Q2 否認事例及び誤りやすい事例
ソフトウエアにおける否認事例、誤りやすい事例には、どのよう
なものがありますか。
A ソフトウエアにおける、否認事例及び誤りやすい事例としては
次のようなものがあります。
(1) 自社制作のソフトウエアに係る費用を資産計上
していなかったもの
従来、ソフトウエアはノウハウに準ずるものとして、税務上、繰
延資産として取り扱われていました。そのため、他から購入したソ
フトウエアのみが資産計上の対象となり、自社制作のソフトウエア
については資産計上の必要がありませんでした。
しかし、平成12年度の税法改正により、ソフトウエアは繰延資産
ではなく無形減価償却資産として取り扱われることとなったため、
平成12年4月1日以降取得された自社製作のソフトウエアについては、
一般的な自社製作減価償却資産と同様、その製作に要した費用(原
材料費、労務費、経費)及びそのソフトウエアを事業の用に供する
ために直接要した費用につき資産計上をする必要があります。
ただし、製作等のために要した間接費、付随費用で、その費用の
額の合計額がその製作価額のおおむね3%以内のものは、そのソフ
トウエアの取得価額に算入しないことができることとされています。
(2) 購入したソフトウエアのインストール費用を、そのソフトウエア
の取得価額に含めていなかったもの
前述のようにソフトウエアも減価償却資産に含まれますので、その
取得価額には、購入代価、購入手数料等の購入のために要した費用お
よびそのソフトウエアを事業の用に供するための費用も含まれます。
したがって、購入あるいは外注製作したソフトウエアをコンピュー
タにインストールするための費用も、そのソフトウエアを事業の用に
供するための費用として、そのソフトウエアの取得価額に含まれるこ
とになります。
(3) ソフトウエアのバージョンアップのための費用を修繕費として処
理していたもの
ソフトウエアについて、プログラムの修正、補修、改良等を行った
場合の費用が、資本的支出に当たるか、あるいは修繕費に当たるか
の判定基準は、原則として、他の減価償却資産と変わりありません。
すなわち、価値や機能を増加させるために支出した費用は資本的支
出に該当し、通常の維持管理や現状回復のために支出した費用は修繕
費に該当することになります。
ソフトウエアについての、資本的支出と修繕費の区分基準はおおむ
ね以下のようになります。
① 修繕費に該当する場合
法人が有するソフトウエアにつきプログラムの修正を行った場合に
おいて、その修正がプログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の
維持などに該当するとき、その修正に要した費用は修繕費に該当します。
② 資本的支出に該当する場合
一方、その修正が新たな機能の追加、機能の向上など(いわゆるバ
ージョンアップ)に該当するときは、その修正に要した費用は資本的
支出に該当することになります。
③ ソフトウエアの取得価額となる場合
また、既に有するソフトウエアや購入したパッケージソフトウエア
などの仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための
費用は、原則としてソフトウエアの取得価額となります。
(4) 事業の用に供していないソフトウエアにつき減価償却を行っていた
もの
無形減価償却資産の中には、漁業権や工業所有権のように、事業の
用に供されているか否かにかかわらず、取得の日からその権利の存続
期間により償却可能なものがあります。
しかし、ソフトウエアについては、一般的な機械装置や器具備品など
の減価償却資産と同じく、そのソフトウエアを事業の用に供した日以
降でないと償却は認められません。
(5) 販売用ソフトウエアの償却を、見込総販売数量、当期実際販売数量
に基づいて行っていたもの
企業会計(研究開発費等に係る会計基準)においては、販売用ソフ
トウエアの償却は、その「性格に応じて、見込販売数量に基づく償却
方法その他合理的な方法により償却しなければならない。」とされて
います。
しかし、税務の場合、企業会計の規定にかかわらず、税務上定められ
た法定耐用年数に基づいて限度額計算を行う必要があります。
税務上、販売用ソフトウエアの耐用年数は3年とされています(省令
別表第三の「ソフトウエア」、「複写して販売するための原本」)。
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