相手方も寄附は個人から受けたという認識がある場合には、その寄附金は役員賞与に該当する可能性が高いものです。  

 また、国等に対する寄附の場合であれば、その寄附が自己が便益を受けるためのものであり、繰延資産に該当するものでないかどうかを確認する必要があります。

  このような、寄附を行った経緯について、相手方からの要請書、稟議書、社内会議資料、寄附の申出書、採納通知者、寄附が現物で行われた場合におけるその現物にかかる請求書、領収証、請負契約書等から検討し、寄附金処理の妥当性を検討されることがあります。

 

 B 寄附を行った相手方からの検討  

  寄附金は、本来、事業との関連性がない者か、希薄な者に対して支出されるものをいいます。

  したがって、寄附の相手先が事業との関連性が深い得意先や仕入先等である場合は、その寄附が何らかの見返りを期待して行われた贈答すなわち交際費に該当するのではないかという点から調査は進められます。寄附の相手方が事業関連者である場合には、その内容につき、寄附の申出書、稟議書、社内会議資料等から検討が行われることになります。

 

 C 親子会社間取引で寄附金に該当するものがないかの検討 

 親子会社間やグループ会社間取引において、商品の販売対価、固定資産の譲渡対価、受取手数料の対価などが、第三者間との取引における取引対価や時価と比べて低額でないかということを検討します。  

 また、子会社等に対して無利息貸付や利息免除、債権放棄、出向者の無償提供などの利益供与を行っていないかを稟議書や社内会議資料等から検討します。

  なお、子会社を再建するために合理的な再建計画に基づいて支援を行っている場合、その支援にかかる費用は寄附金に該当しないこととされていますが、このような場合、再建計画の有無及びその再建計画が合理的なものであるかどうかについても再建計画書、稟議書や社内会議資料等より調査を行います。

 

 D 不正計算の有無の検討  

 不正計算については、領収証、決済状況、寄附に至るまでの経緯等を調査し、その寄附金の計上が簿外資金を捻出するために架空計上されているものでないか、あるいは、交際費課税や使途秘匿金課税を免れるために仮装計上されているものでないかを検討します。

 また、場合によっては相手方に対する反面調査も実施されます。

 〈参考〉法法37、 法令78

      法基通9429422943813 

 

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第16回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・寄附金(その2)

第16回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・寄附金(その2)
 
 今回は税務調査でもよく問題になる交際費寄附金の相違点などを中心に述べたいと思いますす。
 
Q3 交際費と寄附金の相違点について教えてください
 
A 
 交際費も寄附金も、金銭や物品、あるいは経済的な利益を無償で相手方に与えるという点でよくにており、両者の区分や両者の他科目との区分が調査でもよく問題となります。
 
 1 交際費とは 
 交際費とは、法人がその取引先など事業に関係のあるものに対して、接待、供応、慰安、贈答などを行うために支出するものをいいます。

 このような交際費は企業活動を行っていく上で必要不可欠な費用とも思われますが、税務上は その支出が多額となるのを防止して資本蓄積を促進するという趣旨のもと、原則としてその全額 が損金不算入とされています。
 
 2 寄附金とは 
 一方、寄附金とは、法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与など を行うために支出するものをいいます。 寄附金も、企業活動を行っていく上である程度必要な費用であると思われますが、いたずらに法人が寄付を行うのを認めてしまうと、その分、法人が納める法人税額が減少してしまうことも あり、税務上、一定の損金算入限度額が設けられています。

 3 交際費と寄附金の相違点

   よく、交際費は「贈答」であり、寄附金は「贈与」であると言われます。 「贈答」とは、贈ることと返しをすることとされ、何らかの見返りを期待して金品等を贈ることをいいます。 一方、「贈与」とは、一方的に財産を与え、見返りが無いものを言います。 

 このように、交際費と寄附金を区別する基本的な考え方として、

 ・交際費は、(1)法人の得意先、仕入先その他事業に関連するものに対して、(2)何らかの見返りを期待して法人が支出するものであり、

 ・寄附金は、(1)事業との関連性がないか希薄なものに対して、(2)見返り等の反対給付を期待せず、一方的に法人が支出するものであるといえるでしょう。

 政治家主催のパーティ券の購入費用について
  本来、パーティ出席に係る費用は、主席者相互の親睦を図るために行われるもので、交際費 に該当します。

 しかし、政治家の主催するパーティは、(1)その内容に比して参加が高額であること、(2)パーティ券の購入者はそのパーティに出席する割合が低いにもかかわらず大量に購入する場合が多いこと、(3)購入者は、パーティに参加するというより、政治家への資金面での応援を行うという認識のもと購入する場合が多いことなどから、一般的には政治家活動の資金を集めるために行われると見られているようです。

 つまり、パーティ券の購入費用の実態は政治家に対する 政治献金であると考えられます。

 このようなことから税務上、政治団体に対する拠出金は寄附金に該当するものとされており、一般的に政治家主催のパーティ券の購入費用も同様に取り扱われています。 ただし、そのパーティに出席し、政治家や参加者との交流を深める目的でパーティ券を購入した場合や、得意先に贈答するために購入した場合には、寄附金ではなく交際費と認識される可能性もありますので注意が必要です。

 パーティ券の購入費用を寄附金処理した場合には、調査の際、パーティに出席するために購入したものではなく、実質的には政治献金であることを説明できるようにしておくことが必要です。

 そのためには、事前に、パーティ開催の案内状、式次第、購入枚数、当社からの参加人数等が 明らかになる資料をそろえておくことが重要です。

 
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科目別税務調査の目のつけどころ・・・寄付金(その3)

第17回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・寄附金(その3)   

 今回は、税務調査で否認を受けないための対応策と誤りやすい事例について述べたいと思います。  

Q4. 寄附金について否認を受けないための対応策について教えてください  

A. 

(1) 国等に対する寄附金の場合   

 @ 採納の有無の確認      

 税務上、国等に対する寄附金とは、国等において採納され、最終的に国等に帰属するものをいうとされています。 したがって、法人が地元の公立小学校のパソコンやテレビ等を寄附したが採納手続が行われておらず、PTAや 教職員の管理になってい るような場合、税務上、国等に対する寄附金とは認められません。国等に対する寄附を行 う場合(特に物品で寄附を行う場合)、正式な採納手続を経ているかどうかを確認し、採納されたことを証明する資料を入手しておく必要があります。         

 A 自己に便益が及ぶ寄附ではないかどうかの確認      

 国等に対する寄附金であっても、その寄附により、特別の利益が寄附した者に及ぶようなものについては、税務上、国等に対する寄附金とは認められず、その費用は繰延資産とされます。

 例えば、自社工場前の公道が未舗装であり、資材の搬入などに支障があるため、その公道の舗装費用を国等に寄附をしたような場合がこれに該当します。法人は、搬入作業がスムーズに行われる等の便益を受けるために寄附を行ったわけですから、その費用を繰延資産 として計上する必要があります。なお、繰延資金として計上した場合、その償却期間は、その寄附した施設等の法定耐用年数の10分の4(その施設を寄附した者が専ら使用するものである場合には10分の7)とされています。    

 B 個人的な寄附金ではないかどうかの確認       

 法人が国等に対する寄附を行っても、その寄附が、本来、その法人の代表者や役員個人が行うべきものである場合には、その費用の額はその代表者や役員個人に対する賞与となります。

 例えば、代表者の子息が通っている公立高校からその代表者個人で寄附を行うべきところを会社名で寄附を行い、また、その法人とその公立高校とは、業務的にも地域的にも一切のつながりがないような場合などがこれに該当すると考えられます。

  C 私道を国等に寄附した場合の注意事項      

 法人が、専らその有する土地の利用のために設置されている私道を国等に寄附した場合には、その私道の帳簿価額をその土地の帳簿価額に振り替えるものとし、その寄附をしたことによる損失はないものとされています。 これは、私道の利用に係る土地の効用は、寄附の前後において何ら変わりは なく、私道を寄附してもそのことにより、法人は、何ら損失を被っていないという理由からです。   

(2) 指定寄附金、特定公益増進法人等に対する寄附金の場合    

 @ 指定寄附金、特定公益増進法人等に対する寄附金に該当するかどうかの確認    

 指定寄附金、特定公益増進法人等に対する寄附金については、その他の寄附金とは別枠で損金算入が認められていますが、これらの寄附金に該当するか否かを、領収証や寄附の申出書、趣意書等より確認する必要があります。   

 A 指定期間等の確認 

 指定寄附金や特定公益増進法人等に対する寄附金の場合、その寄附について課税上の特例が認められる期間が定め られています。これらの寄附を行う場合、指定寄附金についてはその指定期間内に、特定公益増進法人等に対する寄附金の場合は、その団体が特定公益増進法人等とされているかどうかを確認する必要があります。    

(3) その他の寄附金の場合   

 @ 寄附金の支払日の確認     

 寄附金は、現実にその支払いが行われた事業年度において計上すべきものであり、寄附金の未払計上は税務上認められません。また、寄附金を手形で支払った場合には、税務上、寄附金とされる日は、手形を振り出した日ではなく手形の決算が行われた日となります。したがって、計上した事業年度内に現実の支払いが行われているかどうかを領収証受領証等より確認しておく必要があります。    

 A 交際費等に該当するものはないかの確認    

 寄附金として計上されているものでも、その寄附の相手先が得意先、仕入先、株主等の事業関連者であり、何らかの直接的な見返りを期待して、金銭や物品等を交付した場合には、その交付に要した費用は、寄附金ではなく交際費に該当する場合がありますので注意が必要です。   

 B 親子会社間取引について、低額譲渡・高価買入の有無の確認

  親子会社間取引においては、その取引価額の決定においては、恣意性が介入する余地が大きく、低額譲渡、高価買入となる場合が多く見られます。税務調査の際は、その取引価額の妥当性につき、特に第三者間取引と比較して、調査されますので、その算定根拠につき、明確に説明できるように準備しておく必要があります。また、子会社等に対する債務免除、金利減免などの支援は、子会社の倒産を防止するためやむを得ず行われるものですから、合理的な建計画に基づくもの以外については寄附金とされます。したがって、経営不振の子会社を支援する場合には、合理的な再建計画に基づいて支援が行われているかどうかを確認 する必要があります。

  C 他科目に計上されている費用のうち寄附金に該当するものはないかどうかの確認   

 交際費、広告宣伝費、会費、販売促進費、雑費等の勘定科目のなかに、事業との関連性が希薄な者に対し、見返り等の反対給付を期待せず、一方的に支出されるものがあれば、そのような支出は税務上寄附金に該当する可能性があります。そのような性質の支出が含まれていないかどうかを確認する必要があります。 

 

 Q5. 寄付金勘定には、どのような否認事例や誤りやすい事例がありますか。 

 

 A. 

  (1) 寄附金の計上時期誤り

 領収証等を検討したところ、実際の支出日が翌事業年度であるものを当事業年度の寄附金として処理していたもの。 

   

  (2) 指定告示期間外の寄附等      

     主務官庁の告示した指定期間の後に支出した寄附金を指定寄附金として処理していたもの。 また、特定公益増進法人の証明書類(当該寄附金を支出する以前2年以内に発行されたものに限る)の確認をしないで、以前のまま特定公益増進法人に対する寄附金としていたもの。

 

   (3) 採納手続の有無の確認漏れ 

   国等に対する寄附金として処理されているものの内容を検討したところ、正式な採納手続きがなされていないことが明らかになったもの。

 

 

  (4) 開発負担金の処理

    開発行為の許可条件に従って支出した費用は、当該開発行為によって取得する資産の取得価額、又は公共的施設の設置費用として延資産の額とすべきものであるのに、指定寄附金等としていたもの。 

 

 

 (5) 子会社から受け取る技術指導料の減額      

     子会社から受け取るべき技術指導料の額を、単に子会社が赤字決算になるという理由のみで、期末直前に期首に遡って引き下げていたもの。 

   

 

 (6) 国外関連者に対する寄付金      

     海外子会社など国外関連者に対する寄付金についてはその支出額が損金不算入となるにもかかわらず、その他の寄付金として損金算の限度額を計算していたもの。    

 

 (7) 政治団体に対する寄付      

     政治団体に対する寄付金を交際費又は会費として処理していたもの。    

 

 

 (8) 架空寄附金の計上

     現金払いであり、しかも領収証が手書きであったり寄附を行った経緯に対する説明も不十分である寄附金につき反面調査を実施したところ、その寄付は架空 であり、会社の簿外資金として保留されていたことが明らかになったもの。

 

  (9) 修正申告を行った際の限度額計算誤り     

     修正申告により所得金額が増加した場合には損金算入限度額が増加するのに、これを調整していなっかたもの。 

 

  (10) 確定申告への記載      

      指定寄附金等は、確定申告にその明細の記載があり、証明書等を保存している場合に限り損金算入が認められるにもかかわらず、その記載がないまま、税務計算上、指定寄附金等に該当するものとし損金算 入していたもの(ただし、ゆうじょ規定あり。)

 

 

 

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第18回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・人件費(その1)

第18回 科目別税調査の目のつけどころ・・・人件費(その1)

 

今回は人件費について税務調査のおける調査のポイントを紹介していきたいと思います。

 

 

Q1 人件費について調査のポイントには、どのようなものがありますか。

 

A 調査の際には、架空人件費の計上など不正計算はないか、また人件費のう

 ち損金不算入となるものにつき適正に処理されているかといった点が調査の

 ポイントになります。

 

人件費のうち、損金算入が認められていないものとしては、

(1)役員賞与(事前確定届出給与、利益連動給与を除く)

(2)役員報酬役員退職金のうち過大部分

(3)役員の親族など特殊関係使用人に対する給与、退職金のうち過大部分が

   あります

 

 また、人件費の調査においては法人税調査だけでなく、源泉所得税の調査

同時に行われます。

 

 人件費の調査ポイントとしては次のようなものがあげられます。

 

(1)  架空人件費はないか

 

 

 

 

  人件費における第一の重点項目は不正計算の有無です。そこでまず、会社

 に実在しない架空の人物やすでに退職した人物に対して架空人件費を計上し

 ていないかどうかが調査のポイントとなります。

 

(2)  役員に対する個人的費用の負担はないか

 

  特に同族会社の場合、役員の個人的費用を会社が負担している場合が多く

 見受けられ、調査の際には必ず重点ポイントとなります。

 

  個人的費用の負担が判明すると、認定賞与として法人税の否認が生じる

 と同時に源泉所得税の負担も生じかなりの影響になりますので十分な注意が

 必要です。

 

(3)  過大な役員報酬、役員退職金を支給していないか

 

 

 

 

  役員報酬や役員退職金のうち、不相当に高額な部分については損金算入が

 認められません。

 

  その職務内容に照らして比較的多額な役員報酬、役員退職金が支給されて

 いる場合にはその妥当性が検討されます。

 

(4)  みなし役員に該当するものの把握

  

  同族関係者など一定の持ち株要件を満たすもので経営に従事しているもの

  は登記上の役員でなくても税務上役員とされ、そのものについて支給した役

 員賞与については損金に算入されません。

 

   このようないわゆる「みなし役員」に該当する者がいないか、またその

 ものに対して支給された賞与の処理は妥当かということが調査のポイントに

 なります。

 

(5)役員報酬の額を期中で変動させていないか。

 

   役員報酬を期中で変動させていたり、遡及して一括支給している場合、役

  員賞与に該当するものはないか、利益調整のために行われていないか、と

  いった点が検討されます。

 

(6)使用人兼務役員賞与の処理は妥当か

 

 

 

 

 

 

   取締役経理部長、取締役支店長などの使用人兼務役員については、そのも

  のが税務上の使用人兼務役員に該当するか、使用人分賞与額の算定は妥

  当か、といったことが調査のポイントになります。

 

(7)未払賞与の計上は妥当か

 

 

 

 

 

   利益調整のために期末において未払賞与を計上している場合が多く見ら

  れます。

   そのような場合、その計上は妥当かということが調査のポイントになり

  ます。

 

(8)出向料に係る処理は妥当か

 

   出向料を支払っている場合、その受け入れた出向者が受け入れ先で役員

  である場合には、支払った出向料のうち役員賞与に該当する部分を自己否

  認しているかどうかが調査のポイントになります。

 

   また、逆に出向料を受け取っている場合には、受け取った出向料の額の

  妥当性が検討されます。

 

(9)源泉所得税関係

 

 

   人件費の調査では法人税だけでなく、従業員や役員に対する経済的利益

  現物給与にも着目されます。

 

 

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第19回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・人件費(その2)

 今回は前回に続いて、人件費について税務調査における調査方法を紹介していきたいと思います。

 

 

 

Q2 人件費について税務署の担当者はどのように調査を進めていく

  のですか。

 

  税務署の担当者は概ね次のような点を中心に調査を進めていくものと

 思われます。

 

(1架空人件費があるかどうかの検討

 

   給与台帳や源泉徴収簿と組織図、配席図、社員名簿、タイムカード

  等との突合を行ったり、市役所等に住民登録があるかどうかの照会を

  行い不審者を抽出し架空人件費があるかどうかを検討します。

 

(2)個人的費用の付け込みがないかどうかの検討

 

   特に同族会社の場合は役員の個人的な費用を会社が負担している

  場合が多く見受けられます。

 

    調査においては、法人が支出した経費や取得した資産にかかる領収

  証、請求書などからその内容を検討し個人的費用の付け込みがないか

  を検討します。

 

   また、同時に請求書や領収証の書き換えがないかどうかも検討しま

  す。

 

(3)経済的利益、現物給与がないかどうかの検討

 

   経費科目のうち、福利厚生費、交際費、旅費交通費、支払家賃勘

  等の内容を検討し経済的利益、現物給与の有無を把握し給与所得とし

  て源泉徴収すべきものはないか、あるいは役員賞与とすべきものはな

  いかを検討します。

 

   また、役員と会社との間の取引を把握し資産の低額譲渡、無利息貸

  付、債権放棄、資産の高額買入などがないかについても検討します。

 

(4)過大な役員報酬や退職金がないかどうかの検討

 

   役員報酬については、定款、株主総会議事録などで役員報酬の限度

  額が定められているかどうかを確認し、その限度額を越えて支給され

  ていないかどうかを検討します。

 

   また、職務内容、その法人の収益状況、使用人との比較、同規模同

  業種の他の法人との比較等により、その役員に対する報酬が不相当に

  高額でないかを検討します。

 

   役員退職金については、その役員としての在籍期間、退職の事情、

  同規模同業種の他の法人との比較により検討します。

 

(5)過大な使用人給与・退職金の検討

 

   特殊関係使用人(役員の親族や役員の事実上婚姻関係と同様の関

  係にある者など)に対して支給された給与・退職金のうち不相当に高

  額な部分があるかどうかについても過大な役員報酬・退職金の実質

  的な判定と同様の方法で検討します。

 

() みなし役員給与の検討

 

   まず使用人である同族関係者のうち,株主名簿等から,一定の持株割

  合を有する者を抽出します。

 

  次に、稟議書、経営会議資料などの社内文書から、その者が実質的に

  経営に従事していないかどうかを検討しそれらの者に支給した賞与が

  役員賞与に該当するものがないかどうかを調査します。

 

(7)使用人兼務役員の検討

 

   使用人兼務役員については、その役員が部長、支店長など職制上の

  地位を有しているか、専務、常務、監査役など使用人兼務役員になれ

  ない者でないか、

 

  あるいは、オーナー一族など一定の持株を有しているものでないかを

  検討します。

 

  次に、使用人賞与分としている額の妥当性を、比較対象の使用人に対

  する賞与との比較で検討します。

 

(8)未払賞与の検討

 

   未払賞与については、

 

  @ その支給すべき額を各人別に、かつ支給を受ける使用人全員に通

    知しているか

 

  A 事業年度終了の日の翌日から1か月以内に現実に支払っているか

 

  B 各人に通知した額を損金経理により未払計上しているか

 

 について検討を行います。

 

(9)出向料の検討

 

   親会社などから出向者を役員として受け入れた場合、支払っ

  た出向料の中にその出向者の賞与相当額が含まれていないかを

  検討します。

 

  これは、出向者本人に対する給与の支給状況から判定します。

  そこで賞与相当額が含まれているとされた場合、その金額につ

  いて役員賞与として申告加算しているかどうかを確認します。

 

   また、子会社などから出向料を受け取っている場合には、受

  け取った出向料と出向者本人に支給した給与の額とを比較して

  、子会社等に対する利益供与がないかを検討します。

 

  人件費の調査において検討対象となる帳簿書類には以下のよう

 なものがありますので 御社の状況を再確認してあるべきものがな

 いなど整備がされていない場合はこの機会に整備しましょう。

 

   経費帳

   給与台帳

   賃金台帳

   源泉徴収簿

   扶養控除申告書

   株主総会議事録

   取締役会議事録

   給与振込控

   出勤簿

   タイムカード

   組織図

   配席図

  社員名簿

  履歴書など

 

 

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第20回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・人件費(その3)

人件費について今回は税務調査における対応策を紹介したいと思います。

Q3  
人件費について否認を受けないための対応策を教えてください。

A おおむね次のようなものが考えられます。

 

()人件費関係の書類等の整備

  人件費関係書類等について,下記のようなものを整備し,整理保管され

 ているかを確認しておく必要があります。


  過去の給与・賃金台帳・源泉徴収簿などの帳簿書類はもちろんのこ

 と、株主総会・取締役会議事録、賞与規定、退職金規定、旅費規定、

 出向契約書、タイムカード、履歴書など

(
) 経済的利益や現物給与の有無の確認

 

  経済的利益現物給与に該当するものはないか、代表者等の個人的

 費の付け込みはないかということは、必ず人件費にかかる調査の対

 象となります。

 

  特に、会社・役員間取引や福利厚生費、交際費、旅費交通費、雑費

 などに誤りが多く見受けられますので、経費科目などの内容を検討し

 、事前にこのような支出がないかどうかについての注意が必要です。

 

   また、源泉所得税については、社宅家賃、貸付金利息、宿日直料、

 食事の支給、通勤手当などについて、課税対象とならない一定の金額

 基準が設けられていますので、その基準に合致するかどうかというこ

 とも検討する必要があります。

 

 

(3)同族関係者に対する過大な給与、退職金はないか  

 

  同族会社では、役員の親族である従業員などの特殊関係使用人

 対し て、一般の従業員より多額な給与や退職金を支給している場合

 が多く見受けられます。   

 

 

  このような場合、損金不算入となる過大部分がないかということ

 が検討されますので、一般従業員より多額である理由(地位、勤務

 内容、勤務時間の違いなど)を説明できるようにしておく必要があ

 ります。

 

 

   当然のことですが、同族関係者に対する役員報酬(特に非常勤役

 員)についても同様で、 その報酬の妥当性を説明できるようにして

 おく必要があります。

 

 

(4)株主総会決議、定款により定められた報酬の額の確認   

 

 

  会社法では、株主総会の決議又は定款の定めによって取締役及び

 監査の報酬の額を定めることとされています。

 

 

   しかし、この定めを超える報酬額を支給している場合、税務上は

 過大役員報酬として、形式的に損金算入が認められなくなります。

 

  したがって、支給された役員報酬の額が総会決議や定款の定めに

 よる限度額を上回っていないかどうかを確認しておく必要があり

 ます。

 

  調査においては、定款において役員報酬限度額を定めていたこと

 を忘れていたため、あるいは、単純に前年と同じ役員報酬限度額を

 株主総会で決議し続けていたため、過大役員報酬部分が生じてい

 たという事例がよく見受けられます。

 

(5)未払賞与を支給する場合の注意すべき点 

 

  労働協約などがない場合において、期末の従業員未払賞与の計

 上が損金として認められるためには、翌期開始後1か月以内に賞

 与を支給していることと、期末までに各従業員に対して、その額

 を通知していることが要件とされています。  

 

  調査においては、この期末までに通知がなされていたかどうか

 の確認 が必ず行われますので各人に通知したという事実が明らか

 になる資料を保管しておく必要があります。 

 

(6)役員退職金を支給する場合の注意すべき点  

 

  役員が退職し、役員退職金を支給する場合の、その損金算入の

 時期は妥当か、過大役員退職金部分はないかとういうことを確認

 しておく必要があります。 

 

  特に多額の役員退職金を支給する場合、過大役員退職金に該当

 しないかどうかをその退職する役員の最終報酬月額、勤続年数、

 功績倍率などにより検討する必要があります。 

 

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科目別税務調査の目のつけどころ・・・人件費(その4)

21回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・人件費(その4)

 

Q4 人件費についてどのような否認事例および誤りやすい事例が

  ありますか。

 

A

おおむね次のようなものがあげられます。

 

(1架空人件費を計上していたもの

 架空人件費の計上の有無は、税務調査における最重要調査項目の

 一つです。

 

 架空人件費の計上が明らかになると、その人件費にかかる損金処

 理が認められないだけではありません。

 

 架空人件費で捻出した資金を代表者の個人的費用として支出した

 場合には、代表者個人に対する源泉所得税にも影響しますし、

 支出した相手先を明らかにできない工作費として支出していた場

 合には、使途秘匿金課税の問題が生じることになります。

 

(2)代表者自宅のお手伝いさんに対する給与を法人の事務職員に

   対する給与に仮装して支給していたもの

 法人が役員に対して与えた経済的利益が賞与になるか報酬になる

 かは、その利益が規則的、反復継続的に供与されているかどうか

 により決定されます。

 

 代表者個人が負担すべきお手伝いさんの給与は、毎月定額で法人

 から支給されていますので、本来ならば役員報酬に該当するもの

 です。

 

 しかし、本ケースのように事実を隠ぺい、仮装して経理すること

 により支給された役員報酬については、例外として、損金不算入

 になります。

 

3)役員報酬を日割り計算して未払い計上していたもの

 

 従業員は会社とは雇用関係にあり、日々の労働に対し当然に給与

 を支払う義務が会社に生じます。

 

 したがって、例えばその給与が20日締め25日払いであるような場

 合、期末において、最後の10日間分の給与を日割り計算して未払

 い計上を行う処理が認められます。

 

 一方、役員と会社とは雇用関係ではなく委任関係にあり、役員は

 会社の業務執行を包括的に委任され、その対価として報酬が支払

 われるものであり、日割り計算にはなじまないものとされています。

 

 したがって、役員報酬の日割り計算は認められません。

 

(4)社長の長男である専務の結婚披露宴の費用を交際費として処理していたもの

 

 税務上、結婚式や結婚披露宴は、社会通念として個人的色彩の強

 い私的な行事であり、その費用は個人が負担すべきものであると

 されています。

 

 したがって、そのような費用を会社が負担した場合はたとえ出席

 者の中に取引先や同業者などが含まれていたとしても、交際費と

 は認められず、役員賞与として取り扱われます。

 

(5)役員に対して特別な歩合給を支出していたもの

 役員に対する歩合給が損金として認められるのは、その歩合給が

 使用人に対する支給基準と同一の基準によっている場合に限られ

 ます。

 

 したがって、そうでない場合には役員賞与として扱われます。

 

(6)非常勤役員である代表者の妻に対して高額の役員報酬を支給していたもの

 

 同族会社などにおいて、役員としての業務を全くといっていい

 ほど行っていない名目的な役員に対して、高額な役員報酬を支

 払っている場合がよくあります。

 

 そのような場合、税務調査において、過大役員報酬部分が含ま

 れているとして、役員報酬の一部を否認されるケースがあります。

 

(7)事業年度の途中で臨時株主総会を開いて役員報酬を遡及して増額

  していたもの

 過去にさかのぼって役員報酬の増額が認められるのは、

 @その増額が定時株主総会により決定され、かつ

A増額が、その増額決議をした日を含む事業年度の期首以降分

にかかるものである場合に限られます。

 

したがって、仮にそれ以外の形で行った場合、その遡及増額支給

分は役員賞与として損金不算入となります。

 

 (8)営業担当取締役に対する賞与を使用人兼務役員賞与として損金

  算入していたもの

 

使用人兼務役員は、取締役営業部長、取締役経理部長など、

使用人としての職制上の地位を有する役員を言います。

 

単に、営業担当取締役、総務担当取締役というだけでは、

原則として使用人兼務役員には該当せず、そのような役員に

対して支給された賞与はその全額が損金不算入となります。

 

(9)子会社に対して無償で親会社の使用人を出向させていたもの

子会社に対して無償で出向者を派遣していたような場合、

子会社に対する利益供与であるとして寄附金課税の問題

が生じます。

 

ただし、その子会社の倒産を回避するため、やむを得ず

合理的な再建計画に基づき行われる様な場合は、寄附金

には該当しません。

 

(10)代表者に対する報酬が半減したという理由のみでその代表者

      に対し役員退職金を支給していたもの

役員の分掌変更などによりその役員の報酬が激減するなど、

職務内容が激変し、実質的に退職したのと同じような事情が

生じた場合には、現実に役員が退職していなくても役員退職

金の計上が税務上認められる場合があります。

 

しかし、単に形式上、報酬が激減しただけでは、退職給与と

して認められず、役員賞与であると認定される場合がありま

すので注意が必要です。

 

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第22回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・修繕費(その1)

22回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・修繕費(その1

 

修繕費としてその期の経費として落とせるか、減価償却の対象になる

かは税務調査においては、しばしば問題となり、税務署の調査官と会

社側との見解の相違が見られるところです。

 

修繕費の調査は税務署の調査官にとっては、帳簿などに記載されてい

ない売上除外や棚卸除外を見つけることよりも調査としては簡単にな

ります。

 

理由としては会社が保管している帳簿や資料などを基に検討を行うこ

とになり、本来存在するものから調査するからです。

(あるべき書類がなければ問題外でまず、不正、否認につながるでし

ょう)

 

Q1 修繕費勘定の調査での目のつけどころはどこですか。

 

A 調査のポイントとしては次のようなものがあります。

(1)修繕費勘定の中に資産としてあげるべきもの(資本的支出とい

      う)がないか

  修繕費、補修費、改良費などとして計上されているものの中にそ

    の資産の使用可能期間や効用を増加させるような支出、すなわち

    資本的支出に該当するものがないか。

 

  また、倉庫や事務室を改造するなど、建物などの用途変更を行った

   場合にかかる費用はその建物の価値を高めるための支出であるとし

   て資本的支出に該当します。

 

  さらに、集中生産を行うために機械および装置を移設するために要

   した費用も資本的支出に該当します。

 

  修繕費として法人が処理した費用が調査官に資本的支出であると認

   定された場合、法人が損金として処理した修繕費の多くが翌事業年

   度以降に損金とすべきものであるとして否認されることになります。

 

(2)修繕費の計上時期は妥当か

  特に、事業年度末直前に計上されている修繕費については、翌事

   年度に計上すべきものを繰り上げて計上したのではないかと、まず、

   疑ってかかられますのでしっかりとした説明資料が必要です。

 

(3)架空の修繕費の計上はないか

  税務調査においては不正発見が重点となります。修繕費の計上につ

   いても例外ではありません。

 

  架空の修繕費を計上して、簿外資金を捻出していないか、あるいは

   特定の者に利益供与を行うため実際には修繕を行っていないにもか

   かわらず修繕を行った対価という目的で金銭を支払っていないかと

   いうことも当然調査のポイントとなります。

 

  また、相手方と通謀したり、検収書を改ざんするなどして翌事業年

   度に計上すべき修繕費についてその修繕完了日を仮装し、調査対象

   事業年度に修繕費を計上していないかということも検討されます。

 

Q2修繕費勘定の調査の進め方はどのようですか。

 

A 税務署の調査官はおおむね次のような点を中心に調査を進めます。

(1)見積書、請求書などから修理・改良などの内容の把握

  修理業者などからの見積書、請求書、契約書などを把握してそこ

   記載されている修理・改良などの内容を検討し、資本的支出に該当

   するもの(つまり、翌期以降の経費となるもの)がないかを調査し

   ます。

 

  また、その際その見積書、請求書などが改ざんされたり、差し替え

   られたものでないかどうかという点についても検討が行われます。

 

(2)稟議書、予算書からの検討

  修繕費のうち、金額が多額になるものは、事前に稟議書による承認

   を得たり、予算措置が講ぜられたりするものが多くあります。

 

  したがって、この稟議書、予算書などからその修理・改良の内容を

   検討する場合もあります。

 

(3)現場の担当者に質問をする

  実際に修繕を担当した部署の人と面接をし、修繕を行った場所、具

  体的な工事内容、工事期間、修繕費とした理由などについて質問調

   査を行います。

 

  実際の調査で、経理担当ではなく現場の人に直接質問をすることに

  より、経理担当者の知らなかった事実が明らかになる場合が結構あ

   ります。

 

  この方法は税務署サイドからすればとても効果的な調査手法である

   ので十分気をつけるべきです。

 

(4)修理現場に実際に赴く

  見積書、稟議書などから修理、改良などの内容を把握するとともに

   調査官自らがその修理、改良が行われた場所に赴き実際に修理、改

   良等の状態を確認する場合もあります。

 

   この現物確認という調査手法は最近増えています。

 

   実際に調査官の目で確かめれば、一目瞭然となります。この調査手

   法にも十分気をつけるべきです。

 

(5)修理完了日の確認

  特に、事業年度末に計上されている修繕費については、検収書、工事

   完了報告書、契約書、修理代金の決済状況から入念にチェックされま

   す。

 

  修理・改良等の完了日を改ざんするという不正がよく見られるからで

   す。

 

  会社としては、疑われるような紛らわしい時期に修理・改良などをす

   るのはできれば避けるべきです。

 

(6)反面調査の実施

  以上のような調査によってもまだ、不審点が残るようであれば修理や

   改良をした業者に対して反面調査を行います。

 

  この半面調査によって得た事実と調査対象法人で把握した事実を比較

  検討して処理の妥当性を確認するわけです。

 

  実際に反面調査が行われるということは、その法人の経理処理に税務

  署の調査官もかなり疑いを持っているということになりましょう。

 

  《参考法令

   法令132

   法基通7-8-17-8-27-3-12

 

  

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第23回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・修繕費(その2)

今回も前回に引き続き、修繕費について、税務調査における対応策、否認

事例や誤りやすい事例について紹介したいと思います。

Q3修繕費勘定について否認を受けないための対応策を教えてください

A具体的な対応策としては次のようなものが考えられます。

(1)資本的支出と修繕費の区分の的確化

まず第一に行うべきことは、資本的支出と修繕費を正確に区分することです。
経理担当者は、単に感覚で両者を区分するのではなく、一つの修理・改良等

の工事が耐用年数の延長、価値や効用の増加をもたらすものなのか、あるいは

通常の維持管理、現状回復のものなのかを資料等を基に十分検討し、その理由

づけと共に両者の区分を的確に行う必要があります。

 


また、一つの見積書等に記載されている修理、改良等の工事でも、その工事内

容を細分化すれば、そのそれぞれが資本的支出や修繕費に区分される場合もあ

ります。

 


したがって見積書や請求書ごとの単位ではなく、その中の個々の工事ごとに検

討が必要な場合もありますので注意が必要です。

(2)補修箇所の確認


経理担当者は、資本的支出と修繕費の区分を、契約書、見積書、請求書等の書

類のみで判断しがちです。


しかし、調査官は、補修箇所を現物確認してその処理の妥当性を検討する場合

が多くあります。したがって、経理担当者もできる限り補修箇所に臨場し、書

類上で行った処理の妥当性を確認すべきです。


また、現地に行くことが困難な場合には、担当者から補修の状況を聴くなどし

てできるだけ書類上のみの判断を避けるべきです。

(3)修繕に係る資料、写真の保管


税務調査では、資本的支出と修繕費の区分について必ず質問があります。

したがって、その支出を修繕費にした理由を説明できるような資料を準備すると

同時に、修繕前と修繕後の補修状況を明らかにした写真を撮って保管しておくこ

とも必要です。

 

(4)形式基準の積極的な活用

補修・改良工事には、資本的支出と修繕費の実質的判定が困難なものが多く、少

額なものや明らかに資本的支出あるいは修繕費と認められるものを除き、基本通

達で定められているいわゆる60万円基準や7:3基準といった形式基準を積極

的に用いることが重要となります。詳しくは専門家にお尋ねください。

 

5)修繕費の該当する工事費用の見積書や請求書などに「改良、補強、改造、

   強化」などの文言を使用しない。

 

このような文言が見積書などに記載されていると、税務調査の際、調査官はどう

してもその文言にとらわれて資本的支出として認定しがちになります。

 

税務上、修繕費に該当するような支出であれば極力そのような文言を使用するの

は避けるべきでしょう。

 

Q4修繕費勘定における、否認事例や誤りやすい事例について教えてください。

 

A典型的な事例としては次のようなものがあります。

 

(1)架空の修繕費を計上して簿外資金をねん出し、工作費に充てていたも

   の

 

(2)代表者の自宅改修に係る費用を、見積書、請求書などを改ざんすること

   により工場の修繕費用に仮装して処理していたもの

 

(3)事業年度末には修繕工事が完了していないにもかかわらず、工事業者に依

   頼して修繕に係る工事検収書の日付を改ざんして、あたかも事業年度末に

   完了したかのごとく仮装し、当事業年度末に修繕費を計上していたもの

 

(1)から(3)の否認事項はいずれも、法人が仮装、隠ぺい行為を行ってお

り、不正計算に係るものである。よって、その否認額は重加算税の対象となり

ます。

 

税務調査においては、このような不正計算の有無の検討が最重点項目となります。

 

(4)建物のスチールサッシをアルミサッシに取り替えたにもかかわらず、その

   取替費用全額を修繕費としていたもの

 

(5)中古建物を購入し、事業の用に供する際に行った雨漏り部分の補修、壁の

   塗り替え、傷んだ床面部分の補修に要した費用を修繕費として処理してい

   たもの

 

(6)倉庫を事務室に改装した費用を修繕費として処理していたもの

 

(7)集中生産を行うための機械装置の移設費用を修繕費として処理していた

   もの

 

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第24回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・固定資産(その1)

24回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・固定資産(その1)

 

Q1 固定資産の調査のポイントとしてはどのようなものがありますか。

 固定資産の調査のポイントとしては次のようなものがあります

 

(1)固定資産の取得価額は適正か

  これが調査の際重要ポイントです。

  固定資産の取得価額の決定はその後の減価償却費の計算の基礎となるべきものであり極めて重要です。仮に固定資産の取得価額に含めるべき費用を支出時の損金としてしまうと、資産を取得した事業年度の所得計算に直接影響が及びます。

 

  したがって、固定資産の取得があった事業年度については必ずその計上された取得価額の妥当性が検討されます。

 

(2)耐用年数、償却方法は妥当か

  減価償却においては、法人の恣意性を排除するため、その耐用年数、残存価額、償却可能限度額、償却方法などの規定が詳細に定められています。これらの規定に従って、減価償却計算が適正に行われているかどうかが検討されます。

 

(3)減価償却費の計上そのものが妥当か(架空ではないか)

  書画骨董や電話加入権等の非減価償却資産や事業の用に供していない資産や稼働休止資産については減価償却費の計上は認められないが、計上していないかどうかを検討します。

  また、架空の減価償却資産を計上して架空の減価償却費を計上していないかというような不正計算の有無についても、検討します。

 

(4)固定資産売却損益の計上は妥当か

  期中に固定資産を売却している場合、その売却損益について、計上時期の妥当性が検討されます。また、売却価額及び譲渡原価が適正かということについても検討が行われます。

 

(5)グループ法人、同族関係者間における固定資産の売買取引価額は適正か

  これも調査の際の重要ポイントです。

 

  グループ法人や同族関係者間で固定資産が売買されている場合、恣意性が働きやすいため第三者との取引以上に取引価額が妥当かどうか検討されます。

 

  検討の結果、低廉譲渡や高価買入が行われていることが判明すると、寄付金課税や認定賞与等の問題が生じることになります。低廉取得の場合には受贈益計上の問題が生じることになります。

 

(6)除却損の計上時期は妥当か

  法人が計上した除却損については、その計上時期、計上金額は妥当かどうかが検討されます。また、有姿除却により除却損が計上されている場合には、今後通常の方法により事業のように供される可能性がないかどうかについても検討されます。

 

Q2 調査官はどのように固定資産について調査を展開するのでしょうか。

 おおむね、次のような点を中心に調査が展開されます。

 

(1)固定資産取得に係る関係書類の検討

  固定資産の取得価額の妥当性を確かめるため、契約書、見積書、請求書、納品書などを検討します。

 

  また、支払手数料、運送費、租税公課、雑費勘定等より、取得価額に算入すべき付随費用などが取得価額から漏れていないかどうか検討します。

 

(2)耐用年数、償却方法は妥当か

  法人が適用している耐用年数の適否については、耐用年数省令における耐用年数表を基に、場合によっては、現物確認、固定資産管理責任者等に質問するなどして検討を行います。

 

  償却方法の妥当性については、届出がされている償却方法により償却を行っているかどうか、税務上認められている償却方法以外の償却方法を適用していないかを償却方法の届出書等より検討します。

 

  また、期中に減価償却資産を取得した場合、事業年度の変更などにより事業年度が12カ月未満となった場合、償却方法を変更した場合などにおいて、償却限度額の計算が妥当かどうかを固定資産台帳等より検討します。

 

(3)償却開始時期の妥当性の検討

  減価償却資産については、その資産を事業の用に供した日から償却が可能になりますので、その減価償却資産が事業に供した日がいつかということを、契約書、納品書、検収書、運転日報、その資産により製造された製品などの流れ、資産取得代金の決済状況、現場担当者に対する質問等により確認します。

 

(4)少額減価償却資産に対する検討

  取得した減価償却資産が取得価額10万円未満の少額減価償却資産あるいは取得価額20万円未満の一括償却資産あるいは取得価額30万円未満の少額減価償却資産の損金算入特例対象とする減価償却資産に該当するかどうかは、通常1単位として取引される単位の価額で判定されます。

 

  少額な減価償却資産に該当するかどうかを、請求書や見積書、実際の使用状況を確認することにより検討を行います。

 

(5)特別償却制度適用の適否についての検討

  減価償却資産につき租税特別措置法による特別償却を実施している場合には、適用対象法人、対象資産、適用期間等が措置法の規定に抵触していないかを検討します。

 

(6)除却損計上時期、計上額の妥当性の検討

  除却損計上時期の妥当性については、実際に除却された時期がいつであるかを確認するため、稟議書、取壊費用や廃棄運賃に係る請求書・領収証、廃棄業者の証明書、スクラップ売却代金に係る領収証控え等から検討を行います。

 

  必要があれば、廃棄された資産が存在した場所の現場を確認したり現場担当者に対しても廃棄時の状況を質問するようなことも行われます。

 

  また、有姿除却が行われている場合には、除却損計上後のその資産の状況を確認するとともに、その計上額について、除却資産の帳簿価額からその資産の処分見込価額を控除して計上されているかどうかについても検討されます。

 

 

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第25回 科目別税務調査の目の付けどころ・・・固定資産関係(その2)

第25回 科目別税務調査の目の付けどころ・・・固定資産関係(その2)

 

今回は、固定資産関係について否認を受けないための対応策、否認事例及び誤りやすい事例について紹介していていきたいと思います。

 

Q3 固定資産関係について否認を受けないための対応策について教えてください

 

A 固定資産関係について否認を受けないための対応策としては、次のようなものが考えられます。

 

(1)  取得価額に含まれる費用を確認すること

 

 

減価償却資産の取得価額には、原則としてその資産の購入価額だけでなく、購入に伴って発生する付随費用及びその資産を事業の用に供するための費用も含まれます。

 

 したがって、減価償却資産の取得価額の中に引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税、据付費、試運転費などが含まれているかどうかを確認する必要があります。

 

 また、固定資産購入に係る借入金利子、不動産取得税、特別土地保有税、新増設にかかる事業所税、登録免許税、建設計画変更により不要となったものに係る費用については、その費用を固定資産の取得価額に含めるかどうかは法人の任意であるとされています。ただし、いったんこれらの費用を固定資産の取得価額に含めた場合、翌期以降の事業年度で、改めてこれらの額を抜き出して損金処理することは認められません。

 

(2)  償却開始時期を確認すること

 

 減価償却費の計上は、その資産が事業の用に供された日以降に可能となります。

したがって、新規に取得した減価償却資産が、いつから事業の用に供されたかを明らかにし得る書類を用意しておく必要があります。具体的には、たとえば、機械装置であれば作業日報、運転日報、工具であれば受け払い簿、賃貸用マンションであれば入居者募集のチラシなどが挙げられます。

 

(3)  耐用年数、償却方法が妥当かどうかを確認すること

 

償却計算において各減価償却資産に用いる耐用年数については耐用年数省令における耐用年数表によっているか、中古資産の場合その耐用年数の算定は妥当かどうかということを固定資産台帳などにより確認する必要があります。

 

 また、償却方法についても、税務署に届け出た償却方法によっているかどうかを確認しておく必要があります。

 

(4)  除却時期を証明できる資料などを把握しておくこと

 

 除却損の計上は、原則として、事業年度内にその資産を現実に除却しなければ認められません。

 したがって、除却損の計上に当たっては、その資産の除却が事業年度内に行われたことを証明するために、廃棄業者などから業者の証明書、廃棄費用支払いにかかる請求書・領収書、マニュフェストなどを取っておくとともに、実際に除却した際の様子を日付入りに写真に撮って保管しておくことが必要になります。

 

 また、有姿除却を行った際は、その資産の使用を廃止しており、今後通常の方法により事業のように供する可能性がないということが明らかになる資料(機械運転日報、稟議書、有姿除却後の写真など)を備えておく必要があります。

 

Q4 固定資産関係については、どのような否認事例及び誤りやすい事例がありますか。

 

A 固定資産関係における否認事例及び誤りやすい事例としては、次のようなものがあります。

 

(1)  年の途中で取得した建物にかかる固定資産税相当額の支払額を、租税公課として処理していたもの

 

 この場合、前の所有者が負担した固定資産税のうち譲渡後の期間に対応する固定資産税相当額を買主が負担するというケースがよくあります。

 しかし、固定資産税は、あくまでも1月1日現在の所有者に対して賦課決定されるものであり、年の途中で固定資産を取得した所有者には納税義務は生じません。そのため、買主が負担した固定資産税相当額は、税務上、固定資産そのものではなく、取得した固定資産につき買主が固定資産税を納付することなく利用できる対価、すなわち、取得した固定資産の対価の一部であるという考え方をとっています。

 

 したがって、売買価額とは別に固定資産税相当額を受け取ったとしても、その固定資産税相当額は固定資産の取得価額に含めなければならず、租税公課として損金処理することはできません。

 

(2)  建物付き土地を取得し1年以内に建物を取り壊した場合、その建物の取得価額および取壊費用を損金処理していたもの

 

 通常、法人が建物を取壊した場合、その建物の取得価額及び取壊費用についてはその建物を取り壊した事業年度の損金として処理することが可能です。

 

 しかし、建物付土地を取得し、その取得後おおむね1年以内にその建物の取壊しに着手するなど「当初からその建物を取り壊して土地を利用する目的でその物件を取得したこと」が明らかであると認められる場合には、その建物の取得価額及び取壊費用は、その土地の取得価額に含めなければなりません。

 

(3)  自社制作のソフトウエアについて資産計上を行っていなかったもの

 

 従来、ソフトウエアはノウハウに準ずるものとして繰延資産として取り扱うこととされていました。しかし、平成12年度の改正により平成12年4月1日以降取得したソフトウエアが無形固定資産として取り扱われることになったことに伴い、従来、資産計上する必要がなかった自社制作のソフトウエアについても資産計上が必要とされています。

 

 その場合におけるソフトウエアの取得価額は、そのソフトウエアを制作するために要した原材料費・労務費・経費、及びそのソフトウエアを事業の用に供するための費用とされています。

 

(4)  稼働休止資産について減価償却を行っていたもの

 

 事業の用に供されていない減価償却資産について減価償却が認めらていないのと同様、稼働休止資産についても減価償却費の計上は原則として認められません。

 

 なお、その稼働休止資産について必要な維持補修がなされており、いつでも稼働できるような状態にある場合には、減価償却費の計上が認められています。

 

(5)  取得価額10万円未満の電話加入権を取得した際、少額であるという理由でその取得価額全額を損金処理していたもの

 

 

    土地、電話加入権、書画骨董などのように、減価償却が認められていない資産については、たとえその資産の取得価額が少額であったとしても、減価償却資産において認められている少額な減価償却資産に係る取扱い(少額減価償却資産、一括償却資産)は適用できません。

 

    ただし、書画骨董に該当するかどうか明らかでない美術品などで、その取得価額が1点20万円未満(絵画にあっては号2万円未満)であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができ、少額な減価償却資産に係る取扱いが適用可能であるとされています。

 

(6)  一括償却資産につき除却損を計上していたもの

 

 取得価額が20万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産に対する規定の適用を受ける資産を除きます。)を取得し、事業の用に供した場合には、それらの減価償却資産の全部または一部を一括したもの(一括償却資産)の取得価額の合計額の3分の1ずつを、事業の用に供した事業年度から3年間にわたって損金処理することができます。

 

 一括償却資産の損金算入限度額は、その事業年度中に事業の用に供された一括償却資産の合計額をもとに計算されるものであって、個々の資産ごとにそれぞれの限度額を算出するものではありません。また、その後の事業年度において、その資産を除却したり売却したりしたとしても、その時点で、未償却残高を全額損金とせず、資産の有無にかかわらず、毎期3分の1ずつ償却計算を続けていく必要があるとされています。

 

 

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第26回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・有価証券(その1)

今回からは有価証券について税務調査における対応策などを述べていきたいと思います。

 

Q1 有価証券勘定の調査ポイント何ですか。

 

A 有価証券の調査ポイント及び調査の進め方は次のようなことが考えられます。

 

(1)  簿外の有価証券がないか

 まず、簿外の有価証券が存在しないかということを、有価証券の現物確認、保護預かり証書、株式発行会社の配当金支払調書などから検討します。

 

(2)  有価証券の取得価額は妥当か

 また、有価証券勘定については、その取得価額の計上は妥当か、有価証券の取得価額に含めるべき費用を損金として処理していないかということについても調査のポイントになります。

 

 その取得価額の妥当性は、証券会社からの資料、支払手数料勘定などから調査をします。

 

(3)  有価証券の区分は適正になされているか

 税務上、有価証券は@売買目的有価証券、A満期保有目的有価証券、Bその他有価証券の3つに区分されます。

 

 また、その期末評価は、@の売買目的有価証券については時価法により、A満期保有目的有価証券とBその他有価証券については、原価法により評価を行うこととされています。

 

 調査の際は、法人がこのような区分を正しく行い、それぞれの区分に応じた評価を行っているかどうかが検討されます。

 

(4)  有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出は妥当か

 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法が、税務署に届けられた算出方法によっているか、また、期中の有価証券増減数量が有価証券台帳などに正しく記帳され、有価証券一単位当たりの帳簿価額の計算が正しく行われているかどうかが調査されます。

 

(5)  有価証券譲渡損益の計上時期は妥当か

 有価証券を譲渡した場合の譲渡損益は、その譲渡にかかる契約(約定)をした日の属する事業年度に計上する必要があります。

 

 税務調査においては、証券会社委託分については売買報告書、相対取引については、売買契約書等により、その契約(約定)日がいつかを調査し、法人が計上した有価証券に係る譲渡損益の計上時期の妥当性が検討されます。

 

(6)  有価証券評価損について、その計上根拠や計上額は妥当か

 有価証券の評価損は、その時価が著しく低下した等、一定の事実がなければ認められません。

 

 法人が有価証券につき評価損を計上している場合、評価損計上の要件を満たしているか、また満たしているとした場合、評価損の額の計上の基礎となった時価の評価は妥当かということが調査の対象となります。

 

Q2 有価証券勘定について否認を受けないための対応策を教えてください。

 

A 有価証券勘定について、否認を受けないための対応策としては、次のようなものが考えられます。

 

(1)  有価証券の取得価額の妥当性の検討

 有価証券を購入した際に証券会社が発行した株式購入に係る資料より、取引価額及び購入手数料等の購入のために要した費用がその取得価額に含まれているかどうかを確認します。

 

 また、相対取引の場合は、購入に係るあっせん手数料や謝礼金等が取得価額に含まれているかどうかを確認します。

 

 補足ながら、有価証券取得に係る名義書換料、通信費、交通費、外国有価証券の取得に際して徴収される有価証券取得税等の税金は有価証券の取得価額に含めないことができます。

 

 また、公社債を購入した際に支払われる、直前の利払期から購入時までの経過利子相当額(端数利子)についても取得価額に含めず前払金として経理しておき、利払期に受け取った利子と相殺することができます。

 

(2)  有価証券の区分の妥当性の検討

 有価証券が@売買目的有価証券、A満期保有目的有価証券、Bその他有価証券の3つに適正に区分されているかを、その有価証券の保有目的により確認します。

 

 なお、有価証券を取得した際、帳簿書類に売買目的有価証券である旨の表示をしてしまいますと、税務上その有価証券は売買目的有価証券であるとされてしまい、毎期末に時価評価する必要が生じるので注意が必要です。

 

(3)  一単位当たりの帳簿価額の算出方法の検討

 税務署に届け出た算出方法を確認するとともに(届け出がない場合には移動平均法による)、その方法により適切に一単位当たりの帳簿価額が算出されているかを、取得価額、期中における取得数量、売却数量を把握した上で確認します。

 

(4)  有価証券売却損益の計上時期の妥当性の検討

 有価証券譲渡にかかる売買報告書、売買契約書などにより、有価証券譲渡損益を計上すべき日を確認します。

 特に期末前後に計上された譲渡損益については注意が必要です。

 

(5)  有価証券評価損について、その計上時期、計上額の妥当性の検討

 有価証券につき評価損を計上する場合、その対象となる有価証券が上場株式である場合には、@株式の時価が著しく(おおむね50%相当額)低下し、かつ、A将来においてその価額の回復が見込まれない状況であったということを説明できるように準備しておく必要があります。

 

 また、非上場株式の場合も、(ア)発行法人の資産状況が悪化し、(イ)これに起因して有価証券の時価が著しく低下したという事実がなければ評価損計上は認められませんので、そのような事実が生じていたかどうかを確認しておく必要があります。

 

 

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第27回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・有価証券(その2)

今回は前回に引き続き、有価証券勘定における否認事例及び誤りやすい事

例につき紹介していきたいと思います。

 

 Q3 有価証券勘定における否認事例、誤りやすい事例にはどのようなもの

がありますか。

 

 有価証券勘定における否認事例及び誤りやすい事例としては、次のような

のがあります。

 

 1有価証券の譲渡契約(約定)を期末までに行っているにもかかわ

らず、その有価証券の売却益を、その有価証券の引渡日である翌期に計

上して いたもの   

 

 有価証券の譲渡損益の計上時期は、証券会社を通じて行うものも、相対 

引によるものも、 企業会計と同じく、原則として、売買等の契約(約定) 

成立した日に行うこととされて いますので注意が必要です。   

 

 

 これは、有価証券受渡し不履行のリスクが極めて低いこと、時価の変動 

スクや発行者の財産状態等に基づく信用リスク等が約定日から買手側に 生じ

ること等の理由によるものです。  

 

 

2有価証券につきクロス取引を行って含み損を実現させていたもの   

 

 

 利益調整等を目的として、保有している有価証券の含み損を実現させるた

 めに、その有価証券を売却して譲渡損を計上し、その後、直ちに売却先から

 売却した 有価証券を買い戻すというクロス取引が行われる場合があります。  

 

 このような、いわゆる有価証券のクロス取引を行って譲渡損を計上したと

 しても、税務上、その取引はないものとして取り扱われますので注意が必要

 です。   

 

 

 なお、クロス取引に係る税務処理の詳細については回を改めて述べること 

にします。

 

 (3)上場有価証券の時価が単に取得価額の2分の1に下落したというだけ

で、その有価証券につき評価損を計上していたもの   

 

 

 上場有価証券について評価損の計上が認められる要件である、「有価証

券の 価額が著しく低下したこと」とは、

  @ その有価証券の事業年度終了の時における価額が帳簿価額のおおむね 50

相当額を下回ることとなり、かつ、  

A 近い将来その価額の回復が見込まれないこと

をいいます。   

 

 

 したがって、期末においてその時価が、単に取得価額の2分の1に下落した 

いう理由だけでは評価損の計上は認められず、回復の可能性をも検討する必 

があります。  

 

 この、回復が見込まれないかどうかの判断は、過去の市場状況の推移、発行

 法人の業況等も踏まえて、その事業年度終了の時に行うこととされています。

 

 

  (4)債務超過の状態を改善するために増資払込を行った有価証券につき、

その増 直後に評価損を計上していたもの   

 

 

 債務超過の赤字会社に対して増資払込を行った場合、その増資は、当面の業

 の回復を期待して払込みが行われたものであるとして、その有価証券に対す

る評 価損の計上は認められていません。   

 

 ただし、その増資から相当期間を経過した後(少なくとも12年を要すると

 考えられています)に改めて業況が悪化したような場合には、評価損の計上が

認 められる余地は生じます。

 

(5)企業支配株式における企業支配対価部分についても評価損を計上してい

たもの  

 

 法人の有する企業支配株式等(その法人の発行済株式数の20%以上を保有し

てい る株式等をいいます)の取得価額のうち、その株式の通常の価額を超えて

取得した 部分の金額、 すなわち、企業支配の対価と認められる部分の金額につ

いては、 その株式の保有を通じて 企業支配の状態が存続している限り、その価

値に変化 はないものと考えられています。  

 

 したがって、その部分についての評価損は認められませんので注意が必要です。

 

 

   (6)有価証券につき低価法を適用し、評価損を計上していたもの  

 

 従来、上場有価証券について認められていた低価法による評価は、平成12年度

 税制改正により廃止されています。

 

 

   現在は、有価証券の評価方法は移動平均法又は総平均法による原価法しか認め

 れていま せんので注意が必要です。

 

 

  (7)単に翌期に売却が予定されているというだけの理由で保有していた有価証券

を売 買目的有価証券であるとし、時価評価して評価損を計上していたもの 

 

 有価証券はその保有目的により、

 @ 売買目的有価証券

 A 満期保有目的等有価証券

 B その他有価証券

 に区分されますが、そのうち、

 @の売買目的有価証券については、期末に時価評価が必要 とされます。

  売買目的有価証券とは、短期的な価格変動 を利用して利益を得る目的

で特定の取引勘定を設けて、専門部署にいる取引専担者が日常的に売買

を行うために取得した有価証券などをいいます。 

 

 したがって、単に翌期に売却が予定されているだけでは、「売買目的

有価証券」には該当せず、期末に時価評価することは原則として認め

られません。 

 

(8)売買目的有価証券が企業支配株式等に該当することとなった場合に、

その有価証券を時価により評価替えしていなかったもの  

 

 有価証券につき次のような区分変更が行われた場合には、いったん変更前

の区分の有価証券を時価(又は簿価)で譲渡し、区分変更後の有価証券を取

得したとみなす処理(みなし譲渡)を行う必要があります。 

 

 @ 売買目的有価証券が企業支配株式等(満期保有目的等有価証券)に該

することとなった場合

  ⇒時価でその株式を譲渡し、満期保有目的等有価証券を取得したものと

   みなす 

 

 A 売買目的有価証券を保有している場合で、短期売買目的で有価証券の

売買をう業務の全部を廃止した場合 

 ⇒時価でその有価証券を譲渡し、満期保有目的等有価証券又はその他有価

証券を取得したものとみなす

 

 B 企業支配株式等(満期保有目的等有価証券)が企業支配株式等に該当

しないこと となった場合

  ⇒ 簿価でその有価証券を譲渡し、売買目的有価証券又はその他有価証

券を取得したものとみなす 

 

 C その他有価証券が企業支配株式等に該当することとなった場合

 ⇒簿価でその株式譲渡し、満期保有目的等有価証券を取得したものとみなす 

 

 D 法令の規定に従って、新たに短期売買業務を行うこととなったことに伴い、

その他有価証券を短期売買業務に使用することとなった場合

  ⇒時価でその有価証券を譲渡し、売買目的有価証券を取得したものとみなす

 

 

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第28回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・有価証券(その3)

Q1 クロス取引とは何ですか

  A クロス取引とは同一の有価証券について、同一の価額で、同一の数だけ、

売りと買いを同時に行うような取引をいいます。  例えば、企業が、帳簿価

1200円、時価1150円の株式〈含み損のある株式)1万株を保有してい

る場合、その株式を時価である150万円で売却して50万円の譲渡損を計上さ

せると同時に、同じ株式1万株を150万円で購入するような取引がこれにあた

ります。 

 逆に、帳簿価額が1150円、時価が1200円の株式(含み益のある株式)

1万株を200万円で売却して50万円の譲渡益を計上させると同時に、同じ株式

1万株を200万円で購入するような取引もクロス取引にあたります。

 

 

 クロス取引は、決算対策上、長期保有する有価証券の含み損や含み益を損益

として表面 化させたい場合などに用いられますが、企業会計上、このような

クロス取引は、有価証券 を売買したことにはあたらないものとされています。 

 

 

Q2 クロス取引の税務上の取扱いについて教えてください 

A 税務においても、

(1)同一の有価証券が売却の直後に購入された場合で

 その売却先から売却した有価証券の買い戻しや再購入をする同時の契約

があるとき (証券会社を通じて市場を通して行われるような場合も含まれま

す)は、売却した有価証券のうち買い戻し又は再購入した部分の有価証券の

売却はなかったものとして取り扱われます。   

 

 したがって、税務上、このような取引により譲渡損を計上している場合は申

告加算(留保)、譲渡益を計上している場合は申告減算(留保)する必要がありま

す(ただし、売買目的有価証券の売却については除かれています) 

 

 なお、「同時の契約」がない場合でも、

 これらの取引があらかじめ予定されたものであり、かつ、(2)売却価額と購入

価額が同一となるように売買価額が設定されていたり、売却代金の決済日と購

入代金の決済日との間の金利調整のみを行った価額となるように取引金額が設

定されている場合 は「同時の契約」があったものとされます。  

 

 また、先に有価証券を購入し、直後に売却 が行われた場合でも、同様の実態

にあるものは、取引がなかったものとして取り扱われます。

 

  Q3 クロス取引に伴い支出した費用はどうなりますか

A クロス取引に伴い支出された委託手数料などの費用は、税務上、有価証券の売買が

なかったものとされるため、その有価証券の取得価額に含めず損金処理することになり

ます。

 

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第29回 科目別税務調査の目の付けどころ・・・租税公課(その1)

Q1 租税公課の調査のポイントとしてはどのようなものがありますか。また、調査はどのように進められますか。

租税公課の調査ポイント及び調査の進め方としては次の様なものが考えられますのでこれらに対処するために事前のチェックが必要です。

(1)損金算入が認められていない租税公課を損金算入していないか

税金や罰課金等、国や地方公共団体等に納める租税公課については次の表1のように税務上損金算入が認められないものとそうでないものがあります。

≪表1≫

 損金算入が認められない租税公課

損金算入が認められる租税公課 

 法人税

都道府県民税

市町村民税

各種加算税

延滞税

延滞金(納期限の延長に係るものを除く)

印紙税の過怠税

罰課金

交通反則金

法人事業税

印紙税

登録免許税

固定資産税

都市計画税

不動産取得税

自動車税

自動車取得税

自動車重量税

 

税務調査においては法人が納付した租税公課について、申告加算などの申告調整が適正に行われているかどうかが検討されます。

(2)租税公課の損金算入時期は妥当か

また、損金算入が認められている租税公課の損金算入時期は、原則として次の≪表2≫のようになり、その租税公課が申告納税方式、賦課課税方式、特別徴収方式のいずれであるかにより、その損金算入時期がそれぞれ異なります。

税務調査においては、その損金算入時期の妥当性が申告書、賦課決定通知書、更正又は決定通知書、納付書等より検討されます。

≪表2≫

方式   内容  損金算入時期
 申告納税方式

事業税

酒税

事業所税 等

・申告書が提出された日の属する事業年度

・更正、決定のあった日の属する事業年度

賦課課税方式 

固定資産税

不動産取得税

自動車税 等

・賦課決定のあった日の属する事業年度
特別徴収方式

ゴルフ場利用税

軽油引取税 等

・申告の日の属する事業年度

・更正、決定のあった日の属する事業年度

 

(3)個人的に負担すべき租税公課を法人が負担していないか

調査官は、法人が計上した租税公課の内容を検討し、代表者等個人が本来負担すべき租税公課を法人が負担していないかどうかといった誤りについても検討します。特に、固定資産税、交通反則金、罰課金等にはその誤りが多く見受けられます。


Q2 租税公課における否認事例、誤りやすい事例にはどのようなものがありますか。

よく見受けられる事例としては、以下に掲げるような交通反則金、罰課金、固定資産税に関連するものを中心に、様々なものがあります。ここでは、代表的なものを挙げておきます。

(1)法人の業務と関連しない行為により課された交通反則金を法人の損金としていた事例

法人が負担した交通反則金は損金不算入とされますが、商品配達中の交通反則金など法人の業務と関連する行為により課されたものに限られ、法人の業務に関連しない行為などにより課されたものについては、課された役員又は使用人に対する給与(賞与)として取り扱われます。
なお、交通反則金の税務上の取り扱いの詳細については次回お伝えします。

 

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第30回 科目別税務調査の目の付けどころ…租税公課(その2)

交通反則金の取扱いについて

1 罰科金の損金不算入

  法人が納める罰金、科料などの罰科金は、反社会的な行為に対する制裁的の意図を

   もって課されるものです。これらの罰科金について損金算入を認めてしまうと、その分

   法人の税負担が少なくなり、罰科金の効果が減殺されてしまいます。したがって、これ

   らの罰科金については、税務上、損金の額に算入されないこととされています。

 

  2 法人が負担した交通反則金の取扱い 

    交通反則金は、法人そのものに課されず、その法人の役員や使用人個人に対して課され

   るものです。 そのような交通反則金などの罰科金等を法人が負担した場合の処理につい

   ては、次のように定められています。    

   (1) その罰科金等が法人の業務の遂行に関連してされた行為等に対して課されたもの

        である場合  

   ⇒ 個人的な費用ではなく、法人の費用として認められますが、損金の額には算入されま

       せん。これは、法人の業務に関連して発生した罰科金等を法人が負担するのは、一

    般的に法人の使用者責任に基づくものであり、そのような場合、経済的に法人の罰

    科金と同様に取り扱うという趣旨によるものです。

  (2) その罰科金等が法人の業務に関連しない行為等に対して課されたものである場合  

   ⇒ 課された役員または使用人に対する給与(賞与)として取り扱われます。  

 

 3 通反則共済掛金の損金不算入

   なお一定の掛金を支払って会員になると、会員が交通違反を犯した場合に、交通反則金

   の支払いを会員に代わって行ってくれる交通反則共済制度というものがあります。この共

   済に係る掛金や入会金については、交通反則金を法人が直接支払った場合と同じく損金

   不算入となります。  

 

 4 レッカー移動料等の徴収金の取扱い

   駐車違反などの交通違反に伴い納付するレッカー移動料、車両保管料等の徴収金は、車

   両の移動、保管等の実費を車両の運転者等に負担させるものです。これらの徴収金は損

   金不算入とされる罰科金には含まれておらず、法人の業務の遂行に関連してされた行為

   に対して課されたものである場合には損金算入となります。  

 

 5 消費税の取扱い

   最後に、消費税の仕入税額控除についてですが、支払った交通反則金について仕入税額

   控除が認められないのはもちろん、レッカー移動料等の徴収金についても、往来の妨げと

   なる違法駐車車両を移動しなければならなかったことに対する一種の損害賠償であるという

   理由から、仕入税額控除が認められません。その取扱いは、法人税より厳しくなっています

   のでご注意ください。 

 

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第31回 科目別税務調査の目の付けどころ…租税公課(その3)

Q2 否認事例及び誤りやすい事例

 

 前号のQ2()に続き、代表的な例をご紹介します。

 2)印紙税における過怠税の一部しか損金不算入としていなかったもの 

 損金不算入となる印紙税の過怠税の額は、納付しなかった印紙税額と納付し

かった印紙税額の10%(又は200%)相当額の合計額(すなわち印紙税

1.1倍又は3倍)です。

 

ところが、過怠税の範囲を誤り、納付しなかった印税税額の10%(又は20

0%)相当額のみが過怠税であるとして損金不算入額を計算する事例が見受け

られますので、注意が必要です。 

 

 (3)裁判手続を経て外国で課された罰科金等を損金算入していたもの

 外国で課された加算税や罰科金等については、わが国の加算税と類似するも

であっても損金算入が認められています。

その理由としては、必ずしもその内容が明らかでないことや、他国におけるペ

ナルティの効果を損金処理により減殺させても国内における適正な申告を求め

ることへの妨げにはならないこと等があげられます。

 

ただし、外国やその地方公共団体が課する罰金や科料に相当するもので裁判手

続(刑事訴訟手続)を経て課されたものや、いわゆる司法取引により支払われ

たものについては損金算入が認められないこととされています。

 

 (4)法人税の還付金に係る還付加算金を益金不算入としていたもの

 法人税の還付金そのものは、納付した法人税が損金不算入であるのと対応

て益金不算入とされています。

しかし、還付加算金は預金利子と同様の性格を持つものですから、益金不算入

とはされません。

還付金と還付加算金は合計されて振込入金があるので、経理処理の際、還付通

知書等により両者を区別しておく必要があります。

 

(5)製造原価を構成しない事業所税につき申告がされていないにもかか

わらず未払い計上し損金処理していたもの

 事業所税は、東京都や大阪市など一定の大規模な都市(政令指定都市等)に

いて、法人や個人の行う事業に対し、その事業所の床面積や従業員給与総額

課税基準として課される租税です。その主旨は、都市環境の整備に要する費

に充てるためとされています。

 

事業所税は損金算入が認められる申告納税方式の租税であり、原則として、事

業所税の申告書が提出された日を含む事業年度において損金算入が認められる

 ことになります。

したがって、申告されていない事業所について、未払い計上することは認めら

れません。

 

ただし、事業所税のうち、工場に係るものなど、製造原価を構成する事業所税

については例外的に、申告期限が未到来であっても、法人が損金経理により未

 払い計上した金額についてはその処理を認めることとされています。

これは、販売費及び一般管理費として計上される租税と異なり、製造原価に含

まれる租税については、売上との対応を重視する必要があること、製造活動に

係る事業所税を製造原価等に含めることは、広く一般に行われていることなど

の理由によるものです。

 

6)不動産購入時に支払った前所有者が負担していた固定資産税の精算

分を損金処理していたもの

 固定資産税は毎年1月1日現在の固定資産の所有者に対して賦課されます。

したがって、年の中で固定資産を取得した場合、前の所有者が負担した固定資

産税のうち譲渡後の期間に対応する固定資産税相当額を買主が負担するという

ケースがよく見受けられます。

 

しかし、固定資産税は、あくまでも、毎年1月1日現在の所有者に対し賦課決

定されるものであり、年の途中で固定資産を取得した所有者には、納税義務は

生じません。

そこで、法人税においては、買主が負担した固定資産税相当額は、固定資産税

そのものではなく、取得した固定資産につき、固定資産税を納付することなく

利用できる対価、すなわち、取得した固定資産の対価であるという考え方をし

ています。

 

また、買主は固定資産税相当額を売主に支払わなければ、その固定資産を取得

できない契約であるとすれば、固定資産税相当額の支出額は、いわば、固定資

 産を取得するために要する費用であるという考え方もできます。

したがって、固定資産税相当額を売買価額とは別に支払ったとしても、その固

定資産税相当額は、固定資産の取得価額に含めなければならず、租税公課とし

て損金処理はできないということになります。

 

一方、売主側も、この固定資産税相当額は、売主が負担した固定資産税の控除

額としてではなく、固定資産の譲渡対価に含めるべきものとして取り扱わなけ

 ればならないということになります。

したがって、消費税において、建物に係る固定資産税相当額については消費税

における課税取引に該当します。

 

 (7)社会保険料滞納により納付した延滞金を損金不算入としていたもの

 法人税法においては、損金不算入となる租税公課を限定列挙して定めていま

す。

 具体的には、表1に揚げる租税公課が損金不算入になるとされています。

社会保険料や労働保険料の滞納にかかる延滞金は、これら列挙されている租税

課には含まれていませんので損金算入が可能です。

 

《表1》

  損金不算入となる租税公課 
1  法人税(延滞税、加算税を含み退職年金等積立金に対する法人税を除く)
2  公益法人に課される贈与税、相続税
3  法人税以外の国税に係る延滞税、加算税、印紙税の過怠税
4  都道府県民税、市町村民税(都民税を含み退職年金等積立金に対する法人税に係るものを除く)
5  地方税法の規定による延滞金(納期限の延長に係る分を除く)、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金
6  罰金、科料、過料
7  国民生活安定緊急措置法の規定による課徴金、延滞金
8  独占禁止法、公正取引法の規定による課徴金、延滞金
9  第二次納税義務に係る納付税額
 (10)  法人税額から控除、還付される所得税額、外国税額
 (11)  地方消費税に係る延滞税、加算税

 

(8)道府県税から控除されなかった利子割相当額を損金不算入としていなかったもの

 利子等の支払いを受ける際に徴収される道府県民税の利子割は、法人税に

て所得税額控除の対象とする源泉所得税(15%)、復興特別所得税(0.315%)と同様、元本の所有期間に

対応する部分についてのみ、申告の際に道府県民税から控除されます。

しかし、利子割は、その金額が道府県民税に該当するため、法人税法上、利

金額が損金の額に算入されないことになります。したがって、利子割のうち

元本の所有期間に対応しない部分、すなわち道府県民税の控除対象とできない

部分についても損金不算入とされます。

 

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第32回 科目別税務調査の目の付けどころ・・・繰延資産(その1)

Q1. 繰延資産についての目のつけどころ   

  繰延資産の調査のポイントには、どのようなものがありますか。また、調査はどのように進められますか。  

A.   繰延資産の調査ポイント及び調査の進め方としては次のようなものが考えられ、調査をうける法人側もこのような調査ポイントに対応した事前チェックが必要となります。

 

 

 

 

  (1)繰延資産に計上すべきものを損金算入していないか


     法人が支出する費用のうち、その支出の効果が1年以上に及ぶ次の費用については繰延資産として計上し、償却期間にわたり償却計算を行わなければなりません。

@   自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
A   資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立退料その他の費用
B   役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
C   製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
D   その他、自己が便益を受けるために支出する費用 

 

 税務調査においては、法人が損金処理した支出のうち、税務上繰延資産に該当するものはないかどうかにつき、経費帳、請求書、領収証、契約書、稟議書等から検討が行われます。

  

 

 (2)繰延資産の償却においてその償却期間は適正か 


  会計上の繰延資産については、随時償却が認められていますが、税法固有の繰延資産については、それぞれの償却期間が法人税基本通達により定められています。

 税務調査においては、その償却期間が適正かどうかということも検討されます。 
  特に、公共的施設等の負担金、建物を賃借するために支出した権利金等に係る償却期間の適否が、調査ではよく問題となります。 

  (3)繰延資産の償却開始時期は適正か

 

 

 

 

 

 また
、繰延資産の償却開始時期が妥当かということも調査において検討されます。    

  繰延資産の償却開始時期は、原則として、繰延資産となる費用の支出をした日となります。

 ただし、公共的施設や共同的施設の負担金(その施設の建設等に着手した時から)や建物を賃借するために支出した権利金(その建物を賃借した時から)のように、その償却開始時期が支出した日より後となる場合のものもあり、注意が必要です。

 また、分割払いにより支出した繰延資産の償却についても誤りが多いため、その適否が検討されます。

 

 Q.否認事例及び誤りやすい事例    

  繰延資産における否認事例、誤りやすい事例にはどのようなものがありますか。

 A.   繰延資産における、否認事例及び誤りやすい事例としては次のようなものがあります。

 

  (1)  大型店の新規出店に際し、地元商店街に対し支出した営業補償金(商店街の売り上げ減少分を填補するため損害賠償金)を繰延資産として計上していたもの 

 

 このような営業保償金は、新規出店のために支出されるものであり、その効果が1年以上に及ぶため、繰延資産として計上すべきであるとも考えられます。 

 しかし、地元商店街とは、本来、自由な競争をすべき関係にあり、このような営業補償金は、必ず支払わなくてはならない性格のものではありません。

 ビルの建設による日照妨害や電波障害等に対して支払われる、損害賠償金的な補償金とも内容が異なります。

 このようにして考えていきますと、この種の営業補償金は、地元商店街に金銭を与えることにより、地域内の軋轢など、新規店舗の営業活動に対する損害要因を抑えるという一種の賄賂的な性格を持ち、交際費に該当すると考えられます。

 

 (2)地方公共団体に支払った開発負担金を一時の損金として処理していたもの 

 

 前記(1)の事例と類似したものとして、法人が固定資産として使用する土地、建物等の造成、建設等の許可を受けるために、地方公共団体に対して開発負担金等を支払わなければならない場合があります。 

 この負担金については、建物建設等に際しての条件としてあらかじめ約束されているものであり、支払先も地方公共団体であって公共性の高いものであるという理由から、交際費には該当しないものとされています。

 このような負担金を支出した場合、その負担金等の性質により、支出した額を、その固定資産の取得価額に含めなければならない場合や、無形減価償却資産、繰延資産として計上しなければならない場合がありますので、支出した負担金の性質を確認する必要があります。

 このような開発負担金の取扱いの詳細については、次回掲載予定の記事をご参照ください。

 

  (3)国等に対して支出した、自己の必要に基づいて行う道路、堤防、その他の施設等の公共的施設の設置、改良等のために支出する費用を、国等に対する寄付金であるとして損金処理していたもの

 

 国等に対する寄附金であっても、その寄附により、寄附した者に特別の利益が及ぶようなものについては、税務上、国等に対する寄附金に該当しないものとされています。 

 さらに、その寄附金が、自己の必要に基づいて行う道路、堤防、その他の施設等の公共的施設の設置、改良等のために支出する費用であれば、その費用は繰延資産として計上する必要があります。 

 なお、その場合の償却期間は、負担者が専ら使用する施設等であれば、その施設等の法定耐用年数の10分の7、それ以外の施設であれば10分の4となります。

 国等に対する寄附金であっても、税務上そのすべてが全額損金算入となるとは限らない、ということに留意しておくべきです。

 

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第33回 科目別税務調査の目のつけどころ…繰延資産(その2)

Q、開発負担金の税務上の取扱いについて教えて下さい

 

A、開発負担金の税務上の取扱いは以下のようになります

 

宅地開発等に際して支出する開発負担金

 

 

 法人が固定資産として使用する土地、建物の造成、建設等を行おう

とした場合、その地方公共団体の開発指導要綱等に基づき開発負担金

の支払いや土地、施設等の提供が必要となる場合があります。

 

 法人からすれば、その負担金支出の効果が将来に及ぶため繰延資産

として、あるいは、負担金を支払わなければ建物の建設等ができない

ため、建物等の取得価額に算入すべき費用として処理すべきであると

も思われます。

 

 しかし、負担金にもさまざまな性質のものがあり、一律に負担金の

額をその建物等の取得価額に算入したり繰延資産として取り扱うこと

も妥当ではありません。

 

 そこで、法人が支出した各種負担金の性質により次のように処理す

ることとされています。

 

(1)文教福祉施設(学校、図書館など)、環境衛生施設(病院、開

発地域外下水道など)、消防施設(消防署、消火栓など)など開発

地域外の住民の便益に寄与すると認められる公共的な施設の負担金の

額は繰延資産とすることとされており、その償却期間は8年とされてい

ます。

 

(2)次に、土地の開発において、開発地域内の道路、公園、緑地、

道との取付道路などのように直接開発した土地の効用を形成すると

認められるものにる負担金等の額は、その土地の取得価額に算入す

ることとされています。

 

(3)また、上水道、下水道、工場用水道、汚水処理場、開発地域周

辺の道路(取付道路を除く)などのように土地や建物等の効用を超え

て独立した効用を形成すると認められる施設で、その法人の便益に直

接寄与すると認められるものに係る負担金等の額は、それぞれの施設の性

質に応じて無形減価償却資産の取得価額又は繰延資産とすることと

ています。

 

 

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第34回科目別税務調査の目のつけどころ…繰延資産(その3)

Q、否認事例及び誤りやすい事例

 

繰延資産における否認事例、誤りやすい事例にはどのようなものが

ありますか。

 

1)商店街組合の会館建設のための負担金を繰延資産として計

上していなかったもの

 

 税務上の繰延資産には、「自己が便益を受ける共同的施設の設置

又は改良のために支出する費用」というものがあります。具体的に

は、法人が所属する協会、組合、商店街などの行う共同的施設の建

設又は改良に要する費用の負担金がこれにあたります。

 

 ここでいう「共同的施設」とは、共同展示場、共同宿泊所、所属

する協会等の会館のほか、商店街における共同のアーケード、日

よけ、アーチ、すずらん灯などが該当します。

 

 なお、これらの繰延資産の償却期間は、その施設等が負担者等の

共同の用に供されるものや協会等の本来の用に供されるものについ

てはその施設等の法定耐用年数の10分の7とされていますが、

のようにして求めた年数が10年を超える場合には、10年を償

却期間として償却限度額を計算することとされています(土地部

については45年)。

 

 次に、共同のアーケード、日よけ等負担者の共同の用と一般公衆

の用の両者に供されるものの償却期間については5年(その施設

法定耐用年数が5年より短い場合には、その耐用年数)とされて

ます。

 

 また、償却開始時期は、その会館の建設に着手した時点とされて

います。なお、その施設の相当部分が貸室に供されるなど、負担者

にその支出の効果が反映されないようなときは、その部分に係る負

担金は、組合等に対する寄附金となりますのでご注意ください。

 

(2)建物を賃借する際に支払った敷金のうち返還されない部分につ

ても全額損金処理していたもの

 

 建物を賃借するために支出した権利金や敷金のうち返還されない

分については、繰延資産として計上し、5年(賃借期間が5年未

満である場合で、更新時に再び権利金を支払わなければならないも

のについては、その賃借期間)で償却を行う必要があります。

 

 なお、建物を賃借する際に支出した仲介手数料については、厳密

考えれば権利等と同様、建物を賃借するための費用であり、繰延

資産として計上すべきであるという考え方もあります。

 

 しかし、一般的にこのような仲介手数料は、宅建業法の規定によ

り、家賃の1か月分と定められており、このような少額なものまで

繰延資産計上を強制するのは酷であるという重要性の観点から、支

出時の損金として処理することが認められています。

 

 また、似たような支出である土地を賃借するために支出する仲介

数料については、繰延資産ではなく借地権の取得価額に含まれま

すのでご注意ください。

 

(3)フランチャイズ・チェーンの加盟一時金を繰延資産としていな

たもの

 

 フランチャイズ・チェーンの加盟店になれば、本部からさまざま

営上のノウハウの提供を受けたり、材料の一括仕入れなどによ

る経費節減、本部が加盟店の広告宣伝を行ってくれるなど、さまざ

まなメリットを受けることが可能になります。

 

 このようなメリットの対価として、加盟店は本部に対し、加盟時

加盟一時金を支払います。この加盟一時金は、加盟後さまざまな

メリットを受けるために支出する権利金的なものと考えられており、

その契約期間も1年を超える場合が通常ですので、繰延資産として

計上する必要があります。

 

 その償却期間については、ノウハウの設定契約に際して支出する

時金の償却期間が5年(契約期間が5年未満である場合で、更新

に再び一時金を支払わなければならないものについては、その契

期間)定められていることから、加盟一時金もこれに準ずるも

のとして同様の取扱いがなされています。

 

 また、これに類似したものとして、自社の製品をスーパーマーケ

トなどの店頭に並べてもらうためにスーパーに対して支出する一

時金(フェース料などと呼ばれている場合が多いようです)があり

ます。

 

 この一時金についても、その効果が及ぶ期間が1年以上あれば、

事例の加盟一時金と同様、繰延資産として計上する必要があると

思われます。

 

(4)広告宣伝用資産の贈与費用を広告宣伝費として処理し、繰延資

産としていなかったもの

 

 法人が、自己の製品などの広告宣伝のため、特約店などにその法

人名や製品名などが表示された看板、陳列ケース、自動車などの広

告宣伝用資産を贈与した場合には、その広告宣伝の効果が1年以上

及ぶため、その贈与に係る費用は繰延資産として計上しなければ

りません。

 

 このような広告宣伝用資産を贈与した場合の繰延資産の償却期間

は、その贈与した資産の耐用年数の10分の7に相当する期間とさ

れています。広告宣伝用資産を贈与した場合における税務上の取扱

いの詳細については、次回の記事をご参照ください。

 

(5)長期分割払いの繰延資産について、その総額につき未払金計上

し、却をしていたもの

 

 法人が税務上の繰延資産に該当する費用を分割して支払う場合に

は、原則として、たとえその総額が確定しているときであっても、

の総額を未払金に計上して償却することはできないこととされて

ます。

 

 例えば、繰延資産(償却期間5年)として処理すべき費用100万円

5間にわり毎期首に20万円ずつ分割払いしたような場合、それ

ぞれの期における償却限度額は[1]のようになります。だし、そ

分割期間が短期間(おおむね3年以内)である場合には、その総額

を未払金計上して償却することが可能です。

 

 また、分割払いの際、それぞれの分割金の額が20万円未満であっ

たとしても、支出時に金額を損金処理することは認められません。

少額な繰延資産に該当すかどうかの判定は、あくまでもその繰延

資産に対して支出する総額によることなりますので、その点もご

注意ください。

 

 なお、繰延資産となる公共的施設や共同的施設の設置などに係る

負担金を分割払いした場合、次の要件をすべて満たしているものに

ついては、支出のつど、その支出金金額を損金算入することが認め

られています。

 

@ 負担金の額が、その負担金に係る繰延資産の償却期間以上の期

間にわたり分割して支払われるものであること。

 

A 分割して支払われる負担金の額がおおむね均等額であること。

 

B 負担金の支払いが、おおむねその支出に係る施設の工事の着工

後に開始されること。

 

[表1] 

  支出累計額  償却限度額  償却累計額
 第1期  20万円  20×5/1=4万円  4万円
 第2期  40万円  40×5/1=8万円  12万円
 第3期  60万円  60×5/1=12万円  24万円
 第4期  80万円  80×5/1=16万円  40万円
 第5期  100万円  100×5/1=20万円  60万円
 第6期  100万円  100×5/1=20万円  80万円
 第7期  100万円  残額=20万円  100万円

 

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第35回科目別税務調査の目のつけどころ…繰延資産(その4)

 広告宣伝用資産を贈与した場合

 

 

 メーカーなどが、広告宣伝活動の一環として、販売業者等に、

そのメーカー名や製品名などが表示された看板、陳列ケースな

どの広告宣伝用資産を、無償あるいは低い価額で譲渡するよう

な場合がよく見受けられます。

 

1 広告宣伝用資産を贈与した側の処理

 

 メーカーなどが、広告宣伝用資産を贈与あるいは低廉譲渡し

た場合は、その贈与等に要した費用を広告宣伝費等で一時の損

金として処理することはできず、その支出の効果が1年以上に

及ぶ費用、すなわち繰延資産として計上する必要があります。

 

 

 広告宣伝用資産に該当するものとしては、次のようなものが

あります。

 

(1) 看板 (広告宣伝用のもの:以下同じ)

(2) ネオンサイン

(3) どん帳

(4) 陳列棚

(5) 自動車など

 

 

 また広告宣伝用資産には、展示用モデルハウスのように見本

としての性質を併せ持つものも含まれます。その償却期間につ

いては、その贈与等を行った広告宣伝用資産の法定耐用年数の

 70%に相当する年数(1年未満の端数は切捨て、その年数が5

を超えるときは5年)とされています。

 

 

 例えば、自社製品のロゴマークが車体全体に描かれた営業用

自動車を贈与した場合、その自動車の法定耐用年数は6年(

量が0.66を超える場合)とされていますので、

 6年×0.7≒4年(端数切捨て)

がその償却期間となります。

 

 

 ただし、その贈与等に要した費用が20万円未満である場合に

は、少額な繰延資産として、贈与した事業年度に、その費用全

額を損金処理することができます。

 

2 受贈益を計上しなければならない場合

 

 一方、広告宣伝用資産の贈与等を受けた販売業者等も、ある

程度の経済的な利益を受けるわけですから、その資産の取得に

際し、受贈益を計上しなければならない場合があります。

 

 

 販売業者等がメーカー等から、次の(1)から(3)のような広告宣

伝用資産の交付を受けた場合、次の[算式]により計算した金額が

販売業者等が受けた経済的利益の額であるとして、その資産の

取得価額を算定します。

 

(1) 自動車や自動二輪車などで車体の大部分の一定の色彩を塗

装して、メーカー等の製品名又は社名を表示し、その広告宣伝

を目的としていることが明らかなもの。

 

(2) 陳列棚、陳列ケース、冷蔵庫又は容器でメーカー等の製品

名や社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの。

 

(3) 展示用モデルハウスのようにメーカー等の製品の見本であ

ることが明らかなもの。

 

[算式]

 

 

 

 

 

 

 例えば、メーカーのロゴが大きく車体に塗装された120万円

ワゴン車を販売店が30万円で取得した場合、販売店が受けた

済的利益の額は、(120万円×2/3)30万円=50万円となり、

のワゴン車の取得価額は80万円(30万円[販売店負担額]50

万円[経済的利益の額])となります。

 

 

 したがって、この広告宣伝用資産の取得に係る処理は次の仕訳

のようになります。

 

(借方)             (貸方)

 車両運搬具 80万円                現金       30万円

             /            固定資産受贈益 50万円

 

 なお、次のような場合には受贈益の認識は必要ありません。

 

(1) 上記の[算式]により計算された経済的利益の額が30万円以下

と少額である場合

 なお、同一のメーカーなどから2以上の広告宣伝資産を受けた

ときは、その合計額により判定します。

 

(2) 取得した資産が、広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳

のように、専ら広告宣伝の用に供される資産である場合

 

 

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第36回科目別税務調査の目のつけどころ…ソフトウエア(その1)

Q1ソフトウエアについての目のつけどころ

 

 ソフトウエアに係る調査ポイントには、どのようなものがあ

ますか。また、調査はどのように進められますか。

 

A ソフトウエアの調査ポイント及び調査の進め方としては次

のようなものが考えられ、調査を受ける法人側もこのような調

査ポイントに対応した事前チェックが必要となります。

 

(1)ソフトウエアとして資産計上すべき費用を損金算入してい

ないか

 

 ソフトウエアも減価償却資産に該当しますので、そのソフト

ウエアの購入代価、製作費用、購入に要した付随費用、事業の

用に供するための費用は、原則として、そのソフトウエアの取

得価額に含める必要があります。

 

 したがって、調査においては、購入したソフトウエアであれ

ばその納品書、請求書、領収書等から、自社制作のものであれ

ば作業日報、作業報告書、外注依頼書、その製作費用の集計プ

ロセス等から、その取得価額の妥当性が検討されます。

 

 また、支払手数料、外注費、雑費等の中に、そのソフトウエ

アの取得価額に算入すべき付随費用等が含まれていないかとい

うことも検討されます。

 

 さらに、既存のソフトウエアにつき、補修、改良等を行った

場合、資本的支出に該当するものはないかという点についても

検討されます。

 

(2)ソフトウエアの償却においての、その償却期間は適正か

 

 ソフトウエアについては、その耐用年数は5年あるいは3年

と法定されていますので、それ以外の耐用年数を用いて減価償

却計算を行っていないかどうかが検討されます。

 

 特に、販売用にソフトウエア、中古ソフトウエアについてそ

の誤りが多いようです。

 

(3)ソフトウエアの償却開始時期は適正か

 

 ソフトウエアの償却開始時期が妥当かということも調査にお

いて検討されます。ソフトウエアの償却開始時期は、通常の減

価償却資産と同じく、そのソフトウエアを事業の用に供した日

となります。

 

 そのため、調査においては、そのソフトウエアの納入時期

(自社制作のものについてはその完成時期)、取得代金の決済

状況、そのソフトウエアに係るアウトプット資料など、その利

用開始時期が明らかとなる資料を検討して、事業の用に供した

日の検討が行われることになります。

 

 

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第37回科目別税務調査の目のつけどころ…ソフトウエア(その2)

取得した中古ソフトウエアの耐用年数

 

1 中古減価償却資産の耐用年数

 

 中古の減価償却資産については、法定耐用年数を用いずに、残存耐

用年数を見積もり、その見積耐用年数により償却計算を行うことが

められています(見積法)。

 

 また、その見積もりが困難な場合は、次の算式により算定した年数

をその中古資産の耐用年数とする方法(簡便法)も認められています。

 

(1)法定耐用年数の全部を経過した資産法定年数×0.2

(2)法定耐用年数の一部を経過した資産

      (法定耐用年数−経過年数)+(経過年数×0.2

      (端数切捨て、2年未満である場合は2年)

 

 しかし、この簡便法による耐用年数の算定が可能な資産は特定され

ており、耐用年数表の別表第一、二、五から八に挙げる資産に限られ

ています([参考:減価償却資産の耐用年数表別表]参照)

 

2 中古ソフトウエアの耐用年数

 

 ソフトウエアは一般的に、別表第三の無形減価償却資産に該当しま

す。したがって、簡便法による耐用年数の算定は認められないことに

なります。

 

 また、見積法による算定も考えられますが、ソフトウエアについては、

物理的や機能的な減価原因より残存耐用年数を見積もることは困難であ

ると思われるためその適用が困難であり、結果的に法定耐用年数によら

ざるを得ないものと考えられます。

 

 なお、ソフトウエアでも開発研究用のものについては、別表第八の開

発研究用減価償却資産の中に挙げられているソフトウエアに該当します

ので、このソフトウエアについては簡便法による見積もりが可能という

ことになります。

 

[参考:減価償却資産の耐用年数表別表]

 

 別表第一

 機械装置以外の有形減価償却資産

(建物、建物附属設備、構築物、車両運搬具、工具器具備品など)

 別表第二  機械及び装置の耐用年数表
 別表第三  無形減価償却資産の耐用年数表
 別表第四  生物の耐用年数表
 別表第五  公害防止用減価償却資産の耐用年数表
 別表第六  開発研究用減価償却資産の耐用年数表
 別表第七  平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産の償却率表
 別表第八

 平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の償却率、

改定償却率及び保証率の表

 別表第九  平成19年3月31日以前に取得された減価償却資産の残存割合表

 

 

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第38回科目別税務調査の目のつけどころ…ソフトウエア(その3)

Q2 否認事例及び誤りやすい事例

 ソフトウエアにおける否認事例、誤りやすい事例には、どのよう

なものがありますか。

 

 ソフトウエアにおける、否認事例及び誤りやすい事例としては

次のようなものがあります。

 

(1) 自社制作のソフトウエアに係る費用を資産計上

していなかったもの

 

 従来、ソフトウエアはノウハウに準ずるものとして、税務上、繰

資産として取り扱われていました。そのため、他から購入したソ

フトウエアのみが資産計上の対象となり、自社制作のソフトウエア

については資産計上の必要がありませんでした。

 

 しかし、平成12年度の税法改正により、ソフトウエアは繰延資産

はなく無形減価償却資産として取り扱われることとなったため、

平成1241日以降取得された自社製作のソフトウエアについては、

一般的な自社製作減価償却資産と同様、その製作に要した費用(原

材料費、労務費、経費)及びそのソフトウエアを事業の用に供する

ために直接要した費用につき資産計上をする必要があります。

 

 ただし、製作等のために要した間接費、付随費用で、その費用の

合計額がその製作価額のおおむね3%以内のものは、そのソフ

トウアの取得価額に算入しないことができることとされています。

 

(2) 購入したソフトウエアのインストール費用を、そのソフトウエア

の取得価額に含めていなかったもの

 

 前述のようにソフトウエアも減価償却資産に含まれますので、その

得価額には、購入代価、購入手数料等の購入のために要した費用お

よびそのソフトウエアを事業の用に供するための費用も含まれます。

 

 したがって、購入あるいは外注製作したソフトウエアをコンピュー

にインストールするための費用も、そのソフトウエアを事業の用に

供するための費用として、そのソフトウエアの取得価額に含まれるこ

とになります。

 

(3) ソフトウエアのバージョンアップのための費用を修繕費として処

していたもの

 

 ソフトウエアについて、プログラムの修正、補修、改良等を行った

合の費用が、資本的支出に当たるか、あるいは修繕費に当たるか

の判定基準は、原則として、他の減価償却資産と変わりありません。

 

 すなわち、価値や機能を増加させるために支出した費用は資本的支

に該当し、通常の維持管理や現状回復のために支出した費用は修繕

費に該当することになります。

 

 ソフトウエアについての、資本的支出と修繕費の区分基準はおおむ

以下のようになります。

 

@ 修繕費に該当する場合

  法人が有するソフトウエアにつきプログラムの修正を行った場合に

いて、その修正がプログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の

維持などに該当するとき、その修正に要した費用は修繕費に該当します。

 

A 資本的支出に該当する場合

 一方、その修正が新たな機能の追加、機能の向上など(いわゆるバ

ージョンアップ)に該当するときは、その修正に要した費用は資本的

支出に該当することになります。

 

B ソフトウエアの取得価額となる場合

 また、既に有するソフトウエアや購入したパッケージソフトウエア

などの仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための

費用は、原則としてソフトウエアの取得価額となります。

 

(4) 事業の用に供していないソフトウエアにつき減価償却を行っていた

もの

 

 無形減価償却資産の中には、漁業権や工業所有権のように、事業の

に供されているか否かにかかわらず、取得の日からその権利の存続

期間により償却可能なものがあります。

 

しかし、ソフトウエアについては、一般的な機械装置や器具備品など

の減価償却資産と同じく、そのソフトウエアを事業の用に供した日以

降でないと償却は認められません。

 

(5) 販売用ソフトウエアの償却を、見込総販売数量、当期実際販売数量

に基づいて行っていたもの

 

 企業会計(研究開発費等に係る会計基準)においては、販売用ソフ

トウエアの償却は、その「性格に応じて、見込販売数量に基づく償却

方法その他合理的な方法により償却しなければならない。」とされて

います。

 

しかし、税務の場合、企業会計の規定にかかわらず、税務上定められ

た法定耐用年数に基づいて限度額計算を行う必要があります。

 

 税務上、販売用ソフトウエアの耐用年数は3年とされています(省令

別表三の「ソフトウエア」、「複写して販売するための原本」)。

 

 

 

     

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第39回税務調査の目のつけどころ…会費・入会金等(その1)

Q1 会費・入会金等についての目のつけどころ

 

 会費・入会金等に係る調査のポイントには、どのようなものが

ありますか。また、調査はどのように進められますか。

 

 法人は、その事業活動に役立てるため、様々な団体、すな

わち同業者団体、ゴルフクラブ、レジャークラブ、社交団体、

従業員福利厚生団体等に加入します。

 

 税務調査においては、そのような団体に対して、法人が支払う

会費・入会金等に係る税務処理の妥当性につき検討が行われます。

 

 すなわち、その会費等の支出が、

(1) 個人的な費用に該当するものではないか

(2) 交際費に該当するものではないか

(3) 寄附金に該当するものではないか

(4) 資産計上すべきものではないか

(5) 翌事業年度以降の費用とすべきものではないか

 というポイントを中心に調査が進められることになります。

 

 また、調査を進めるにあたっては、経費帳、稟議書、出席報告

書、領収書、請求書、加入している団体等の会則・規約、会報、

会計報告等の資料を中心に検討が行われます。

 

調査を受ける法人側もこうした調査ポイントに対応した事前チ

ックが必要となります。

 

Q2 否認事例及び誤りやすい事例

 

会費・入会金等における否認事例、誤りやすい事例にはどのよ

なものがありますか。

 

 否認事例及び誤りやすい事例としては、次のようなものが

ります。

 

(1) 法人が支出したゴルフクラブの入会金を入会時に会費として

金処理していたもの

 

 ゴルフクラブの入会金や他から購入したゴルフクラブ会員権の

実績は、ゴルフ場施設利用権(一種の無形固定資産)であると

われています。

 

 そして、その施設利用権は、次のような性質を有しており、税

務上は、無形の非減価償却資産であるということができます。

 

@ 永久利用権としての性格を有しており、ゴルフ場がプレー可

である限りその利用権の価値は減少しない

A 会員権を他に譲渡することにより、投下資金を回収できる

B 水道施設利用権や電気通信施設利用権のように、税務上、償

が可能な無形減価償却資産として列挙されていない

 

 したがって法人がその業務目的で支出したゴルフクラブ入会金

他から取得したゴルフクラブ会員権については、たとえ脱会時

入会金の返還を受けられない場合とか、権利を他人に譲渡でき

い場合であっても、入会時の損金処理は認められず、プレーが

能である限り資産計上する必要があり、その償却も認められな

こととされます。

 

 そして、ゴルフクラブを脱会してもその返還を受けることがで

ない場合におけるその入会金やその会員たる地位を他に譲渡し

ことにより生じたその入会金に係る譲渡損失については、その

脱会をし、又は、譲渡をした日の属する事業年度において損金の

額に算入することになります。

 

 なお、他人の有するゴルフ会員権を購入した場合には、その購入

価にゴルフクラブに支払う名義書換手数料、ゴルフ会員権取扱い

業者に支払う購入手数料を含めて資産に計上する必要があります。

 

(2) 代表者等が法人の業務と関係なく個人的に利用するためのゴル

クラブの入会金を法人の資産として計上していたもの

 

@ 法人会員として入会する場合

 法人会員として入会する場合、入会金は、原則として、資産とし

計上する必要があります。ただし、記名式の法人会員でも名義人

ある特定の役員や使用人が専ら法人の業務に関係なく利用するた

め、これらの者が負担すべきものであると認められるときは、その

入会金に相当する金額は、これらの者に対する給与(賞与)とされ

ます。

 

A 個人会員として入会する場合

 個人会員として入会する場合、その入会金は、原則として、個人

員である特定の役員や使用人に対する給与(賞与)とされます。

だし、(i)無記名式の法人会員制度がないため個人会員として入

し、(ii)その入会金を法人が資産に計上した場合で、(iii)その入

金が法人の業務の遂行上必要であるため法人の負担すべきもので

る場合には、その資産計上を認めることとされています。

 

(3) 法人がすでに所有しているゴルフ会員権(法人会員記名式)の会

員名義書換料を単純損金として処理していたもの

 

 得意先の接待等のために法人がゴルフ会員権を取得する際に支出

した名義書換料は、取得のために要する費用としてその会員権の取

得価額に含める必要があります。

 

 しかし、本事例のように、すでに法人が保有している会員権にお

ける会員の名義を書き換えるための費用は交際費に該当します。こ

のような名義書換料は、ゴルフ場における接待等を継続するために

必要とされる費用であり、プレー代の一部として支払われるもので

あるという考え方によるものです。

 

 なお、脱会や会員権の譲渡により損失が生じた場合には、その損

失については、交際費には該当しないものとされています。

 

(4) ゴルフ会員権の時価が大幅に下落しているという理由で評価損を

計上していたもの

 

 税務上、ゴルフ会員権は、金銭債権や有価証券ではなく、無形固定

資産とされている水道施設利用権や電気通信施設利用権など同様にゴ

ルフ場の施設を利用できる権利(ゴルフ場施設利用権)すなわちプレ

ー権であるとされています。

 

 そして、そのプレー権は、永久利用権としての性格を有しており、

ルフ場でプレー可能である限りその利用権の価値は減少しないもの

されています。

 

 そのため、水道施設利用権や電気通信施設利用権のように、税務上、

償却が可能な無形減価償却資産としても列挙されていません。

 

 したがって、市場におけるゴルフ会員権の相場が、その取得価額よ

大幅に下落していたとしても、まだプレーが可能である限り、プレ

ー権の価値は減少しておらず、その会員権についての評価損の計上は

認められないということになります。

 

(5) レジャークラブの入会金を資産計上せず支出時の損金として処理し

ていたもの

 

 レジャークラブ(宿泊施設、体育施設、遊技施設などを会員に利用

せることを目的とするクラブ)の入会金についての取扱いは、原則

として、ゴルフクラブの入会金の取扱いと同様とされています。

 

 すなわち、法人会員として入会する場合、その入会金は資産計上す

必要があり、その償却は認められていません。また、特定の役員等

が個人的に利用する場合はその者に対する給与となります。

 

 しかし、@その会員として有効期間が定められており、かつ、Aそ

脱退に際して入会金相当額の返還を受けることができない入会金に

ついては、その利用できる期間において費用化することが合理的であ

ると考えられることから、繰延資産として計上し、償却することが認

められています。

 

 

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第40回税務調査の目のつけどころ…会費・入会金等(その2)

Q2 否認事例及び誤りやすい事例

 

会費・入会金等における否認事例、誤りやすい事例にどの

ようなものがありますか。

 

A

 

() 社交団体の入会金や会費を交際費として処理せず単純

損金処理していたもの

 

 税務上、社交団体(○○クラブ、○○会などの親睦団体)

の入会金は他に譲渡できず、脱会の際にも返還されない場

が多いため、法人会員として入会する場合その入会金は支出

の日の属する事業年度の交際費とされます。

 

 また、個人会員として入会する場合、その会員である特

の役員又は使用人の給与とされます。

 

 ただし、法人会員制度がないため個人会員として入会した

場合でその入会が法人の業務の遂行上必要があると認められ

るときは、その入会金は支出の日の属する事業年度の交際費

とされます。

 

 次に、経常会費については、その入会金が交際費に該当す

る場合には交際費とし、その入会金が給与に該当する場合に

は会員たる特定の役員又は使用人の給与とされます。

 

 また、経常会費以外の費用については、その費用が法人の

業務の遂行上必要があると認められる場合には交際費とし、

会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきものであると

められる場合にはその役員又は使用人の給与とされます。

 

() 法人が支出したロータリークラブの会費を交際費とせず

単純損金としていたもの

 

 ロータリークラブやライオンズクラブは、産業別の法人の

経営者や個人事業者が会員であり、その活動目的は社会連帯

の高揚や社会奉仕とされていますが、一方において業界関係

者である会員相互間の交流を深める会であるという側面もあ

るようです。

 

 したがって、その会費等については税務上以下のように取

り扱われています。

 

@ 入会金又は経常会費については、その支出の日の属する事

業年度の交際費とされます。

A それ以外に負担した金額については、その支出の目的に応

じた寄附金又は交際費とされます。

 

 ただし、会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきもの

であると認められる場合には、その役員又は使用人の給与と

されます。

 

() 法人が支出した同業者団体の入会金を繰延資産とせず単

損金としていたもの

 

 法人が同業者団体等の入会にあたり支出した入会金につい

は、原則として、繰延資産として処理する必要があります

(償却期間5年)。

 

 これは、入会後、会員はその同業者団体等から、会員とし

てのさまざまなサービスの提供を受けることになるため、会

員が支出した入会金の支出の効果は翌期以降にも及ぶという

理由からです。

 

 ただし、会員としての地位を他に譲渡できる場合には、そ

の地位を他に譲渡したり、脱会したりするまで資産として計

上することが必要とされています。

 

 なお、通常会費(その構成員のために行う広報活動、調査

研究、研修指導、福利厚生など、通常の業務運営のために経

常的に要する費用の分担額)については、原則として、その

支出した事業年度の費用となります。

 

 ただし、同業者団体等の剰余金が不相当に多額に留保されて

いる場合には、その剰余金が生じた時以後に支出する通常会費

については、その剰余金が適正な額になるまでは前払費用とし

て処理しなければなりません。

 

() 会館建設のために創立された同業団体に係る特別会費(会

館建設のためのもの)を支出時の損金として処理していたもの

 

 特定の目的のために同業団体等に支出する特別会費など次の

費用の分担額は前払費用として処理し、その同業団体等がこれ

らを支出した日に、その費途に応じて繰延資産、交際費、寄附

金等として取り扱うことになります。

 

@ 会館その他特別な施設の取得又は改良⇒繰延資産

A 会員相互の共済⇒貸付金等

B 会員相互の業界の関係先等との懇親等⇒交際費

C 政治献金その他の寄附⇒寄附金

 

 

        

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第41回税務調査の目のつけどころ…会費・入会金等(その3)

◎ゴルフ場が破綻した場合のゴルフ会員権の処理

 

 接待等のためにゴルフ場を利用するため、ゴルフ会員権を

保有している企業が多く見られますが、昨今、ゴルフ場の経

営が破綻して民事再生法等の適用を受ける場合などが多く見

受けられ、その場合、ゴルフ会員権の預託金部品につき貸倒

引当金や貸倒損金の対象にできるかということが税務上よく

問題となります。

 

 現在、わが国のゴルフクラブのほとんどは、その入会時に

預託金をそのゴルフクラブに納めるという預託金方式をとっ

ています。預託金は一定の据置期間経過後、退会を条件に返

還請求することができます。

 

 法人がゴルフクラブに入会した場合、その支払った預託金

はゴルフ会員権として資産計上されることになります。この

ようなゴルフ会員権の法的な性格は、プレーを行うためにゴ

ルフ場の施設を利用できる権利、すなわちゴルフ場施設利用

権や金銭債権である預託金返還請求権等をその内容とするも

のであるとされています。

 

 しかし税務上は、ゴルフ場施設を利用できる間については、

そのゴルフ会員権の性格は、金銭債権ではなく、ゴルフ場施

設利用権を得るために拠出されたもの、すなわちプレー権と

いう一種の無形固定資産であるとして取り扱われています。

 

(1) 破綻してもプレーが可能である場合

 ゴルフクラブが経営破綻により再建型の倒産処理手続きで

ある民事再生法による再生手続開始の申立てが行われたとし

ても、その段階では、ゴルフ場の運営は継続中でありプレー

が可能な状態ですので、プレー権はまだ存在しており、預託

金返還請求権は生じていません。

 

 よって、そのゴルフ場においてプレーが可能である限り、

その預託金の性格は金銭債権ではなく、プレー権であるとさ

れますので、民事再生法による再生手続開始の申立て段階で

は、預託金の50%相当額につき個別評価による貸倒引当金を

繰り入れることは認められないということになります。

 

(2) 破綻によりプレーができない場合

 ゴルフ場に対する破産宣告等によりゴルフ場が閉鎖されプ

レーができない状態になった場合やゴルフクラブを退会した

場合には、預託金の性格がプレー権から金銭債権に転換され

たとして、その預託金相当額については、貸倒損失及び貸倒

引当金の対象とすることができます。

 

(3) 預託金の一部が切捨てられた場合

 再生手続開始の申立て後、再生計画が認可され、その再生

計画に基づき預託金の一部が切り捨てられた場合には、その

切捨て部分については預託金の性格がプレー権から金銭債権

に転換し、その金銭債権が回収不能になったものとして取り

扱われます。

 

 よってその切捨て部分については、たとえ、そのゴルフ場

でプレーが可能であったとしても貸倒損失として損金処理す

ることが可能であると考えられます。

 

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第42回税務調査の目のつけどころ…消費税(その1)

Q 消費税についての目のつけどころ

 消費税に係る調査はどのように進められますか。また、調査

ポイントにはどのようなものがありますか。

 

 

 

消費税に係る調査官の調査の進め方及び調査ポイントとして

は、次のようなものが考えられます。調査を受ける法人側も、

このような調査ポイント等に対応した事前チェックが必要とな

ります。

 

連動非違と固有非違

  消費税の調査は通常、法人税の調査と並行して行われます。

消費税の調査における非違は、法人税の非違に連動して消費税

の非違も生じるもの(連動非違)と、法人税の否認とは連動し

ない消費税固有の非違(固有非違)とに分類されます。

 

 連動非違については、法人税の調査を行うことにより消費税

の調査も同時に行われることになりますが、固有非違について

は、消費税独自の調査が別に行われることになります。

 

 連動非違及び固有非違の具体例としては、次のようなものが

あります。

 

 連動非違         固有非違

・売上除外     ・取引における課非判定誤り

・売上計上漏れ   ・仕入税額控除の計上時期及び計算誤り

・架空仕入     ・簡易課税制度の適用及び計算誤り

・経費の繰上計上  ・課税売上割合の算定誤り

        など             など

 

 なお、加算税の取扱いですが、売上除外のような連動非違の

場合、法人税において重加算税の対象とされるような非違につ

いては消費税においても重加算税対象の非違として取り扱われ

ますので注意が必要です。

 

消費税の調査におけるポイント

 消費税における調査のポイントとしては、次のようなものが

考えられます。

 

(1) 課税事業者に該当するにもかかわらず消費税の申告を行っ

ていない法人はないか

 消費税の課税事業者となる法人は、基準期間(その事業年度

の前々事業年度)の課税売上高が1千万円超の法人です。また、

その事業年度開始の日における資本及び出資の金額が1千万円

上の法人の事業年度のうち設立1期目、2期目など、基準期

ない事業年度については、その基準期間がない事業年度につ

ては課税事業者として取り扱われます。

 

 さらに、「消費税課税事業者選択届出書」を提出している法人

ついては、基準期間の課税売上高が1千万円未満であっても

事業者として取り扱われます。税務調査において、これら

課税業者に該当する法人が適正に消費税の申告を行っている

かどうが確認されます。

 

(2) 課税売上高の算定に誤りはないか

 消費税においては、国内において事業として対価を得て行わ

る資産の譲渡、貸付及び役務の提供が課税対象となります。

課税売上高の調査においては、これらの課税取引をもとに課税

売上高が適正に集計されているかどうか、課税取引を非課税取

引や不課税取引として取り扱っていないかどうかについて調査

が行われます。

 

(3) 仕入税額控除の算定に誤りはないか

 仕入税額控除については、課税売上高の算定とは逆に、非課

税取引や不課税取引に該当するものを課税取引とし、仕入税額

控除の対象としていないかが調査の対象となります。特に、給

与、会費、交際費、旅費交通費等に誤りが多く見られるようで

す。

 

 また、課税売上割合が95%未満である事業年度においては、

課税仕入等に係る消費税額のうち一部が控除対象として認めら

れないことになりますので、課税売上割合の計算及び仕入税額

控除額は妥当かということが調査されます。

 

(4) 簡易課税制度の適用及びその計算に誤りはないか

 簡易課税制度は基準期間の課税売上高が5千万円以下の小規

模な事業者の消費税事務の負担を軽減するために選択適用が認

められた制度です。

 

 簡易課税制度を選択している法人については、基準期間の課

税売上高、「簡易課税制度選択届出書」提出の有無などから、簡

易課税の適用が可能な法人かどうかの検討が行われます。また、

業種によって異なるみなし仕入率の適用が妥当かどうかという

ことも調査の対象となります。

 

(5) 申告書、各種届出書等の提出時期に誤りはないか

 消費税の申告書は、原則として、課税期間終了後2か月以内

に提出する必要があります。また、「消費税簡易課税制度選択届

出書」や「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」、「消費税課

税事業者選択届出書」は、原則として、その適用(不適用)を

受けようとする課税期間開始の日の前日までにその届出書を提出

しなければ、その課税期間における適用(不適用)は認められま

せん。

 

 税務調査においては、これら申告書や届出書の提出期限が妥当

かどうかということも確認されます。

 

 

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第43回税務調査の目のつけどころ…消費税(その2)

簡易課税制度とはどのような制度ですか

 

簡易課税制度とは

 簡易課税制度は、小規模な事業者の消費税事務の負担を軽減

するために設けられた制度です。納付すべき消費税額は本来、

課税売上高に対する消費税額から実際の仕入れに対する消費税

額を控除して算定します。

 

 しかし、簡易課税制度を選択すると、課税売上高に対する消

費税額を把握するだけでよく、仕入れに係る消費税額は課税売

上高に対する消費税額に一定率(みなし仕入率)を乗ずること

により算定されます。

 

納付税額=課税売上高に対する消費税−課税売上高に対する消費税額

×みなし仕入率

(40%、50%、60%、70%、80%、90%)

  簡易課税制度は、基準期間(通常はその課税期間の前々年の

税期間)の課税売上高が5千万円以下の事業者が選択適用

できます。

 

 一般的に、仕入れや経費の中で人件費など消費税がかからな

 い取引の占める割合の高い企業では、実額による計算より簡易

課税による計算の方が有利な場合が多いようです。しかし、簡

易課税制度では、消費税が還付されるということはありません

(中間申告分の還付は除く)。

 

 したがって、多額の設備投資を行った課税期間等については、

簡易課税制度を選択するより、実額による計算により仕入控除

税額の計算を行った方が還付が生じて有利な場合も考えられま

す。

 

みなし仕入率

 簡易課税に用いられるみなし仕入率は業種別に定められてお

り、具体的にはつぎのとおりです。

事業区分 該当する事業 みなし仕入率
第一種事業
 卸売業(他の者から購入した商品を、その性質及び形
     状を変更しないで他の事業者に販売する事業)
90%
第二種事業  小売業(他の者から購入した商品を、その性質及び形
      状を変更しないで他の事業者に販売する事業)
80%
第三種事業
 (注1)
   農業、林業、漁業、鉱業、建設業、
   製造業
(注2)電気業、ガス業、
   熱供給業及び水道業 
70%
第四種事業  第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業、
第六種事業以外の事業(注3)(飲食店業等) 
  ・事業者が自己で使用していた固定資産を譲渡する場合も該当する。 
60%
第五種事業   金融業及び保険業(注4)サービス業(注5)
 運輸通信業    
  (第一種事業から第三種事業までに該当しないもの)
50%
第六種事業   不動産業(注4) 40%

  ※注1
 第一種事業、第二種事業に該当する事業、加工賃等に類する料金を対価とする役務の提供を除く。

  ※注
 製造小売業を含む。
 ※注

  第三種事業から除かれる、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業は第四種事業  に含まれる。
 ※注

  平成27年3月31日までに開始した課税期間においては、金融業及び保険業は第四種事業(みなし仕入率  60%)、不動産業は第五種事業(みなし仕入率50%)となります。
 ※注

  飲食店業に該当する事業を除く。 

 

簡易課税制度の適用を受けるためには

 簡易課税制度の適用を受けるためには、原則として適用しよ

うとする課税期間の前日までに、所轄税務署長に「消費税簡易

課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

 

 なお、簡易課税制度を選択した事業者は、事業廃止の場合を

除き、2年間は実額計算による仕入税額控除に変更することは

できません。

 

 

 

 

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第44回税務調査の目のつけどころ…消費税(その3)

るんるんワンポイントコラム

Q.このたび消費税の改正があったとのことですが、概略について教

えてください。

答え

 消費税の一部が改正され、平成22年4月1日以降に次の@Aのいずれ

にも該当する事業者の方は、免税事業者となることや簡易課税制度を

適用して申告することが一定期間制限されることとなりました。

※調整対象固定資産に該当する課税貨物を保税地域から引き取った場

も含まれます。
調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその附属設

備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、

器具及び備品、鉱業権等の無形固定資産その他の資産で、消費税等に

相当する金額を除いた金額が100万円以上のものが該当します。(法2

@十六、令5)

≪略語≫法・・・平成22年度改正後の消費税法、令・・・平成22年

度改正後の消費税法施行令

 

 

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第45回税務調査の目のつけどころ…消費税(その4)

Q 否認事例及び誤りやすい事例

 

 消費税調査における否認事例及び誤りやすい事例には、どの

ようなものがありますか。

 

答え

 

 具体的な否認事例及び誤りやすい事例として「課税事業者の

判定」「課税売上」「仕入税額控除」「簡易課税制度」「申告

書、各種届出書の提出等」の各項目別にご説明します。

 

 なお、解説の中に「(認容)」とあるのは、消費税額が減少、

あるいは還付税額が増加するものです。

 

(1) 課税事業者の判定

@ 基準期間の算定

 基準期間となる設立1期目の事業年度が3か月間であり、その

期の課税売上高が900万円であるにもかかわらず、設立3期目の

消費税申告を行っていなかったもの

 

基準期間が1年未満である場合、課税売上高を1年分に換算し

て課税事業者かどうかの判定を行う必要があります。

 

A 法人成り

 個人事業者が資本金1,000万円未満の会社に法人成りした場合、

設立1期目の消費税申告を基準期間の個人時代の課税売上高が1,

000万円超であったとして、「消費税の課税事業者の選択届出書」

を提出することなく、消費税の還付申告を行っていたもの

 

納税義務の判定は、事業者ごと、すなわち個人事業者や法人ご

とに行うこととなりますので、個人時代の課税売上高は法人にお

ける課税事業者かどうかの判定には影響しません。

 

 なお、個人事業者が法人成りの際、法人に対し個人の事業用資

産を譲渡したり現物出資すると、個人事業者にとって課税の対象

となりますので注意が必要です。

 

B 資本金1,000万円以上の会社の特例

 資本金1,000万円以上の法人を設立したにもかかわらず、設立1

 期目、2期目の消費税申告を行っていなかったもの

 

事業年度開始の日の資本金の額が1,000万円以上の法人につい

は設立1期目、2期目の基準期間がない事業年度には納税義務者

なります。

 

 3期目については、1期目の課税売上高が1,000万円以下かどう

により納税義務者かどうかの判定を行うことになります。

 

(2) 課税売上

@ みなし譲渡

@ 法人がその役員に対して資産を贈与又は著しく低い価額で譲

したにもかかわらず、時価により消費税を課税していなかった

もの

 

法人が資産を役員に譲渡した場合で、その譲渡の対価の額が著

く低い(おおむね時価の50%未満)ときには譲渡における通常

の販売価額(時価)により課税されます。

 

A 法人がその役員に対して無償又は著しく低い価額で行った資

の貸付、役務の提供について、時価をもとに消費税額を計算し

ていたもの(認容)

 

@のケースとよく似た事例ですが、役員に対する著しく低い価

による資産の貸付や役務の提供の対価については、上記の役員

に対する資産の低廉譲渡の規定は適用されません。

 

A 固定資産税相当額の処理

 建物を売却した際に受領した“譲渡先負担となる固定資産税の

日割計算分”を、課税売上としていなかったもの

 

このケースにおける固定資産税の日割計算分は、地方公共団体

に納付する固定資産税そのものではなく、当事者間における利益

調節のための金銭の収受とされており、消費税においては建物の

譲渡対価の一部とされます。

 

B 建物付土地の譲渡対価区分

 建物と土地を一括譲渡した際その対価区分を誤っていたもの

 

消費税における両者の区分方法には、次のようなものがありま

す。

 

イ. 譲渡時における時価の比率により按分する方法

ロ. 相続税評価額、固定資産税評価額を基に区分する方法

ハ. 土地、建物の原価を基に計算する方法

 

C 売上割引

 売上割引を支払利息に準ずるものとして、課税売上のマイナス

としていなかったもの(認容)

 

売上割引は、会計上、利益に準ずるものとして取り扱われる場

合もありますが、消費税では売上に係る対価の返還として取り扱

うこととされています。

 

D 土地の貸付

@ 青空駐車場(地面の設備、フェンス、区画、建物の設置、車

両等の管理なし)として貸し付けている土地の賃貸料を課税取引

としていたもの(認容)

 

更地の貸付に係る賃貸料は課税対象となりませんが、地面の設

備、フェンス、区画、建物の設置、車両等の管理を行っている駐

車場の貸付の対価は、施設の貸付として課税取引となります。

 

A 契約において定められた貸付期間が1月未満である土地の賃

貸料を課税取引としていなかったもの

 

土地は貸付は非課税ですが、土地の貸付期間が1月未満である

場合には例外的にその賃貸料は課税の対象となります。

 

E 収用(対価補償金)

 収用の際受領した“建物に係る移転補償金”を課税売上として

いたもの(認容)

 

租税特別措置法上、法人税の特例として移設困難な建物等に対

する移転補償金を対価補償金として取り扱う規定がありますが、

そのような移転補償金でも、消費税においては対価性のない補償

金であるとして課税対象外となります。

 

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第46回税務調査の目のつけどころ…消費税(その5)

(3) 仕入税額控除

@ 給与等人件費

@ 従業員に係る通勤手当を課税仕入の対象としていなかったもの(認容)

 

⇒給与自体は仕入税額控除の対象とはなりませんが、通勤手当のうち、現に

その通勤の費用に充てられる部分の金額については仕入税額控除の対象とな

ります。これは、所得税の非課税限度額を超える通勤手当であっても差し支

えありません。

 

A 出向料を課税仕入としていたもの

 

B 労働者派遣会社に対して支払った派遣料を課税仕入の対象としていなか

ったもの(認容)

 

⇒労働者派遣に対する対価は、給与に該当しないことから仕入税額控除の対

象となりますが、出向料は給与として取り扱われ、仕入税額控除の対象とな

りません。

 

A 旅費

 海外出張に係る費用を課税仕入としていたもの

 

⇒海外出張の場合の航空運賃、宿泊費、食事等の雑費は輸出免税や国外取引

に該当するため課税仕入には該当しません。ただし、海外出張の際の国内鉄

道運賃や国内宿泊費等課税仕入に該当する部分で、他の海外出張費用と区分

しているときは、その部分については仕入税額控除の対象となります。

 

B 交際費等

@ 贈答用ビール券、商品券等の購入費用を課税仕入としていたもの

 

⇒ビール券、商品券等の物品切手の購入は非課税とされ、仕入税額控除の対

象となりません。

 

A 香典、見舞金、お祝い金等を課税仕入としていたもの

 

⇒香典、見舞金、お祝い金等は資産の譲渡等の対価として支払われるもので

はなく、仕入税額控除の対象となりません。

 

C 寄附金

@ 自社でパソコンを購入し、地元の小学校に寄附した費用を課税仕入の対

象としていなかったもの(認容)

 

A 地元の小学校がパソコンを購入するための資金を寄附したが、その額を

課税仕入の対象としていたもの

 

⇒現金を寄附した場合には、仕入税額控除の対象となりませんが、物品を寄

附した場合で、その物品の取得が課税仕入に該当するときは、その課税仕入

は仕入額控除の対象となります。

 

D 会費

 同業者団体に係る通常会費を課税仕入としていたもの

 

⇒同業者団体、組合等に係る会費については、その団体としての通常の業務

運営のために経常的に要する費用を分担させ、その団体の在立を図るという

ような性質の会費(通常会費、一般会費等)については、通常、役務の提供

に係る対価に該当しないものとされています。

 

 ただし、名目が会費であっても、それが実質的に購読料、映画、演劇等の

入場料、研修受講料、施設利用料等と認められるときは仕入税額控除の対象

となります。

 

E 租税公課

@ 駐車違反に係る、交通反則金、レッカー移動料、車両保管料を仕入税額

控除の対象としていたもの

 

⇒交通反則金はもとより、レッカー移動料、車両保管料についても仕入税額

控除の対象とはされません。これは、レッカー移動料や車両保管料は、往来

の妨げとなる違反駐車車両を移動しなければならないことに対する一種の損

害賠償金であるという考え方から導き出された取扱いです。

 

A 軽油引取税、ゴルフ場利用税、入湯税を課税仕入の対象としていたもの

 

⇒消費税の対象となる課税資産の譲渡の対価の額には、酒税、たばこ税、揮

発油税等は含まれますが、軽油引取税、ゴルフ場利用税、入湯税は利用者が

納税義務者となっているという理由から対価の額には含まれません。

 

F 仕入

 請求書等の原始記録を紛失したため、商品受払簿で数量計算を行い、仕入

の事実を立証して法人税において損金処理が認められた取引につき、課税仕

入の対象としていたもの

 

⇒原則課税により仕入税額控除を受けるためには、課税仕入の事実を記録し

た帳簿及び課税仕入の事実を証する請求書等の両方の保存が必要とされてい

ます。これは、法人税の所得税において損金として認められる基準よりも厳

しくなっています。

 

 なお、支払対価が一回3万円未満の取引については、請求書等の保存は要

せず帳簿のみの保存で足りるとされています。

 

G 建設仮勘定、未成工事支出金

@ 建設仮勘定として計上した金額のうち役務の提供が完了した部分を、課

税仕入の対象としていなかったもの(認容)

 

A 工事に係る手付金、前払金を課税仕入の対象としていたもの

 

⇒消費税においては、役務の提供等が完了しているかどうかにより仕入税額

控除の可否が決定されます。したがって、建設仮勘定の中に役務の提供が完

了している工事に係る対価が含まれていれば、その工事の対価は仕入税額控

除の対象となります。

 

 逆に、手付金、前払金を支出したとしても、役務の提供がまだ完了してい

ない場合、その支出時点では仕入税額控除は認められません。

 

H 低廉取得

 親会社から資産を低額で譲り受け、受贈益を計上した場合に、受贈益計上

後の金額を仕入税額控除の対象としていたもの(認容)

 

⇒消費税の課税標準となる譲渡対価の額は、対価として「収受すべき」額であ

るとされています。この「収受すべき」額はその資産の時価ではなく、その譲

渡により当事者間で授受することとした対価の額をいいます。

 

I 貸倒損失、貸倒引当金繰入

@ 貸付金につき貸倒処理したにもかかわらず、その金額の一部を消費税申

告の際、控除していたもの

   

 

A 個別評価に係る貸倒引当金繰入額を消費税の控除対象としていたもの

 

⇒課税売上に関して発生した債権を貸倒処理した場合、その債権に係る消費

税部分については消費税額から控除することができます。しかし、その対象

となる債権については、売掛金等その債権発生時に消費税が含まれている債

権に限られますので、事例のような貸付金についてはその適用はありません。

 

J 課税事業者から免税事業者になった場合

 翌期は免税事業者になるにもかかわらず、期末の棚卸資産に係る仕入を仕

入税額控除の対象としていたもの

 

⇒課税事業者が免税事業者になった場合、免税事業者となる課税期間直前の

課税期間中に課税仕入を行った棚卸資産のうち、期末保有分に係る消費税額

については、その期の課税仕入の税額から控除する必要があります。

 

K 課税売上割合

@ 土地を売却し課税売上割合が95%未満となっているにもかかわらず、課

税仕入税額全額を控除対象としていたもの

 

⇒課税売上割合が95%未満となった場合には、課税仕入税額の全額が控除対

象となりません。当事業年度に土地を売却したり、住宅の貸付事業を新たに

開始した事業年度においては、課税売上割合が95%未満となっていないかを

チェックする必要があります。

 

A 有価証券売却額の5%相当額を、課税売上割合算定における計算式の分母

に含めていなかったもの

 

⇒課税売上割合算定の際、有価証券売却額の5%相当額を考慮にいれていなか

ったという事例がよく見受けられますので、注意が必要です。

 

(4) 簡易課税制度

@ 簡易課税制度選択の要件

 平成1641日以降に開始する基準期間の課税売上高が5,000万円超である

にもかかわらず、簡易課税制度を適用していたもの

 

A 簡易課税制度の取りやめ

 前事業年度に初めて簡易課税制度を選択したにもかかわらず、当事業年度に

おいて簡易課税を取りやめ、原則課税方式により消費税の計算を行おうとして

いたもの

 

⇒いったん簡易課税制度を選択してしまうと、事業を廃止した場合を除き、2

年間継続して簡易課税を適用しなければ、その適用をやめることは認められま

せん。

 

B 兼業の場合におけるみなし仕入率の適用

 卸売業に係る課税売上高70%、小売業に係る課税売上高30%の兼業法人が、

全課税売上につき卸売業のみなし仕入率を適用していたもの(参考:卸売業の

みなし仕入率90%、小売業のみなし仕入率80%)

 

2種以上の事業に係る課税売上がある場合、特定の1種類の事業に係る課税売

上高が総課税売上高の75%以上を占める場合には、すべての課税売上について、

その75%以上を占める事業に係るみなし仕入率を適用することができます。

 

(5) 申告書、各種届出書の提出等

@ 簡易課税制度選択届出書

@ 「消費税簡易課税制度選択届出書」を簡易課税により計算した申告書と同

時に提出していたもの

 

⇒「消費税簡易課税制度選択届出書」は適用する事業年度開始前に提出する必

要がありますので、事業年度開始前までに、次事業年度において簡易課税によ

り申告するか否かの意思決定を行う必要があります。

 

A 過去において「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しているにもかか

わらず、原則課税により申告を行っていたもの

 

B 従来、簡易課税制度を適用していた者が、「消費税簡易課税制度選択不適

用届出書」を提出することなく、原則課税による申告書を提出していたもの

 

⇒簡易課税を選択すると、その効果は「消費税簡易課税制度選択不適用届出書

」を提出するまで消滅しません。したがって、基準期間の課税売上高が簡易課

税を選択できない5,000万円超の事業年度でも、簡易課税を選択しているとい

う効果は潜在的に残っており、将来、基準期間の課税売上高が再び5,000万円以

下となった場合には簡易課税による申告を行う必要があります。

 

A 課税事業者選択届出書

 免税事業者が「消費税課税事業者選択届出書」を提出することなく当事業年

度の課税売上高が1,000万円超であるという理由で消費税の還付申告を行ってい

たもの

 

⇒免税事業者(基準期間の課税売上高が1,000万円以下の法人)については「消

費税課税事業者選択届出書」を事業年度開始前までに提出しない限り、消費税

の申告は認められないことになります。

 

B 消費税の申告期限延長

 法人税の申告において申告期限延長の承認を受けたという理由により消費税

の申告を決算日から3か月後に提出していたもの

 

⇒消費税申告書の提出期限は、たとえ法人税の申告において申告期限延長の承

認を受けていたとしても、事業年度終了後2か月以内となります。これは、法

人税と異なり、税額計算を、確定した決算すなわち株主総会により承認された

決算書に基づき行う必要がないためです。

 

 

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第47回税務調査の目のつけどころ…源泉所得税(その1)

Q1.源泉所得税についての目のつけどころ

 源泉所得税に係る調査はどのように進められますか。また、

調査のポイントにはどのようなものがありますか。

 

答え

 

 源泉所得税の調査は、資本金1億円未満の税務署所管法人に

いては、税務署による法人税や消費税、印紙税の調査と同時

行われます。

 

 一方、資本金1億円以上の国税局調査部()所管法人や支店、

工場等の事業所単位で源泉所得税の納付を行っている法人につ

いては、その納税地所管の税務署により単独で行われます。

 

 泉所得税に係る調査の進め方及び調査ポイントとしては次

のようなものが考えられ、法人側もこれに対応した事前チェッ

クが必要となります。

 

() 毎月の源泉所得税額の計算は正当か

 各人の毎月の給与に係る源泉徴収税額が適正かどうかにつき、

源泉徴収簿、扶養控除等申告書、税額表等から検討が行われま

す。

 

 その際、非課税限度額を超える通勤手当を支給している場合、

その超える部分につき課税が行われているかどうかについても

検討が行われる場合が多いようです。

 

 また、甲欄を適用して源泉徴収税額を計算している人につい

ては、その人から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が提出

されているかどうかについても検討が行われ、提出がない場合

は乙欄による税額計算が必要とされます。

 

() 年末調整の計算は適正か

 扶養控除等申告書、保険料控除申告書から、配偶者控除、配

偶者特別控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除そ

れぞれの額が適正に計算されているかどうかを源泉徴収簿にお

ける年末調整の計算プロセスから検討し、年末調整における税

額計算が適正に行われているかどうかにつき検討が行われます。

 

 具体的な検討としては、次のようなものが挙げられます。

 

 税額表による年末調整計算の検討

 

 生命保険料や地震保険料、社会保険料に係る控除証明書や

住宅取得控除における借入金残高証明書等の添付すべき証明書

等の添付漏れはないかどうかについての検討

 

 生命保険料控除額や地震保険料控除額の計算は適正かどう

かについての検討(特に、生命保険料控除における一般分と年金

分の区分、地震保険料控除に該当するかどうかについては

注意が必要です)

 

 扶養控除申告書に記載された配偶者や扶養家族の収入額か

ら、控除対象となる配偶者や扶養家族に該当するか、該当する

とすれば、その控除額は適正かどうかについての検討

 

()経済的利益や現物給与について課税漏れはないか

 源泉所得税の調査において、最も中心となるのがこの項目で

す。法人が計上している経費科目の内容を経費帳、請求書、領

収書等から検討し、従業員等に対する経済的利益や現物給与に

該当する支出はないか、該当する場合は、その支出額につき給

与所得として源泉徴収されているかどうかが検討されます。

 

 また、同族会社の場合、役員の個人的費用を会社が負担して

ないかについても重点的に調査が行われます。特に調査の対

象となる勘定科目として、次のような科目が挙げられます。

 

 給与

・課税対象となる各種手当、報奨金等につき課税漏れはないか

 

 福利厚生費

・給食費の会社負担額は適正か

・永年勤続者、成績優秀者等に対する表彰金等のうち課税対象と

 なるものはないか

・社内旅行費用やレクリエーション費用のうち課税すべきものは

 ないか

 

 支払家賃、受取家賃

・社宅家賃を従業員から適正に徴収しているか

 

 支払利息、受取利息

・従業員に対して無利息貸付け、低利貸付けを行っていないか

 

 旅費交通費

・非課税限度額を超える通勤手当について課税がなされているか

・旅費交通費の精算は適正に行われているか

・いわゆるカラ出張はないか

 

 租税公課

・従業員等が負担すべき所得税、住民税、固定資産税、交通反則

 金等を負担していないか

 

 交際費

・個人的な飲食費を交際費としていないか

・いわゆる“渡し切り交際費”はないか

 

 水道光熱費

・本来個人が負担すべき水道光熱費を法人が負担していないか

 

 雑費

・その他個人的な費用を会社が負担していないか

 

 会社と従業員等間の取引

・従業員等からの資産の高価買い入れはないか

・従業員等への資産の低廉譲渡はないか

 

(4) 報酬料金について源泉徴収漏れはないか

 法人が支払う報酬料金についても、法人の経費勘定等から源泉

徴収漏れがないかが検討されます。特に、重点的に調査の対象と

なる科目として、次のような科目が挙げられます。

 

 支払手数料、外注費

・工業所有権の使用料、著作権の使用料、デザイン料、原稿料等

 に対する支払いについて課税漏れはないか

・弁護士、司法書士、測量士、建築士、土地家屋調査士、個人の

 経営コンサルタント等に対する支払いについて課税漏れはないか

 

 人件費

・ホステスに該当する者に対して、報酬料金に係る源泉所得税を

 徴収しているか

 

 試験研究費

・工場所有権の使用料、技術士に対する報酬の支払い等につき源

 泉徴収が行われているか

 

 広告宣伝費

・個人事業者に対するデザイン料、原稿料、著作権使用料、挿絵・

 写真・吹き込み等の報酬に対する支払いについて課税漏れはないか

・広告宣伝のために支払う賞金等の支払いに対して源泉徴収が行

 われているか

 

 雑費

・社員研修における外部講師への謝礼金の支払いについて課税漏

 れはないか

 

(5) 退職金についての源泉税額の計算は適正か

 退職金に係る源泉所得税額計算の適否については、

 

 退職金を支払った際、受給者から「退職所得の受給に関する

申告書」が提出されているか(なお、その提出がない場合には、退

職金の支払金額の20%を源泉徴収する必要があります)

 

 勤続年数に応じて計算される退職所得控除額の計算は正しいか

 

 退職所得として源泉徴収をしているが、退職により支給され

たものではなく、賞与に該当し、給与所得としての源泉徴収を行

う必要があるものはないか

 

というような点を中心に調査が進められます。

 

(6) 非居住者に対する支払いについて源泉徴収漏れはないか

 例えば、非居住者や外国法人が行った、国内での役務提供に対

し手数料等を支払う場合、その手数料等の支払いにつき源泉徴収

が必要とされる場合があります。

 

 非居住者に対する人的役務の提供の対価、給与、不動産の賃貸

料、利子、配当、使用料、土地等の譲渡対価等の支払いについて

源泉徴収漏れはないかどうかということが検討されます。

 

(7) 海外勤務者に対する源泉徴収は適正に行われているか

 海外で勤務する者や新たに海外勤務となった者に対する国内勤

務分に対する給与の支払いについては、非居住者に対する源泉徴

収に係る規定が適用される場合がありますので、そのような者に

対する源泉徴収は適正に行われているかということが検討されま

す。

 

(8) 架空人件費の計上はないか

 源泉所得税の調査は、法人が計上した人件費を中心に行われる

ことになります。したがって、不審な人物に対する支払いや、支

給状態が不自然な給与の支払いの事実が明らかになった場合、源

泉所得税の検討より、法人税における架空人件計上の有無及び人

件費の計上の妥当性の検討を重点に調査が行われる場合も考えら

れます。

 

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第48回税務調査の目のつけどころ…源泉所得税(その2)

社宅家賃と給与課税

 会社が従業員や役員に対して社宅や寮などを貸し付けている場合、

税務上定められた「賃貸料相当額」より、その従業員等から徴収し

ている賃貸料の方が低い場合、その差額分は経済的利益となり、原

則として、その従業員等に対し給与課税が行われます。

 

1 従業員に対する場合

 従業員に社宅等を貸し付けている場合、次の算式により計算され

額が「賃貸料相当額」とされます。なお、会社が他から借り受け

住宅等を社宅等として使用人に貸与する場合もこの算式によって

賃貸料相当額」を計算します。

 

 ただし、従業員についてはその従業員から徴収している賃貸料が

「賃貸料相当額」の50%以上である場合には、その差額については

課税されません。

 

 

2 役員に対する場合

役員に社宅等を貸し付けている場合は、次の(1)から(4)により「賃

貸料相当額」を計算しますが、その額は従業員に対するものよりも

高めに定められています。

 

 (1) 会社所有の社宅等を貸し付けている場合次の算式により計算し

た金額が「賃貸料相当額」とされます。

 

 

なお、「木造家屋以外の家屋」とは、その耐用年数が30年を超え

る住宅用の建物をいいます。

 

(2) 他から借り受けた住宅等を貸与している場合

他から借り受けた住宅等を役員に貸与している場合は、@会社が

支払う賃貸料の50%相当額とAその住宅等につき上記2(1)の算式に

より計算した金額のいずれか多い金額が「賃貸料相当額」とされま

す。

 

(3) 社宅等が小規模住宅に該当する場合

 その社宅等の床面積が132u(木造家屋以外の家屋については99

u)以下である場合には上記2(1)(2)によらず、上記1の従業員に対

する場合の算式により計算した金額が「賃貸料相当額」とされます。

 

(4) 社宅等が豪華社宅に該当する場合

 上記2(1)(2)(3)によらず、その住宅等の利用につき通常支払うべき

使用料の額(一般の賃貸住宅である場合に授受されると認められる

賃貸料の額)が「賃貸料相当額」とされます。

 

なお、豪華社宅であるかどうかは、床面積が240u超の社宅等のう

ち、取得価額、賃貸料、設備や内外装等の要素を総合勘案して判定

されます。また、床面積が240u以下のものであっても、プール等が

あったり、役員個人の嗜好が著しく反映されている社宅等については

豪華社宅とされる場合も考えられます。

 

 

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第49回税務調査の目のつけどころ…源泉所得税(その3)

否認事例及び誤りやすい事例

 源泉所得税の調査における否認事例及び誤りやすい事例には、

どのようなものがありますか。

 

答え

 

 ご紹介する事例の中には基本的なものもありますが、税務調査

の際に、問題点として指摘されるものが多く含まれています。

 

(1) 個人的費用の付け替え

 役員の個人的な費用を請求書、領収書等を書き換え、事務用品

費として法人で処理していたもの

 

⇒個人的費用の会社負担については、税務調査において指摘が多

い項目であり、本例のような不正行為については重加算税の対象

となる場合があります。

 

(2) 表彰金

 成績優秀な従業員に対する表彰金を課税対象としていなかった

もの

 

⇒成績優秀社員に対する表彰金等を現金で支給する場合には、金

額のいかんにかかわらず給与等(賞与)として源泉徴収が必要とな

ります。

 

(3) 慰安旅行費用

 78日の海外慰安旅行を実施したにもかかわらず、その旅行費

用を福利厚生費として処理し、参加費に対する給与等としていな

かったもの

 

⇒次の三つの要件すべてを満たしていない慰安旅行費用について

は、経済的利益として課税する必要があります。

 

@ その旅行に要する期間が45(目的地が海外の場合は、現地

における滞在日数)以内であること

 

A 参加する従業員の数が全従業員の数(工場や支店等の単位で行

う場合には、その工場や支店等の従業員の数)が半数以上であること

 

B その旅行によって従業員の受ける利益の額があまりに高額で

いこと

 

(4) 慰安旅行不参加者に対する現金支給

 慰安旅行の不参加者に対し、旅行に代えて現金を支給している

合に、旅行参加者に対する課税を行っていなかったもの

 

⇒旅行の不参加者に対し、旅行に代えて現金を支給した場合、結

果的に従業員は、旅行参加か現金支給かを選択できることになり

ますので、全従業員について経済的利益があったものとして課税

が行われることになります。

 

(5) 無利息貸付け、低利貸付け

 従業員に対して貸付けを行っているが、その貸付金に対する利

息を徴収していなかったもの

 

⇒法人が従業員に資金を貸し付ける場合、次に示す通常の利息相

当額を徴収していないときは、通常の利息相当額と実際に徴収し

ている利息との差額については、給与(経済的利益)として源泉徴

収を行う必要があります。

 

@ 法人が他から借り入れて貸し付けた場合:その借入金の利率

 

A その他の場合は、貸し付けを行った日の属する租税特別措置
法第93条第2項《利子税の割合の特例》に規定する特例基準割
合による利率により評価する。
 (注:特例基準割合とは、各年の前々年の十月から前年の九月ま
での各月における短期貸付けの平均利率[当該各月において銀行
が新たに行った貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る。)に係
る利率の平均をいう。]の合計を十二で除して計算した割合[当該
割合に0.1% 未満の端数があるときは、これを切り捨てる。]とし
て各年の前年の十二月十五日までに財務大臣が告示する割合に、
年1%の割合を加算した割合をいう。)

 具体的な割合は次のとおりとする。

期間(平成 年/月/日) 年利率(%)
H27/1/1〜H27/12/31 2.8
H26/1/1〜H26/12/31 2.9
H22/1/1〜H25/12/31 4.3
H21/1/1〜H21/12/31 4.5
H20/1/1〜H20/12/31 4.7
H19/1/1〜H19/12/31
4.4
H14/1/1〜H14/12/31 4.1
H12/1/1〜H13/12/31 4.5

 

 ただし、災害や疾病等により多額の生活資金が必要となった場

合の貸付けや、その事業年度における利息相当額が5,000円以下と

少額な経済的利益については課税されません。

 

 また、使用人に対し住宅取得資金を貸し付けた場合、年1%以上

の利率により利息を徴しているときは、その経済的利益について

も課税されません(平成221231日まで)

  この特例は平成22年12月31日の適応期限の到来を持って廃止さ
れましたが、同日以前に使用者から住宅資金の貸し付けを受けて
いる人に対しては、廃止前の特例が引き続き適応されます。

  平成23年1月1日以降、新規に使用者が使用人に対して住宅取得
資金の貸付けを行った場合については、通常の金銭貸付けの場合
と同様の取扱いとなります。 

 

(6) 昼食代の会社補助

 従業員1人あたり月額3,500円を超える昼食代を会社負担として

いる場合に、その超える部分のみを課税対象としていたもの

 

⇒従業員に対する食事代の補助については、従業員が半額以上負

担し、かつ、一人月額3,500円以内の会社負担であれば非課税とさ

れています。

 

 ただし、この規定は非課税限度額を定めたものではありません

ので、会社負担額が3,500円を超えた場合、会社負担額全額が課税

対象となります。

 

(7) 永年勤続者に対する旅行券支給

 永年勤続記念として旅行券を支給したが、その使用状況を管理

ていなかったもの

 

⇒旅行券は有効期限の定めがなく、換金も可能なので、原則とし

て、給与等として課税が必要です。ただし、旅行券支給後相当期

間内(1年程度)にその旅行に係るホテルの領収証等で旅行券の

使用状況を確認している場合には課税しなくて差し支えありません。

 

(8) 役員報酬の受領辞退

 業績悪化のため未払であった役員報酬の受領を辞退した際、そ

の辞退額につき源泉徴収していなかったもの

 

⇒給与等の支払者が、源泉徴収の対象となる給与等の未払金につ

き債務免除を受けた場合、その免除を受けた時点で支払いがあっ

たものとして源泉徴収を行うこととされています。

 

 ただし、給与等の本来の支給日前に受領を辞退した場合や、次

ような特殊事情の下において受領を辞退した場合には、源泉徴

収しなくて差し支えないものとされています。

 

@ 整理開始命令、特別清算の開始命令を受けたこと

 

A 破産宣告、再生手続、更生手続開始の決定を受けたこと

 

B 業績不振のため会社整理の状態に陥り、債権者集会等の協議

より債務の切捨てを行ったこと

 

(9) 未払役員賞与、未払配当に対する課税

 1年以上未払となっている役員賞与や配当につき、その支払い

ないという理由で源泉徴収を行っていなかったもの

 

⇒利益処分賞与、損金不算入となる役員賞与、配当金が、その確

定日から1年を経過した日までに支払いがない場合には、その1

を経過した日において支払いがあったものとみなして源泉徴収が

必要となります。

 

(10) 短期アルバイトに対する課税

 あらかじめ雇用期間が2か月以内と定められているアルバイトに

対する給与に適用する源泉徴収税額を、月額表又は日額表の乙欄を

適用して計算していたもの

 

⇒雇用期間が2か月以内と定められている者に支給する給与で、労

働した日又は時間によって算定されるものについては、日額表の

欄を適用して源泉徴収税額を計算します。

 

(11) 扶養控除等申告書提出の有無

 長期アルバイトに対して支払った給与に係る源泉徴収税額の計

を甲欄で行っているにもかかわらず、そのアルバイトから扶養

控除等申告書を徴していなかったもの

 

⇒甲欄で源泉徴収を行うためには、その使用人等から扶養控除等

告書を徴する必要があります。これは、源泉徴収事務の基本で

すが、実際の税務調査においては、扶養控除等申告書が提出され

ていない場合が多く見受けられ、乙欄による計算により追徴課税

が行われる場合があります。

 

(12) 中途採用者に対する年末調整

 前の勤務先がある中途入社者に対し当社支給分のみで年末調整

を行っていたもの

 

⇒この場合、前の勤務先発行の源泉徴収票を提出させて当社支給

分と合計して年末調整を行う必要があります。なお、前の勤務先

の源泉徴収票の提出がない場合には、当社支給分のみで年末調整

を行うことはできません。

 

(13) 保険料控除証明書の提出

 年末調整において、生命保険料控除を行っているにもかかわら

ず、保険料控除申告書に保険料支払いの事実を証明する証明書の

添付がなかったもの

 

⇒年末調整において、生命保険料控除や損害保険料控除、損害保

険料控除(国民年金等に係るもの)の適用を受ける場合には、原則と

して、保険料支払いの事実を証明する証明書を保険料控除申告書

に添付する必要があります。

 

 これらの証明書の添付もれが税務調査により指摘される場合が

少なからずあります。

 

(14) 定年退職者に対する慰安旅行費用

 定年退職者に対する慰安旅行費用を、退職を機会として行って

いることから、退職所得として課税していたもの

 

⇒この費用は、永年勤続表彰制度と同様の内容に基づくものであ

り、社会通念上相当と認められるものについては課税しなくても

よいと考えられます。

 

(15) デザイン料、原稿料等に対する源泉徴収

 個人に対して支払った、デザイン料、原稿料、講演料、経営コ

ンサルタント料につき報酬料金として源泉徴収を行っていなかっ

たもの

 

⇒このような報酬料金については10%(1回の支払いが100万円を

える場合、その超える部分については20%)の源泉徴収が必要です。

調査においては、スポットで支払われた報酬料金についての源泉

徴収もれがよく見受けられますので注意が必要です。

 

(16) 法人に対して支払う報酬料金

 法人に対して支払う建築士の報酬について誤って源泉徴収して

いたもの

 

⇒法人に対する報酬料金の支払いについては源泉徴収する必要は

ありません。誤って源泉徴収をした場合には、所轄税務署長に誤

納還付請求書を提出し、源泉税相当額の還付を受けることになり

ます。

 

(17) 国内勤務期間に係る賞与に対する源泉

 年の中途で3年間の海外支店勤務となった従業員に対し、転勤

後本社で支給された賞与の中に国内勤務期間に係る部分があるに

もかかわらず、その部分につき源泉徴収を行っていなかったもの

 

⇒非居住者が支払いを受ける給与や賞与などのうち、国内におい

て行う勤務や人的役務の提供に起因するものがあればその部分に

ついては、国内源泉所得として源泉徴収が必要です。

 

 すなわち、次の算式により計算した額については、非居住者に

対するものとして20%の税率により源泉徴収が必要となります。

 

賞与の総額×国内勤務期間/賞与計算の基礎となった期間

 

 なお、その他の部分については源泉徴収の必要はありません。

 

(18) 海外勤務役員の給与に対する源泉徴収

 海外支店で長期間勤務している役員に対して支給した給与等
つき源泉徴収をしていなかったもの

 

⇒内国法人の役員として国外で勤務する場合には、その勤務は国

内において行う勤務に含まれます。したがって、その役員に対し

て支給された給与等は国内源泉所得となり、源泉徴収の必要があ

ります(租税条約に別段の定めがある場合を除きます)

 

 なお、次に該当する場合、その勤務は、国内における勤務には

含まれません。

 

@ 内国法人の役員兼海外支店長のように、内国法人の使用人と

して海外支店等で常時勤務する場合

 

A 内国法人の役員が国外にあるその法人の子会社に常時勤務す

る場合

 

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第50回税務調査の目のつけどころ…源泉所得税(最終回)

◎源泉所得税における加算税等の取扱い

 

1 源泉所得税の法定納期限と加算税

 会社などの源泉徴収義務者が源泉徴収をした所得税の法定納期限は、

原則として、対象となる所得を支払った月の翌月10(納期の特例の承

認を受けている者は、原則として、710又は20)とされ

ています。

 

 この法定納期限までに源泉所得税を納付しなかった場合には、ペナル

ティとして不納付加算税、重加算税、延滞税が課されます。

 

(1) 不納付加算税

 源泉所得税を法定納期限までに納付しなかった場合には、本税の10%

 の不納付加算税が課されます。(5,000円未満は不徴収となります)

 

 ただし、@本税を自発的に納付した場合であり、かつ、Aその納付が

税務調査により納税の告知があることを予知して納付されたものでない

ときはその税率が5%に軽減されます。

 

(2) 重加算税

 また、事実の全部又は一部を隠ぺい、仮装して源泉所得税を法定納期

限までに納付しなかった場合には、悪質であるとして、不納付加算税に

代えて、本税の35%の重加算税が課されます(5,000円未満は不徴収)

 

(3) 延滞税

 これらの加算税とは別に、法定納期限の翌日から納付日までの日数に

応じて延滞税を納付しなければなりません。

 税金の納付が遅れると、遅れた日数が2か月以内については年利7.3%2か月を超えた日数については年利14.6%の割合で延滞税がかかります。

  ただし、現在は以下のようになっております。 

  1. (1) 納期限(注2)の翌日から2月を経過する日まで
     原則として年「7.3%」
     ただし、平成12年1月1日から平成25年12月31日までの期間は、「前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率+4%」の割合となります。
     また、平成26年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「特例基準割合(注3)+1%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
    • 平成27年1月1日から平成27年12月31日までの期間は、年2.8%
    • 平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年2.9%
    • 平成22年1月1日から平成25年12月31日までの期間は、年4.3%
    • 平成21年1月1日から平成21年12月31日までの期間は、年4.5%
    • 平成20年1月1日から平成20年12月31日までの期間は、年4.7%
    • 平成19年1月1日から平成19年12月31日までの期間は、年4.4%
    • 平成14年1月1日から平成18年12月31日までの期間は、年4.1%
    • 平成12年1月1日から平成13年12月31日までの期間は、年4.5%
  2. (2) 納期限の翌日から2月を経過した日以後
     原則として年「14.6%」
     ただし、平成26年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
     平成27年1月1日から平成27年12月31日までの期間は、年9.1%
     平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年9.2%
  3. (注3) 特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます

 

2 不納付加算税が課されない場合

 このように、法定納期限までに源泉所得税を納付しなかった場合には

不納付加算税が課されますが、期限後納付となったことについて「正当

な理由」がある場合には、不納付加算税を課さないこととされています。

 

 「正当な理由」にあたるものとして、例えば、次のようなケースが示

れています。

 

(1) 従業員などが提出した、扶養控除等申告書、配偶者特別控除申告書、

保険料控除申告書等をもとに行った控除が過大であった場合で、会社な

ど源泉徴収義務者側の責めに帰すべき事由があると認められないとき。

 

(2) 災害、交通・通信の途絶など、真にやむを得ない事由があると認め

られるとき。

 

(3) その他、たまたま納付するのが遅れたという、いわゆる”うっかり

ミス”による期限後納付についても措置が施されており、法定納期限の

翌日から1か月以内に納付され、かつ次のいずれかに該当するときも「

正当な理由」があるものとされています。

 

@ その直前1年分について納付の遅延をしたことがないこと(偶発的な

納付遅延)

 

A 新たに源泉徴収義務者となった者の初回の納期に係るものであるこ

(初回の納付遅延)

 

 なお、不納付加算税が課されない場合でも、延滞税は課される場合が

ありますので、ご注意ください。

税務調査手続きの改正

Q 税務調査手続きが改正されたとのことですがどのように改正されましたか?概要を教えてください。
 

税務調査手続きの改正が、平成23年12月2日施行の「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」により行われました。

 

適用時期は平成25年1月1日以後の税務調査からです。

 

まず、税務調査を行う場合の事前通知については、原則として、あらかじめ事前通知を行うことが法律で定められました。

 

これまでも一部の調査を除いて事前通知は行われていましたが、法律としての規定はありませんでしたのでこれを法律で規定したということです。

 

通知の内容は、

例えば

(イ)調査の開始日時

(ロ)調査の場所

(ハ)調査の目的(例:○年分の所得税の申告内容)

(二)調査の対象となる税目

(ホ)調査の対象となる期間

(へ)調査の対象となる帳簿書類その他の物件(例:所得税法○条に規定する帳簿書類)

です。

 

実際に運用されるのは平成25年からですが、気になることが何点かあります。

 

通知内容として調査対象税目とありますが、調査の実際事前通知で示された項目以外は

調査できないと解すべきでしょうか?

(しかし、別の事項で非違が認められる場合は調査を妨げないとはありますが)。

 

通知内容として調査の対象となる期間とありますのでたとえば平成23年分の所得税でしたら

平成20年分の調査はできない事になります。

 

通知内容として調査の場所とありますが、調査の場所が本店でしたら社長の自宅は調査できない

事になります。

 

通知内容として調査の対象となる帳簿書類その他の物件とありますので調査の対象が所得税法に規定する帳簿書類でしたらパソコンは調査できない?

 

実際に運用されて、税務署がどのように通知してくるかが興味深いことですし、税理士はその通知内容を十分に分析して調査に臨む必要があろう。


事前通知以外の改正内容としては、調査終了時の手続きについて、課税庁の納税者に対する説明責任を強化する観点から、法律上明確化されます。

また、現行の調査事務上行われている物件の預かり・返還などに関する規定が法律上明確化されます。

更正の請求の期間延長について

Q更正の請求の期間が延長されたそうですが、内容について教えてください。

それと合わせて、当初申告要件が廃止されたものがあるそうですが、その内容についても教えてください。

 

平成23年度税制改正大綱に盛り込まれておりました、税金を払い過きた場合に、納税者側の手続きにより取り戻すことが申請できる「更正の請求の期間延長等」について平成23年11月30日に可決成立し、平成23年12月2日より以下の内容で施行されることとなりました。

 

1.平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

しかし、「更正の請求の期間延長」とともに、税務署長が増額更正を行うことができる期間も5年(脱税は7年)に延長されています。

 

区分

旧法

新法

下記に掲げるもの以外の更正の請求

法定申告期限から1年

法定申告期限から5年

贈与税、 移転価格税制に係る法人税

法定申告期限から1年

法定申告期限から6年

に係る更正の請求

法人税の純損失等の金額に係る更正の請求

法定申告期限から1年

法定申告期限から9年

 

平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税への対応

本来は適用されない過去の期間のものでも、課税庁により増額更正できる期間内のものについて、納税者から「更正の申出書」の提出があれば、調査検討の上、 納め過ぎが認められた場合には、減額更正が行われることとなります。

 

2.当初申告要件の廃止

当初申告の際、 申告書に適用金額の記載があった場合に限り可能とされていた措置のうち、 以下のものについては、 更正の請求により事後的に適用を受けることができることとされました。

※ 当初申告要件が廃止された主なもの

区分

該当する主な適用項目

所得税

純損失・雑損失の繰越控除、変動・臨時所得の平均課税、外国税額控除、控除対象外消費税

法人税

受取配当等の益金不算入、所得税額・外国税額控除、寄附金の損金算入

相続税・贈与税

配偶者の税額軽減、 贈与税の配偶者控除、 相続税における特定贈与財産の控除

 

3.控除額の制限の見直し

控除等の金額が当初申告の際に申告書に記載した金額に限定される「控除額の制限」がある措置について、「更正の請求」により、適正に計算された正当額まで増額できることとされました。

 

※ 控除額制限が見直された主なもの

区分

                  該当する主な適用項目

所得税

青色申告特別控除(65万円)、中小企業者等の機械等取得の特別控除、試験研究費特別控除

法人税

受取配当等の益金不算入、所得税額・外国税額控除、寄附金の損金算入

 

 

 

 

 

 

 

4.その他

(1)故意に内容虚偽の更正の請求書を提出した場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。

(2)更正の請求に際しては、納税者がその理由を証明するとの趣旨を明確化する観点から、更正の請求の理由の基礎となる『事実を証明する書面』 の添付が義務化されます。