交通反則金の取扱いについて
1 罰科金の損金不算入
法人が納める罰金、科料などの罰科金は、反社会的な行為に対する制裁的の意図を
もって課されるものです。これらの罰科金について損金算入を認めてしまうと、その分
法人の税負担が少なくなり、罰科金の効果が減殺されてしまいます。したがって、これ
らの罰科金については、税務上、損金の額に算入されないこととされています。
2 法人が負担した交通反則金の取扱い
交通反則金は、法人そのものに課されず、その法人の役員や使用人個人に対して課され
るものです。 そのような交通反則金などの罰科金等を法人が負担した場合の処理につい
ては、次のように定められています。
(1) その罰科金等が法人の業務の遂行に関連してされた行為等に対して課されたもの
である場合
⇒ 個人的な費用ではなく、法人の費用として認められますが、損金の額には算入されま
せん。これは、法人の業務に関連して発生した罰科金等を法人が負担するのは、一
般的に法人の使用者責任に基づくものであり、そのような場合、経済的に法人の罰
科金と同様に取り扱うという趣旨によるものです。
(2) その罰科金等が法人の業務に関連しない行為等に対して課されたものである場合
⇒ 課された役員または使用人に対する給与(賞与)として取り扱われます。
3 交通反則共済掛金の損金不算入
なお一定の掛金を支払って会員になると、会員が交通違反を犯した場合に、交通反則金
の支払いを会員に代わって行ってくれる交通反則共済制度というものがあります。この共
済に係る掛金や入会金については、交通反則金を法人が直接支払った場合と同じく損金
不算入となります。
4 レッカー移動料等の徴収金の取扱い
駐車違反などの交通違反に伴い納付するレッカー移動料、車両保管料等の徴収金は、車
両の移動、保管等の実費を車両の運転者等に負担させるものです。これらの徴収金は損
金不算入とされる罰科金には含まれておらず、法人の業務の遂行に関連してされた行為
に対して課されたものである場合には損金算入となります。
5 消費税の取扱い
最後に、消費税の仕入税額控除についてですが、支払った交通反則金について仕入税額
控除が認められないのはもちろん、レッカー移動料等の徴収金についても、往来の妨げと
なる違法駐車車両を移動しなければならなかったことに対する一種の損害賠償であるという
理由から、仕入税額控除が認められません。その取扱いは、法人税より厳しくなっています
のでご注意ください。
税理士をお探しの方