第14回 科目別税務調査の目のつけどころ・・・交際費(その4)
交際費の額はいくらとすべきかという問題が税務調査でよくトラブルになります。以下代表的な事例をご紹介します。
* パーティを開催した場合に受け取った祝い金の処理について
【事例】
ある法人が得意先、仕入先等を招いて記念パーティを開催し、その開催費用や記念品代として100万円を支出したが、得意先等の参加者から祝い金として40万円受領したので最終的な負担額が60万円となったような場合に交際費として処理すべき金額はいくらになるか。
① 会費制をとらなかった場合・・・交際費の金額はその会社がパーティ開催に際して直接要した費用100万円となり、祝い金40万円は雑収入に計上することになる。
② 祝い金ではなく会費制をとった場合・・・パーティ費用100万円と会費40万円との相殺後の金額60万円が交際費になる。
上記のような処理の相違は祝い金は会社の任意で支払われるものであるのに対して会費は、その会費を支払わなければパーティに参加できないわけであり、いわば、パーティ費用のうちの一部を参加者が負担したことになるからです。
≪会社の対応策≫・・・パーティ等を開催する際に、交際費の額を抑えたい場合には、会費制にできる余地がないかどうか開催前に検討しておくことが必要でしょう。
* 遠隔地で会議を行った場合
【事例】
メーカーなどが温泉地等の遠隔地で全国の代理店を集めて全体会議・宴会等を行う場合、それらに要した費用のうちどれだけを交際費とすべきかということもたびたび問題となります。
例えば以下のような費用が生じたとします。
1)現地までの交通費、宿泊代240万円 2)現地での営業会議費用 40万円 3)現地での宴会・観光費用 80万円 合計 360万円 |
これらの費用のうち2)の営業会議費用40万円は会議費として、3)の宴会・観光費用は交際費としてそれぞれ処理すべきですが、問題は1)の交通費・宿泊代を交際費とすべきかどうかということです。
ポイント・・・この場合現地で行われた会議が会議としての実態を備えているかどうかが、判断の基準となります。
すなわち、現地で行われた会議が会議としての実態を備えておれば(1)の交通費・宿泊代240万円は会議に通常要すると認められる費用になり、交際費の額に含める必要はありません。
一方、会議としての実態を備えていないと判断された場合は、(2)の営業会議費用40万円のみが会議費とされ、残りの320万円は交際費として処理しなければならなくなります。
≪会社の対応策≫・・・会議の実態を備えているかどうかは事実認定の問題ですが、例えば会議の時間が1〜2時間程度で内容的にもあいさつ、スライド映写、営業戦略・営業概要の説明程度のものであれば税務調査の際にその実態なしと判断される可能性が高いでしょう。
遠隔地で会議と接待・慰労等を実施した場合。税務調査の際必ずその内容について質問されます。
客観的証拠として請求書や領収証等は当然ですが。案内状、日程表、参加者名簿、配布資料、会議の議事録等は必ず保管しておく必要があります。
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