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税務調査を法的に考えるQ&A

Q 40 調査対象年分に誤りがあれば調査年分は延びるのか

 

  国税通則法第74条の9を読むと、調査対象年分において誤りがあれば、それをもって調査年分が延びる根拠となるように誤認する人が多いのですが、それは違います。この規定はあくまでも、調査対象年分を延ばす要件 です。

調査対象年分=誤りがある

ことが要件なのではなく、調査をしている過程で、

調査対象期間よりも前の期間=誤りがありそう

ということが、
調査対象年分が延びる要件ということです。そう解釈しなければ、事前通知の年分を超えて調査対象期間を拡大する要件にはなり得ないからです。

 

このように解釈する、明確な根拠としては、「税務調査手続等に関するFAQ(職員用)」(平成24年11月 国税庁法人課税課)に下記の質疑応答事例が載っています。

問1−56

事前通知した調査対象期間以外の課税期間につき、質問検査等を行う場合とは、具体的にどのような場合をいうのか

(答)

事前通知した調査対象期間を調査している過程で非違を把握し、その非違が認められる取引先との取引が調査対象期間よりも前の課税期間にも存在するなど、調査対象期間よりも前の課税期間にも同様の非違が疑われる場合などが該当します。

 この点については、調査官も勘違いしているケースが多く、
調査対象年分に売上計上漏れがあったとして調査対象年分を延ばそう とする調査が横行していますが、それは間違っているということなのです。

事前通知をした調査対象期間を調査した結果

 

調査対象期間よりも前の期間に非違が疑われることとなった場合(過去に同様の取引があるなど)

調査対象期間を延ばすことができる

という論理であることに気を付けてください。

これらの要件を満たさず、調査期間がいたずらに延ばされるケースが多くみられますので注意が必要です。

税務調査を法的に考えるQ&A

Q 41 個人の通帳を見せる必要があるか


税務調査において調査官より「個人の通帳を見せてください 」と要請されることに対して、少しおかしいとは思いながら、明確な根拠をもって反論できない方も多いようです。では、税務調査で要請があれば、個人の通帳は見せなければならないのでしょうか?

 まず、根拠条文の確認です(カッコ書きを除きます)。


国税通則法第74条の2

国税庁、国税局若しくは税務署又は税関の当該職員は、所得税、法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。

 ここで注意が必要なのは、
その者の事業に関する】帳簿書類等を見せなければならない ということです。

(1)
個人事業主の場合

 個人に対する調査において、例えば事業用の通帳と生活用の通帳が明確に分かれていた場合、生活用の通帳を見せる必要はまったくないということです。

 なぜなら、繰り返しになりますが、
その者の事業に関する通帳を見せる必要がある のであって、生活用の通帳はここに含まれないからです。

(2)
法人の場合

 法人に対する調査において、「代表者の通帳を見せてください」と言われた場合、これは原則として】見せる必要はありません  。なぜなら、これも個人事業主と同じ根拠で、「法人の事業に関する」通帳ではないからです。

ただし・・・法人と代表者で金銭のやり取りをしている場合は、その資金の出所に関して受忍義務があるため、代表者の通帳を見せなければならない場合もあります。これは、法人から見た場合、金銭のやり取りをしているという意味において、代表者個人が反面調査先となるからです。当然、資金のやり取りをしている以外の通帳(生活用など)まで見せる必要性はありません

税務調査を法的に考えるQ&A

Q 42 個人通帳を要求された場合どう答えるか



前回で記載したとおり、税務調査においては、原則として個人(生活用)の通帳を見せる必要はありません

 個人事業主・法人で共通で問題になるのは、調査官が「
個人の通帳を見なければ、事業の収入とすべき金銭が入金されているかどうかがわからない 」と主張してくる場合があります。

 このような調査官の主張を覆す根拠として、国税庁のホームページに下記の記載があります。

「税務調査手続に関するFAQ」(一般納税者向け)


問7  法人税の調査の過程で帳簿書類等の提示・提出を求められることがありますが、対象となる帳簿書類等が私物である場合には求めを断ることができますか。

回答

法令上、調査担当者は、調査について必要があるときは、帳簿書類等の提示・提出を求め、これを検査することができるものとされています。この場合に、例えば、法人税の調査において、その法人の代表者名義の個人預金について事業関連性が疑われる場合にその通帳の提示・提出を求めることは、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えられます。調査担当者は、その帳簿書類等の提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、ご理解を得られるよう努めることとしていますので、調査へのご協力をお願いします。

 ここで明記されている通り、

個人預金について事業関連性が疑われる場合
⇒個人の通帳も見せなければならない(質問検査権の範囲内で受忍義務がある)
ということであって、事業関連性が疑われもしないのに、個人の通帳を見せてください、は根拠がないことになります。

 このように、個人・法人であっても、原則として「
生活費の通帳を見せてください 」は質問検査権の範囲を超えた要請になります

 調査官が個人用の通帳を要請してきた場合は、上記の通りきちんと根拠をもって反論することになります。

税務調査を法的に考えるQ&A

Q 43 書面添付制度の活用   
 

 書面添付制度は平成14年に施行されてから、その名はよく知られているものの、実際に活用されている割合は非常に低いものとなっています。

この1つの要因として、書面添付制度メリットが知られていないことが挙げられます。書面添付とは、具体的にどのような制度なのでしょうか。

 書面添付は、税理士法第33条の2に定められた制度ですから、税務署が税理士または税理士法人に対して行うものであって、納税者に対して行う税務調査(質問検査権の行使)ではありません

 書面添付制度 の概略・流れは、下記のようになっています。

申告書に
書面添付(税理士法第33条の2)

→ (無予告調査でない限りは)意見聴取を行う(税理士法第35条)

税務調査に移行 または 調査省略(この場合は省略の旨の書面が発行される)

 なお、ここで
重要な事実は、意見聴取が行われてから、税務調査が省略になる割合が年々上がっているということが税理士会によるアンケートからも明らかになって生きています。この点からして書面添付メリット  が大きいことがわかります。

 また、意見聴取が行われ、その中で非違があったとしても、意見聴取の結果として提出した修正申告(の本税)に加算税は課されません。

 なぜなら、上述のように、意見聴取はあくまでも税務調査ではないので、国税通則法第65条第5項が適用されるからです。

加算税が課されないという観点から考えても、
書面添付を行うメリットが大きいことがわかります。
 

柴田尚之税理士事務所はこのような書面添付制度を推進しています。

 

税務調査を法的に考えるQ&A

Q 44 意見聴取とは
 

 「書面制度の活用」に加えて、税理士が書面添付に積極的でない大きな理由として、「意見聴取 は形式的なものであって、どうせ税務調査に移行するなら面倒なだけ」という考えがあります。

 あまり知られていないことですが、書面添付制度を規定した事務運営指針が平成21年に改正されています。改正の趣旨はこう書かれています(一部抜粋)。

法人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)

個人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)

資産税事務における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)

趣旨
国税庁においては、法第35条第1項に規定する
意見聴取(以下「意見聴取」という。)を行った結果、調査の必要性がないと認められた場合に、税理士等に対し「現時点では調査に移行しない   」旨を原則として書面により通知することとしたことから、所要の整備を図るものである。

改正(挿入)された具体的な文言としては

「制度の趣旨・目的を踏まえつつ、例えば顕著な増減事項・増減理由や会計処理方法に変更があった事項・変更の理由などについて個別・具体的に質疑を行うなど、
意見聴取 の機会の積極的な活用に努める」

となっています。つまり、要約すると「
以前は意見聴取をないがしろにしていたものを、以後はきちんとやる 」という改正なのです。

 上記改正後の事務運営指針を根拠に、(調査に移行することを前提とした)形式的な
意見聴取は当然に認められなくなりました。また、意見聴取において担当統括官・調査官が、税理士がきちんと回答しているにも関わらず、実地調査に移行するような発言をした場合は、上記の「趣旨」を主張することで、安易に税務調査に移行することができなくなったのです。

 この点を踏まえれば、さらに書面添付制度にはメリットがあることがおわかりいただけるかと思います。
 

柴田尚之税理士事務所はこのような書面添付制度を推進しています。

税務調査を法的に考えるQ&A

Q 45 守秘義務がある業種の税務調査範囲はどこまでか


医者に対する税務調査で、カルテは質問検査権税務調査)の範囲・対象になるのですか ?」この質問に根拠をもって回答できる人は、非常に少ないかと思います。

 この回答の一端となるものが国税庁のサイトに載っています。

「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」


問8 調査対象となる納税者の方について、医師、弁護士のように職業上の守秘義務が課されている場合や宗教法人のように個人の信教に関する情報を保有している場合業務上の秘密に関する帳簿書類等の提示・提出を拒むことはできますか

(答)調査担当者は、調査について必要があると判断した場合には、業務上の秘密に関する帳簿書類等であっても、納税者の方の理解と協力の下、その承諾を得て、そのような帳簿書類等を提示・提出いただく場合があります。いずれの場合においても、調査のために必要な範囲でお願いしているものであり、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものです。調査担当者には調査を通じて知った秘密を漏らしてはならない義務が課されていますので、調査へのご協力をお願いします。


 カルテが質問検査権の範囲内かどうか、判決を読むと「範囲内 」と結論付けているものがほとんどになります。例えば、「平成元年9月14日東京地裁」「平成2年7月19日最高裁判所第一小法廷」など。

 その一方で、「
税務調査と質問検査権法の知識Q&A 」(新版 安部和彦著 清文社)280ページ〜には

「調査官は最初に納税者が用意した会計帳簿を十分検査し、そこで生じた疑問をまず納税者ないし立会いの税理士にぶつけてその解明に努める必要がある。仮にそれで解明されない場合(たとえば、調査官と医師や事務長とのやり取りで、カルテに収入や支出に関する事項が記載されていることを把握した場合など)には、カルテ開示することもやむを得ないであろう。」
「このようなプロセスを経ることなく、単に過去の判例でカルテの検査が認められることのみを盾にとって、調査官から一足飛びにカルテの開示を要求されるような場合には、その判断に合理性がないもしくは薄弱であるとして、提示を拒否することもやむを得ないものと考えられる。」

と書かれています。
「叩けばホコリが出るだろう」は質問検査権税務調査の範囲ではなく、一連の流れによる必然性があるからこそ、(カルテだけではなく)提示・提出する必要性があるというのが質問検査権の正しい理解になります。

税務調査を法的に考えるQ&A

Q 46 過少申告加算税は修正申告すれば必ずかかる


 当初申告を期限内にして、その後に修正申告をすれば無条件に10%の過少申告加算税が課されると思い込んでいる方が多いですが、それは違います。

 まず、過少申告加算税の法律規定を確認します。

国税通則法第65条

期限内申告書(還付請求申告書を含む。第3項において同じ。)が提出された場合(期限後申告書が提出された場合において、次条第1項ただし書又は第6項の規定の適用があるときを含む。)において、修正申告書の提出又は更正があつたときは、当該納税者に対し、その修正申告又は更正に基づき第35条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する。

 以上より、原則として修正申告した場合、増差税額(本税)に10%の過少申告加算税が課されることがわかります。

 その一方で、例外規定が存在します。簡単にいうと、自主修正申告であれば、過少申告加算税は課されません。

同条第5項

第1項の規定は、修正申告書の提出があつた場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないときは、適用しない。

 つまり、税務調査で誤りの指摘を受けて修正申告した場合、過少申告加算税は課されますが、自ら誤りに気付いて自ら修正申告した場合は、上記第5項のいわゆる更正の予知」に該当しませんので、過少申告加算税は課されないというわけです。

税務調査を法的に考えるQ&A

Q 47 事前通知後の加算税


税務調査における事前通知があった後における加算税の取り扱いについて、平成28年度税制改正によって、改正が行われることになります。この点について、改正前」の取り扱いを解説しましょう。

事前通知があった

 申告内容を見直した
 調査初日までに提出した修正申告は自主修正として過少申告加算税 は課されない

とされています。この根拠となるのは、国税通則法第65条第5項に定める、いわゆる「
更正の予知  」に該当しない、とするもので、加えて事務運営指針にも明記されています。

税務調査前に修正申告を提出した場合に、
加算税 が課されるかどうかの時期基準は下記に記載があります。

 「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」の「第1
過少申告加算税 の取扱い」の「2 注書き」に 

「臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が提出された場合には、原則として
「更正があるべきことを予知してされたもの」 に該当しない。」

とされており、
事前通知があった後であっても、税務調査初日までに修正申告を提出した場合は、加算税が課されないこととなっています。

なお、この(改正前の)規定は、平成28年12月31日以前に法定申告期限が到来する国税又は同日以後に申告書の提出期限が到来する地方税について適用となります。

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