◎源泉所得税における加算税等の取扱い
1 源泉所得税の法定納期限と加算税
会社などの源泉徴収義務者が源泉徴収をした所得税の法定納期限は、
原則として、対象となる所得を支払った月の翌月10日(納期の特例の承
認を受けている者は、原則として、7月10日又は20日)とされ
ています。
この法定納期限までに源泉所得税を納付しなかった場合には、ペナル
ティとして不納付加算税、重加算税、延滞税が課されます。
(1) 不納付加算税
源泉所得税を法定納期限までに納付しなかった場合には、本税の10%
の不納付加算税が課されます。(5,000円未満は不徴収となります)。
ただし、①本税を自発的に納付した場合であり、かつ、②その納付が
税務調査により納税の告知があることを予知して納付されたものでない
ときはその税率が5%に軽減されます。
(2) 重加算税
また、事実の全部又は一部を隠ぺい、仮装して源泉所得税を法定納期
限までに納付しなかった場合には、悪質であるとして、不納付加算税に
代えて、本税の35%の重加算税が課されます(5,000円未満は不徴収)
(3) 延滞税
これらの加算税とは別に、法定納期限の翌日から納付日までの日数に
応じて延滞税を納付しなければなりません。
税金の納付が遅れると、遅れた日数が2か月以内については年利7.3%、2か月を超えた日数につい
ては年利14.6%の割合で延滞税がかかります。
ただし、現在は以下のようになっております。
1.(1) 納期限(注2)の翌日から2月を経過する日まで
原則として年「7.3%」
ただし、平成12年1月1日から平成25年12月31日までの期間は、「前年の11月30日におい
て日本銀行が定める基準割引率+4%」の割合となります。
また、平成26年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「特例基準割合(注3)+1%」のいずれか
低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
- 平成27年1月1日から平成27年12月31日までの期間は、年2.8%
- 平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年2.9%
- 平成22年1月1日から平成25年12月31日までの期間は、年4.3%
- 平成21年1月1日から平成21年12月31日までの期間は、年4.5%
- 平成20年1月1日から平成20年12月31日までの期間は、年4.7%
- 平成19年1月1日から平成19年12月31日までの期間は、年4.4%
- 平成14年1月1日から平成18年12月31日までの期間は、年4.1%
- 平成12年1月1日から平成13年12月31日までの期間は、年4.5%
2.(2) 納期限の翌日から2月を経過した日以後
原則として年「14.6%」
ただし、平成26年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか
低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
平成27年1月1日から平成27年12月31日までの期間は、年9.1%
平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年9.2%
3.(注3) 特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新
規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日ま
でに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。
2 不納付加算税が課されない場合
このように、法定納期限までに源泉所得税を納付しなかった場合には
不納付加算税が課されますが、期限後納付となったことについて「正当
な理由」がある場合には、不納付加算税を課さないこととされています。
「正当な理由」にあたるものとして、例えば、次のようなケースが示
されています。
(1) 従業員などが提出した、扶養控除等申告書、配偶者特別控除申告書、
保険料控除申告書等をもとに行った控除が過大であった場合で、会社な
ど源泉徴収義務者側の責めに帰すべき事由があると認められないとき。
(2) 災害、交通・通信の途絶など、真にやむを得ない事由があると認め
られるとき。
(3) その他、たまたま納付するのが遅れたという、いわゆる”うっかり
ミス”による期限後納付についても措置が施されており、法定納期限の
翌日から1か月以内に納付され、かつ次のいずれかに該当するときも「
正当な理由」があるものとされています。
① その直前1年分について納付の遅延をしたことがないこと(偶発的な
納付遅延)
② 新たに源泉徴収義務者となった者の初回の納期に係るものであるこ
と(初回の納付遅延)
なお、不納付加算税が課されない場合でも、延滞税は課される場合が
ありますので、ご注意ください。