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この連載をはじめるにあったて
 
節税を図ることでヒトやモノの充実ができる
私は、前職の国税の職場から税理士になった今まで様々な経営者の方にお会いしてきました。
そこで、税金によって会社の資金繰りが圧迫されて苦労している話をよく聞きました。
 
これまで税務調査をする側、税務調査の立会をする側相方で数多くの経験を積んできました。
そこで、節税に関するノウハウを蓄積してきました。

これから6回にわたる連載今までの経験を踏まえたアドバイスをすることで、

税金で困っている介護保険事業経営者のみなさんのお役に立てればと思います。
 
経営者の仕事は「ヒト」「モノ」「カネ」を管理することだと言われます。

その中でも資金繰りは非常に重要です。資金繰りに行きずまったら会社は終わってしまうのです。
 
「カネ」の管理を基本とする節税は会社の資金繰りを即効的に改善させる力があります。
 
無駄な税金を節約して従業員の給料や賞与、福利厚生などにあてることにより「ヒト」の充実を図ることができます。
 
また、節税による資金を仕入れや設備投資に向けると「モノ」を充実させることができます。
 
すなわち、経営者の大切な仕事の1つが節税対策だと言えます。
 
合理的な節税対策をすることが大前提です 
 
節税対策は世の中に数多く言われていますが、何よりも合法的である必要があります。

合法的な節税対策とは何でしょうか。
 
ズバリ、「税務調査があっても申告是認になる対策のこと」だと思います。
 
これからの連載で紹介していく節税対策は私が、約20年にわたり約1000社の税務調査を実施してきた経験上によるものです。
 
 

これらの対策は顧問税理士がアドバイしていくことはもちろんですが、経営者自らが節税意識を高めて協力していこうという姿勢がその実現には不可欠なことです。

 

資金繰りを即効的に改善させる節税対策

子会社の設立による節税対策
 具体的な節税対策についてみていきましょう。
 

 節税対策には大きく分けると、

子会社の活用

給与対策

保険の活用

資産対策

の4つがあります。今回は、①の子会社の活用について解説したい

と思います。

 

 「子会社を設立すると、ペーパーカンパニー(実体的な活動を行

っていない会社)として税務署に狙われやすい」と思われるかもし

れませんが、そんなことは全くないのです。実態を備えていれば

全く問題はありません。

 

 子会社を設立する最大の魅力は、合法的な内部留保ができるこ

とです。事業分割、仕入れ、販売部門を法人化するなど、設立の方

法により可能となる節税対策もその効果も異なってきます。

 

 なかでもとりわけ効果的なのは「業務委託法人の設立」す。業務

委託法人とは、本来の事業以外の周辺事業を行う法人のことを指します。

 

 以下に業務委託法人の設立に関し、業務内容、メリット、デメリット、

ポイントについてあげておきます。


業務委託法人の設立による節税対策
■業務内容
①記帳代行業務
伝票作成、帳簿記入、領収書の整理等の経理業務を代行する業務


②文書作成代行業務
ワード、エクセル等による文書作成や表計算などを代行する業務


③機械器具賃貸業務
機械やコンピューター等の器具・備品を購入し、所有、管理を行い、

関連会社にレンタルする業務

④研究開発コンサルタント業務
研究開発部門やコンサルタント業務を切り離し、

関連会社に対しそれらのサービスを提供する

⑤その他(社員教育など)

 

■メリット・デメリット
メリット
◎最大24カ月算入可能(短期前払費用の特例)
◎期末までに現金で支払い
◎毎期継続適用(最低3期)
◎資金が社外に流出しない
◎金額の変更が可能


デメリット
◎経費
◎役員報酬
◎給与が大半
◎一般経費がない
◎保険・資産購入の必要性
 

■ポイント
◎本店(納税地)を別にする
◎代表者を別にする


 本来の事業のみを行っている法人の場合、これらの部門を別法

人にして業務委託を行えば、外注費や手数料を損金に算入するこ

とが可能となり、法人税の節税を図ることができます。

 

 また、本来社内でこれらの業務を社員が行っていた場合、別法人に

対する外注費にすることで、消費税の計算上、給与では課税仕入とし

控除できなかったものが外注費等の課税仕入として控除できるので、

消費税の節税効果も大いに期待できます。

税務調査の際実態があることを証明できることが必要
 前述したとおり、税務調査で否認されないためにも、まずは新会社

の実態があることを証明できるように準備する必要があります。税務

調査の大原則としては「実質課税」と「社会通念上妥当性な取引かどうか」と

いうことです。

 

 すべての業界、すべての業務の内容について、こと細かく通達

や政令などに規定することはできません。

 

 たとえば業務委託費が高いのか低いのかを判断するには、仕事の

内容や売上に占める割合、同規模の他業者との比較などを通じてし

か判断することができません。つまり、これらの原則に照らしながら、

会社の実態があることを証明する必要があるのです。

 

 たとえば「コンサルティング」の業務委託について考えてみましょう。

コンサルティング会社に依頼したら、代金に見合った分厚い報告

書が届くかと思います。それと同じようなものを用意することで、税務

署の調査官は業務の実態があると判断せざるを得ません。
 

 また、税務署への報告書の内容は書籍のコピーやパンフレットなど

の資料も含めて、適切に作成しておく必要があります。さらに契約書も

必要なものは作成しておきます。

 

ソコンの履歴で作成日を確認する調査官もいるからです。契約書がな

い場合、会社の「実態がない」と判断されてしまうので要注意です。

子会社設立における税務調査対策のポイント
 子会社を設立する際、意外に盲点となるのが設立場所です。ここで

ポイントとなるのが、本社と同じ税務署の区域内にしないことです。税

務署が別だと親会社と子会社が同時に調査を受けにくくなるからです。
 

 もし調査が入ったら、税理士からきちんと説明をすることが大事です。

たとえば、奥さんが子会社の代表、そして自分がその役員である会社

にコンサルティング業務を委託したとします。「社長が自分の会社のコン

サルティングをするのはおかしい」と指摘されたとします。この場合、大手

や一部上場企業では別にシンクタンクを持っていることなどを引き合いに

出しながら、子会社の必要性を訴えることがポイントになります。

 

 つまり、本業と切り離して子会社を設立する必要性があることをいかに主

張できるかが、税務調査対策には有効なことなのです。

 

不動産管理法人による節税対策を考える

不動産管理法人の手法と形態
 今回は、賃貸不動産のオーナーなど不動産所得が多い

場合の節税対策を紹介したいと思います。介護事業経営

者のなかには、土地や建物など不動産を所得しているケ

ースもあるかと思いますが、土地や建物を所有するいわゆ

る「地主」さんには、土地や建物を個人所有にしてしまうと、

億単位の譲渡所得税が課されるので現実的ではありません。

 

 そこで、これら不動産を維持管理する法人、いわゆる「不

動産管理法人」を設立することが有効だと言えます。それで

は、不動産管理法人の具体的な手法と形態について説明し

たいと思います。
 

 不動産管理法人の一般的な運営方法(管理受託方式)は

以下の①~③の流れになります。
 

①親族あるいは妻や子どもを役員とする法人を設立する
②不動産の所有者と、その不動産の管理委託契約を締結する
③不動産管理法人から親族に給与を支払う
 

 この手続きを踏むことにより、オーナーの所得が不動産管理

法人を通して、親族に分散される効果があります。また、不動

産管理法人の形態については、以下の2つが考えられます(図)。

 

①管理受託方式
 不動産所有者またはその親族が不動産管理法人を設立し、

その法人に所有不動産を管理させ、賃貸収入の一部を管理

委託料として不動産管理会社に支払う方式

②転貸方式
 不動産所有者が、本人または親族の経営する不動産管理

会社に所有不動産を賃貸し、これを管理会社が第三者に転

貸する方式

不動産管理法人の行う管理業務
 不動産管理法人が実質的な業務形態をとっていない

場合、または、その業務内容と比較して高額な管理報

酬を収受していた場合には税務上否認されることにな

る場合があります。

 

 そこで、不動産管理法人は以下に挙げる業務(表)の

うち、相当の業務を実際に行う必要があります。この場

合、管理委託料としては、業務の内容にもよりますが、

実務上は賃料の10~20%の範囲で設定される場合が

多いようです。

表 不動産管理法人の具体的な業務内容
①テナント募集業務
②受付業務
③点検業務
④立会業務
⑤報告連絡
⑥清掃
⑦保守
⑧修繕補修改良工事
⑨集金請求
⑩テナント間の調整・トラブル対応
⑪その他

不動産管理法人による節税効果
 それでは、不動産管理法人を設立するとどれだけの

節税効果があるのでしょうか、具体的な事例を紹介し

たいと思います。図をご覧ください。

 

 これは家賃収入が7000万円、不動産所得が3000万

円あるケースですが、不動産管理法人を設立する前は、

所得税が771万円、住民税が333万円、事業税が135万

円で税金の合計が1239万円もかかっていました。
 

 これに対して、不動産管理法人設立後は、管理委託料

1400万円(家賃収入7000万円の20%)と不動産所得16

00万円の計3000万円が課税の対象になります。所得税

が280万円、住民税が151万円、事業税が65万円、源泉

税が88万円となり、税金の合計が584万円になります。
 

 不動産管理法人設立前の1239万円と、設立後の584万

円を比べるとその節税効果は655万円と約半分以下にまで

抑えることができるのです。

 

給料に関する節税対策①

2006年度税制改正で役員報酬の仕組みが変更
 これまで子会社の設立による節税対策や不動産管理法人設立
による節税対策を紹介してきましたが、今回は給料に関する節税
対策について解説していきたいと思います。まず、役員報酬に関
することについて少し説明します。

 従来の税法では、会社の業績が急に上向いた場合には、期中
に臨時株主総会を開き、議事録を作成することにより役員報酬を
増額することができました。また、事業年度の終了の日から
3
月以内に開催する定時株主総会で役員報酬が改正された場合
には、期首に遡って変更後の役員報酬を支給することができまし
た。


 それが税制改正により2006年4月1日以降の事業年度では、役
員報酬の取り扱いが大きく変わりました。役員賞与は従来、すべ
て損金不算入(損金にならない)でしたが、定期同額給与と事前
確定届出給与により役員給与として損金算入とされるようになり
ました。

 まず定期同額給与ですが、①~③に掲げるものをいいます。


①定期給与(その役員に対して支給する給与で、その支給時期
が1か月以下の一定期間ごとであるもの)の額について、その事
業年度開始の日から3か月を経過する日までに改定された場合
における、次のイとロに掲げる定期給与(図1の上)


イ 当該改定前の各支給時期における支給額が同額である定
期給与


ロ 当該改定以後の各支給時期における支給額が同額である
定額給与


②定期給与の額について、その法人の経営状況が著しく悪化し
たこと、その他これに類する理由により減額改定した場合、当該
事業年度の改定前の各支給時期における支給額および改定以
後の各支給時期における支給額がそれぞれ同額である定期給
与(図1の下)


③継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利
益の額が毎月おおむね一定であるもの


 定期同額給与は、事業年度開始の日から3か月以内に開催す
る定時株主総会で年1回だけ改定することができ、その改定され
た役員給与はそれから12カ月間は変更できないことになりました。

 また、期首に遡っての改定もできなくなりました。ただし、法人の
経営状況が著しく悪化したり、その他これに類する理由により減
額改定した場合は例外的に変更できるとされました。この場合も、
業績が回復したからといって元の役員給与に戻すことはできませ
ん。つまり、役員給与の増額改定は年に1回のみとなったのです。


毎期の利益が予想できれば事前確定届出給与を活用
 定期同額給与のほかに役員報酬に関して、もう1つ損金算入が
可能になったのが事前確定届出給与です。これには、「事前確定
届出給与」の届出期限※1までに所定の事項※2を記載した届出
書を税務署長に提出するという一定条件を満たすことが必要です
(図2)。

 


※1 「事前確定届出給与」の届出期限
次のいずれか早い日
①その給与に係る職務の執行を開始する日
②その事業年度開始の日から3か月を経過する日

※2 所定の事項
①事前確定届出給与の支給の対象となる者(事前確定届出給与
対象者)の氏名、役所名

②事前確定届出給与の支給時期、支給時期ごとの支給金額
③②の支給時期、支給金額を定めた日およびその定めを行った期
間等

④事前確定届出給与に係る職務の執行を開始する日
⑤事前確定届出給与につき「定期同額給与」による支給としない
理由、その事前確定届出給与の支給時期を②の支給時期とし
た理由等


 本来、役員賞与というものは事業を行った後の「利益の分配」として
の性格があるので、期末にその金額が確定するものですが、この制
度は、期首にその賞与の金額を確定して届け出なければならないの
で、実務を行う立場としては安易に適用しにくい面もあります。

 しかし、毎期利益の予想がつく会社においては役員賞与が損金に
なるのですから積極的に採用されるのもよいでしょう。

 


役員報酬が税務調査で否認されないために
 次に、役員賞与部分を役員報酬にすることにより、損金計上するノ
ウハウについて考えてみます。
まず、報酬と賞与の違いについてで
すが、基本的には「定期的」な給与を「報酬」、「臨時的」な給与を「賞
与」として扱われています。

 したがって、役員報酬としたい場合には、毎月同額を一定の支給基
準に基づき継続的に支給する必要があります。
たとえば、特定の月の
み増額する場合には、その増額部分は役員賞与とされます。また、定
期的な役員報酬でもその役員の業務内容に照らし、実務的そして形
式的に高額と認められる場合には、その部分の金額は損金不算入と
扱われることがあります。


 そこで、役員報酬を否認されない対策として、役員報酬に関する「取
締役会議事録」や「取締役の職務分掌規程」などを作成しておくとよい
でしょう。


図1 損金算入が認められる定期同額給与 



図2 事前確定届出給与制度 

給料に関する節税対策②

 


使用人兼務役員の賞与を損金にする方法
 前回に引き続き、今回も給料に関する節税対策を紹介します。
まずは使用人兼務役員に出す賞与を損金にする方法について
考えます。使用人兼務役員とは、役員のうち、使用人としての義
務も兼任する立場の人で具体的には、「取締役営業部長」「取締
役工場長」など使用人としての職制上の地位を有する人を指しま
す。

ただし、「取締役総務担当」など使用人としての職制上の地位で
はなく、法人の特定部門を統括している場合や、専務・常務等の
肩書きがある役員は使用人兼務役員になれません。使用人兼務
役員に対して支給する賞与については、次の一定要件を満たせば
損金算入されます。


①従業員と同じ時期に支給
②従業員に対する賞与の支給状況などに照らし合わせて、その金
額が妥当であること

③費用として損金経理すること

 このように役員であっても使用人兼務役員であれば役員に対す
る賞与が損金算入されますので、有効な節税手段として使えます。


同族経営における決算対策
 介護事業者のなかには、奥さんを役員にするなど同族経営のケ
ースも多いかと思います。たとえば、決算対策として社長の妻に決
算賞与を支給する場合、妻が役員とみなされると役員賞与となり損
金不算入となるので、妻が役員とみなされない方法を考える必要が
あります。税務上、役員とみなされるのは次の要件のいずれかに該
当する場合となります。


①法人の使用人以外の者で、その法人の経営に従事している者
(相談役。顧問等)

②同族会社の使用人のうち持株割合が5%を超える者で、一定要
件に該当しその法人の経営に従事している者


 これらの要件のうち②の持株割合の条件はクリアしていても、
記役員とみなされるケース 
のように経営に従事していると認めら
れた場合には役員とみなされるので、使用人の職務にのみ従事され
ることが必要となります。


 役員とみなされるケース
①商品や原材料の仕入数量、価格の取り決めをする
②販売価格の決定、発注や受注契約の締結をする
③資金の調達や返済を決める
④設備の購入や除却を決める
⑤従業員の採用、異動、退職などを決める
⑥会社を代表して対外折衝する

退職していない役員に退職金を出すには
 土地売却などの理由で、急に利益が出ることがあります。この場
合には、その事業年度でまとまった額の節税対策をする必要があ
り、その一つの方法として、退職していない役員への退職給与の
支給が考えられます。

役員に関しては、地位や職務の著しい変動など、実質的に退職し
た場合と同様と認められたときには「みなし退職金」として退職給与
を支払うことができます。これを支払うことができるのは、次のような
場合が考えられます。


①常勤役員が非常勤役員になった場合(ただし、代表権・経営権を
握っている者は除く)

②取締役が監査役になった場合(ただし、経営権を握っている者、
使用人兼務役員と認められない大株主等は除く)

③役割変更後、報酬が約5割以上減少した場合

 高額の役員退職金が支払われた場合には、非上場の同族会社で
は一時的に評価額が下がりますので、譲渡または贈与による株の事
業承継対策のチャンスとなります。


役員退職金による節税対策
 次に、役員の退職金で節税する場合に有効な対策として考えられる
のが「小規模企業共済」制度です(
下記小規模企業共済の概要参
)。同制度は、事業をやめたときや会社役員を退職した後の生活資
金等をあらかじめ積み立てる共済制度です。掛金は全額が所得から
控除できるので、この場合、役員が掛金を支払い、法人がその部分の
報酬を加算して支払うことで役員退職金対策が損金計上できます。

また、共済金は法人ではなく役員個人に直接支払われるので、過
大役員退職給与(役員に支給した退職給与の額が、相当であると認
められる金額を超えたケース)の損金不算入を考える必要はありませ
ん。


 小規模企業共済の概要
①掛金は全額所得控除となる
②毎月の掛金は1,000円から上限70,000円(500円刻み)
③共済金の退職所得または公的年金等は雑所得として取り扱われる
④加入条件は常時使用する従業員の数が20人以下(商業・サービス業は
5人以下)の事業主、役員


決算賞与を未払計上し損金にする方法
 決算賞与を未払計上することにより損金にする方法を紹介します。
決算で利益が上がりそうなときにその利益を社員に分配する目的で
決算賞与を支給することは、社員の労働意欲向上のうえでも有効な
手段です。

しかし、決算賞与を支給しようと決めても資金繰りの都合上決算日ま
でに支給できないケースがあります。その場合には、期末に未払賞
与で損金に計上する方法をとります。これは翌期開始後1ヵ月以内に
支給することが条件となります。また、期末に支払債務が確定したこと
の証明として各従業員に通知する必要があります。



社会保険料と労働保険料を活用した節税対策
 最後に、社会保険料と労働保険料を未払計上することによる節税対
策について説明します。


◎社会保険料の未払計上
 社会保険料の納付方法は、その月に支給給与に関する社会保険料
(健康保険料および厚生年金保険料)を翌月末日までに事業主(会社)
と従業員が半分ずつ負担して納付しなければなりません。この場合、社
会保険料の損金計上の時期としては納付をした日か、その保険料の確
定した日に未払計上するかの2つの方法が認められています。

つまり、3月決算の場合には3月支給の給与に関する社会保険料を4月
末日に納付しますが、3月決算において社会保険料を未払計上することも
できます。ただし、事業主負担分のみに限られるので注意が必要です。
この方法は継続して適用しなければなりませんので、期末に翌月納付の
社会保険料の未払計上をした最初の事業年度は節税効果があります。


◎労働保険料の未払計上
 労働保険料とは「雇用保険」と「労災保険」のことをいい、毎年7月10日
までに申告しなければなりません。前年4月1日から当年3月31日の賃金
総額に基づき当年分の保険料を見積もって計算し、これに前年分の確定
保険料と概算保険料の差額精算分を加算して申告します。申告した保険
料の納付は7月10日に一括納付することが原則ですが、7月10日(第1期)、
10月末(第2期)、1月末(第3期)の3回に分割して納付することも認められ
ています。

この労働保険料は納付した日に費用計上しますが、3回に分納する場合
は7月10日(第1期)に申告した時点で第2期、第3期の納付分を未払計上す
ることもできます。また、3月または4月決算の法人であれば、その年度の概
算保険料の精算額も決算時に未払計上することもでき、節税対策の1つとし
て利用することができます。

営業経費に関する節税対策①

交際費に関する節税対策

 今回から、営業経費に関する節税対策について紹介したいと思います。最初に、交際費に関する節税対策から説明します。交際費とは、法人がその得意先や仕入先、あるいはその他事業に関係ある者への接待や供応、慰安、贈答などのために支出する費用のことを言います。この場合の「事業に関係のある者」とは、株主や役員、従業員などをはじめ、その他の利害関係者も含まれます。

また、どのような費用項目で処理されていても、その支出が接待や供応、慰安、贈答などの性質のものであれば、交際費として扱われます。このように税法上における交際費は、一般で言われている交際費よりも広範囲に及びます。そのうえ、取り扱いも厳しく、原則として、損金算入されずに課税されます。

しかし例外として、中小企業での一定額については、一部損金算入が認められています。具体的に説明すると、資本金
1億円以下の法人については、交際費の年間支出額が600万円以下であれば、その90%の金額が損金算入されます。しかし600万円を超えた部分については損金不算入になると、税法では定められています。

つまり、資本金
1億円以下の法人では、年間540万円のみ損金算入され、それ以外は全額課税対象となるのです。そのためにも会社の資本金は1億円以下にしたほうが交際費課税においては節税上有利だと言えます。

 また、交際費の類似費用項目である会議費や広告宣伝費、福利厚生費などといかに区分するかが節税対策上大きな意味を持ってきます。


会議費を損金計上する方法
 実務上、一番頻繁に出てきて、交際費との区分が難しいのが、会議費です。会議費とは、得意先や仕入先など事業関係者との打ち合わせや会議、交渉などにかかわる費用のことを言います。

 打ち合わせや会議の場では飲食が伴うことがよくありますので、接待との区分を明確にする必要があります。法人税法上でも「会議、商談、打ち合わせ等に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」は交際費ではないと規程しています。

基本的には、実質上、会議の実体があることを明確に記録し、積極的に証明をすれば会議費として、損金計上することができます。よく言われる、3000円以下であれば会議費として費用計上でき、3000円を超えた場合に交際費になるということは、税法上明確な規定はありません。たとえば、ホテルの会議室で弁当を食べながら会議を行った場合、その費用が3000円以上かかったとしても、それは会議費そのものなのです。

 それでは、具体的に会議費として費用計上するためにはどのようにすればよいか見ていきましょう。

 


①会議や打ち合わせの記録を残す
 会議を行った場所や日時、参加メンバー、会議内容などを盛り込んだ議事録などを明確に作成することにより会議の実体を証明できます。

 


②会議後の接待、慰労、懇親などの費用を明確に区分する 
 会議の後に接待、慰労のための懇親費を行う場合には、会議の費用と別に処理する必要があります。

 


③会議の会場費、弁当代等の実質部分を明確にする
 ホテル等の会議のための会場費や弁当代や茶菓子等の費用は、明細により区分しなければなりません。食事については、ビール1本やワイン2~3杯の飲食も認められています。

招待旅行を交際費として計上しないようにするには
 事業の円滑化を図るために、たとえば得意先やメーカーなどを観光地に招待し、そこで新製品の説明会等の会議を開催、あわせて宴会や観光ゴルフを行うことがあります。このようなケースの場合、会議が形式的なものであれば、その旅行全体の費用が全額交際費とされます。

しかし、その会議に実体があれば会議部分は会議費として費用計上することができます。会議費として計上するためには次のことに留意しなければなりません。

 


①接待を伴う会議の場合は、会議部分を明確に区分する
 会議の後、宴会や観光などの接待がある場合は、全体のうち次の会議費に相当する部分を区分して費用計上します。

 


*会議費部分:会議場までの旅費、会議開催地での宿泊費、会議場の会場費、会議場での茶菓子代、弁当代、講師謝礼金、主催者担当者の出張費用など。

 


②会議に関する資料を保存する
 会議に関する予定表、議事録、参加者名簿、配布資料、会議で使用したビデオなどの映像資料、会議費の領収証等を整理保存しておく必要があります。

記念パーティーは会費制で実施すれば節税効果大
 たとえば、創立30周年の会社がホテルで得意先や関係者などを招待し、記念パーティーを行う場合がありますが、その記念行事にかかった費用は交際費として取り扱われます。また、得意先などからの祝い金は雑収入として収益計上され、パーティー費用との相殺は認められていません。

つまり、パーティー費用は交際費として損金に算入されず、祝い費として、ダブルで課税されています。ダブルで課税されない方法はないのでしょうか。このような場合は会費制のパーティーにすることをおすすめします。得意先など参加者からはパーティーの会費を受け取ることで、パーティーの実質部分を負担してもらうという方法です。

つまり、得意先などからパーティー費用の一部を預かり、全体のパーティー費用の支払いの一部に充当したという考え方です。このようにすると、記念パーティーの費用と相殺でき、節税効果を図ることが可能になります。


表 交際費のうち経費にできない金額

営業経費に関する節税対策②

 

渡切交際費の活用について 
 前号に引き続き、営業経費に関する節税対策を紹介します。まずは渡切交際費をみていきましょう。資本金が1億円を超える会社、または1億円以下でも支出交際費の額が600万円を超える会社は交際費の損金計上枠がありません。
 
  このような場合に効果があるのが渡切交際費です。渡切交際費とは、役員または特定の従業員に毎月定額の現金を「交際費」の前渡しとして支給するものです。 この方法を使うと交際費として計上すべき費用が役員報酬または給与という形になり、損金に計上できます。ただし、渡切交際費は今までの役員報酬や給与に加 算され、それに伴いその役員や従業員の所得税や住民税も増額されるので注意が必要です。
 
  また、過大役員報酬で損金算入が否認されることもあるので、できれば役員報酬の少ない役員に渡切交際費を支給するほうがいいでしょう。なお、毎月の支給額 が一定金額でない場合には役員賞与と認定され全額損金不算入となるので、毎月同額を支給するように注意しなければなりません。
 
 渡切交際費の後日の処理としては、会議費や旅費交通費等の交際費以外の費用については領収書によりそれぞれの費用処理を行い、交際費に関しては給与処理を行うことにより全額損金算入します。
 
接待用施設を所有し節税 
 接待といえば料亭やクラブ、ゴルフ場で行うのが一般的でしたが、最近は別荘やレジャークラブ等を接待用施設として利用することも増えています。このような施設を利用する場合、賃借するケースと自社で建築または購入するケースのいずれかが考えられます。
 
  節税対策上は断然、自社所有したほうが有利です。なぜなら、賃借する場合の賃借料は全額交際費となりますが、自社所有の場合、建物本体は減価償却費とな り、火災保険料や固定資産税、管理費、借入金利子等の経費はすべて交際費以外の経費となり、損金算入されることになるからです(図)。
 
図 接待用施設を利用する費用の扱い 

出張旅費の節税対策
  出張旅費を経費にする場合には実質精算して処理します。出張旅費は会社の当然の営業経費ですが、具体的には交通費や宿泊費、日当などの経費のことを言いま す。交通費や宿泊費はよほど豪華なところに泊ったり観光目的でない限り、実質精算で経費計上できます。ただし、日当は実質精算できずに給与課税される可能 性があるので、一定要件の旅費規程を備えれば旅費交通費として経費処理できます。

①旅費規程のポイント
 日当は、一定の基準の旅費規程に基づいて定額で支給されている場合には経費として認められます。宿泊費や交通費も同様に実質精算によらず、旅費規程の基準による定額支給により経費計上ができます。この旅費規程には次の条件を満たす必要があります。

◎役員、従業員を通じて、支給額のバランスがとれていること

◎同業種、同規模の他社に比して、支給額が妥当であること

 これらの要件を満たす旅費規程で支給される日当は給与課税されないのです。ただし、一般より不必要に高額な場合には給与課税され、役員については役員賞与と認定されますので注意が必要です。

②出張の報告書・精算書等の保管
 旅費規程を適用する場合には、出張申請書と報告書の提出が定められています。これらの書類は実質精算に代わる出張の証拠書類なので、旅費精算書とともに保管しなければなりません。

海外出張費処理のノウハウ
 介護業界ではまだ少ないかもしれませんが、最近では企業の規模を問わず海外出張も増えているようです。海外出張は当然、営業上の経費ですが、場所が海外とい うこともありどうしても観光目的ではないかと疑われる部分もあります。特に役員については比較的自由な裁量が認められている立場にあるので、いっそう厳し く見られることがあります。

 

 したがって海外出張費を経費として処理するには、それが業務上に必要な経費であることを証明しなければなりません。そこで、法 人の海外出張旅費の費用処理について、業務目的であることを証明するためには次の事項がポイントになります。

①出張に関する業務上の資料を整備・保管する
 海外出張の予定表、報告書、旅費精算書、スケジュール表、海外取引先の製品カタログ・サンプル等を整理して保管。

②観光と業務の区分を明確化
 明らかに観光目的の費用と業務用の費用を分類できる場合は明確に区分します。区分困難な共通経費は、観光と業務それぞれにかかった日数の割合等の合理的な基準で按分計算して区分します。

③家族同伴は要注意
 通常、家族同伴の場合は観光とみなされるので、夫婦同伴が要件などの場合を除きなるべく避けたたほうがよいでしょう。

④海外旅費規程を整備しておく
 海外旅費規程があれば国内の旅費規程同様に、実質精算によらずに経費処理することができます。

自宅をオフィスとする節税方法
  最後に、社長の自宅の一部を会社のオフィスとして使用することによる節税対策を紹介します。社長の自宅に対し会社が家賃を支払うには、①契約書を作成す る、②合理的に算定された家賃とする、③現金を実際に支払う―の3つの要件が必要となります。家賃は、全体のうちオフィス部分の床面積の占める割合により 業務占有割合を算定します。賃貸物件であればその家賃に乗じて算定し、自己所有物件であればその占有面積を近隣相場で賃貸した場合の金額で算定します。

 

 こ の家賃は社長の不動産収入として確定申告することとなりますが、住宅ローンの支払利息と減価償却費、固定資産税、火災保険料等が必要経費として計上できる ので不動産所得のマイナスとなり、役員報酬に対する税金が節税できます。ただし、自宅を住宅ローン特別控除の適用にあてている場合には、その部分にふれな い範囲でオフィス部分を決めないと、住宅ローン特別控除のメリットが減少するので注意が必要です。

 これまで6回にわたりさまざまな節税対策を紹介してきました。ここで紹介したのはごく一部ですが、少しでもお役に立てていただければ幸いです。


 したがって海外出張費を経費として処理するには、それが業務上に必要な経費であることを証明しなければなりません。そこで、法 人の海外出張旅費の費用処理について、業務目的であることを証明するためには次の事項がポイントになります。

①出張に関する業務上の資料を整備・保管する
 海外出張の予定表、報告書、旅費精算書、スケジュール表、海外取引先の製品カタログ・サンプル等を整理して保管。

②観光と業務の区分を明確化
 明らかに観光目的の費用と業務用の費用を分類できる場合は明確に区分します。区分困難な共通経費は、観光と業務それぞれにかかった日数の割合等の合理的な基準で按分計算して区分します。

③家族同伴は要注意
 通常、家族同伴の場合は観光とみなされるので、夫婦同伴が要件などの場合を除きなるべく避けたたほうがよいでしょう。

④海外旅費規程を整備しておく
 海外旅費規程があれば国内の旅費規程同様に、実質精算によらずに経費処理することができます。

自宅をオフィスとする節税方法
  最後に、社長の自宅の一部を会社のオフィスとして使用することによる節税対策を紹介します。社長の自宅に対し会社が家賃を支払うには、①契約書を作成す る、②合理的に算定された家賃とする、③現金を実際に支払う―の3つの要件が必要となります。家賃は、全体のうちオフィス部分の床面積の占める割合により 業務占有割合を算定します。賃貸物件であればその家賃に乗じて算定し、自己所有物件であればその占有面積を近隣相場で賃貸した場合の金額で算定します。


 こ の家賃は社長の不動産収入として確定申告することとなりますが、住宅ローンの支払利息と減価償却費、固定資産税、火災保険料等が必要経費として計上できる ので不動産所得のマイナスとなり、役員報酬に対する税金が節税できます。ただし、自宅を住宅ローン特別控除の適用にあてている場合には、その部分にふれな い範囲でオフィス部分を決めないと、住宅ローン特別控除のメリットが減少するので注意が必要です。

 これまで6回にわたりさまざまな節税対策を紹介してきました。ここで紹介したのはごく一部ですが、少しでもお役に立てていただければ幸いです。

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