Q更正の請求の期間が延長されたそうですが、内容について教えてください。
それと合わせて、当初申告要件が廃止されたものがあるそうですが、その内容についても教えてください。
A
平成23年度税制改正大綱に盛り込まれておりました、税金を払い過きた場合に、納税者側の手続きにより取り戻すことが申請できる「更正の請求の期間延長等」について平成23年11月30日に可決成立し、平成23年12月2日より以下の内容で施行されることとなりました。
1.平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。
しかし、「更正の請求の期間延長」とともに、税務署長が増額更正を行うことができる期間も5年(脱税は7年)に延長されています。
区分 | 旧法 | 新法 |
下記に掲げるもの以外の更正の請求 | 法定申告期限から1年 | 法定申告期限から5年 |
贈与税、 移転価格税制に係る法人税 | 法定申告期限から1年 | 法定申告期限から6年 |
に係る更正の請求 | ||
法人税の純損失等の金額に係る更正の請求 | 法定申告期限から1年 | 法定申告期限から9年 |
※平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税への対応
本来は適用されない過去の期間のものでも、課税庁により増額更正できる期間内のものについて、納税者から「更正の申出書」の提出があれば、調査検討の上、 納め過ぎが認められた場合には、減額更正が行われることとなります。
2.当初申告要件の廃止
当初申告の際、 申告書に適用金額の記載があった場合に限り可能とされていた措置のうち、 以下のものについては、 更正の請求により事後的に適用を受けることができることとされました。
※ 当初申告要件が廃止された主なもの
区分 | 該当する主な適用項目 |
所得税 | 純損失・雑損失の繰越控除、変動・臨時所得の平均課税、外国税額控除、控除対象外消費税 |
法人税 | 受取配当等の益金不算入、所得税額・外国税額控除、寄附金の損金算入 |
相続税・贈与税 | 配偶者の税額軽減、 贈与税の配偶者控除、 相続税における特定贈与財産の控除 |
3.控除額の制限の見直し
控除等の金額が当初申告の際に申告書に記載した金額に限定される「控除額の制限」がある措置について、「更正の請求」により、適正に計算された正当額まで増額できることとされました。
※ 控除額制限が見直された主なもの
区分 | 該当する主な適用項目 |
所得税 | 青色申告特別控除(65万円)、中小企業者等の機械等取得の特別控除、試験研究費特別控除 |
法人税 | 受取配当等の益金不算入、所得税額・外国税額控除、寄附金の損金算入 |
4.その他
(1)故意に内容虚偽の更正の請求書を提出した場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
(2)更正の請求に際しては、納税者がその理由を証明するとの趣旨を明確化する観点から、更正の請求の理由の基礎となる『事実を証明する書面』 の添付が義務化されます。