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第46回税務調査の目のつけどころ…消費税(その5)

(3) 仕入税額控除

@ 給与等人件費

@ 従業員に係る通勤手当を課税仕入の対象としていなかったもの(認容)

 

⇒給与自体は仕入税額控除の対象とはなりませんが、通勤手当のうち、現に

その通勤の費用に充てられる部分の金額については仕入税額控除の対象とな

ります。これは、所得税の非課税限度額を超える通勤手当であっても差し支

えありません。

 

A 出向料を課税仕入としていたもの

 

B 労働者派遣会社に対して支払った派遣料を課税仕入の対象としていなか

ったもの(認容)

 

⇒労働者派遣に対する対価は、給与に該当しないことから仕入税額控除の対

象となりますが、出向料は給与として取り扱われ、仕入税額控除の対象とな

りません。

 

A 旅費

 海外出張に係る費用を課税仕入としていたもの

 

⇒海外出張の場合の航空運賃、宿泊費、食事等の雑費は輸出免税や国外取引

に該当するため課税仕入には該当しません。ただし、海外出張の際の国内鉄

道運賃や国内宿泊費等課税仕入に該当する部分で、他の海外出張費用と区分

しているときは、その部分については仕入税額控除の対象となります。

 

B 交際費等

@ 贈答用ビール券、商品券等の購入費用を課税仕入としていたもの

 

⇒ビール券、商品券等の物品切手の購入は非課税とされ、仕入税額控除の対

象となりません。

 

A 香典、見舞金、お祝い金等を課税仕入としていたもの

 

⇒香典、見舞金、お祝い金等は資産の譲渡等の対価として支払われるもので

はなく、仕入税額控除の対象となりません。

 

C 寄附金

@ 自社でパソコンを購入し、地元の小学校に寄附した費用を課税仕入の対

象としていなかったもの(認容)

 

A 地元の小学校がパソコンを購入するための資金を寄附したが、その額を

課税仕入の対象としていたもの

 

⇒現金を寄附した場合には、仕入税額控除の対象となりませんが、物品を寄

附した場合で、その物品の取得が課税仕入に該当するときは、その課税仕入

は仕入額控除の対象となります。

 

D 会費

 同業者団体に係る通常会費を課税仕入としていたもの

 

⇒同業者団体、組合等に係る会費については、その団体としての通常の業務

運営のために経常的に要する費用を分担させ、その団体の在立を図るという

ような性質の会費(通常会費、一般会費等)については、通常、役務の提供

に係る対価に該当しないものとされています。

 

 ただし、名目が会費であっても、それが実質的に購読料、映画、演劇等の

入場料、研修受講料、施設利用料等と認められるときは仕入税額控除の対象

となります。

 

E 租税公課

@ 駐車違反に係る、交通反則金、レッカー移動料、車両保管料を仕入税額

控除の対象としていたもの

 

⇒交通反則金はもとより、レッカー移動料、車両保管料についても仕入税額

控除の対象とはされません。これは、レッカー移動料や車両保管料は、往来

の妨げとなる違反駐車車両を移動しなければならないことに対する一種の損

害賠償金であるという考え方から導き出された取扱いです。

 

A 軽油引取税、ゴルフ場利用税、入湯税を課税仕入の対象としていたもの

 

⇒消費税の対象となる課税資産の譲渡の対価の額には、酒税、たばこ税、揮

発油税等は含まれますが、軽油引取税、ゴルフ場利用税、入湯税は利用者が

納税義務者となっているという理由から対価の額には含まれません。

 

F 仕入

 請求書等の原始記録を紛失したため、商品受払簿で数量計算を行い、仕入

の事実を立証して法人税において損金処理が認められた取引につき、課税仕

入の対象としていたもの

 

⇒原則課税により仕入税額控除を受けるためには、課税仕入の事実を記録し

た帳簿及び課税仕入の事実を証する請求書等の両方の保存が必要とされてい

ます。これは、法人税の所得税において損金として認められる基準よりも厳

しくなっています。

 

 なお、支払対価が一回3万円未満の取引については、請求書等の保存は要

せず帳簿のみの保存で足りるとされています。

 

G 建設仮勘定、未成工事支出金

@ 建設仮勘定として計上した金額のうち役務の提供が完了した部分を、課

税仕入の対象としていなかったもの(認容)

 

A 工事に係る手付金、前払金を課税仕入の対象としていたもの

 

⇒消費税においては、役務の提供等が完了しているかどうかにより仕入税額

控除の可否が決定されます。したがって、建設仮勘定の中に役務の提供が完

了している工事に係る対価が含まれていれば、その工事の対価は仕入税額控

除の対象となります。

 

 逆に、手付金、前払金を支出したとしても、役務の提供がまだ完了してい

ない場合、その支出時点では仕入税額控除は認められません。

 

H 低廉取得

 親会社から資産を低額で譲り受け、受贈益を計上した場合に、受贈益計上

後の金額を仕入税額控除の対象としていたもの(認容)

 

⇒消費税の課税標準となる譲渡対価の額は、対価として「収受すべき」額であ

るとされています。この「収受すべき」額はその資産の時価ではなく、その譲

渡により当事者間で授受することとした対価の額をいいます。

 

I 貸倒損失、貸倒引当金繰入

@ 貸付金につき貸倒処理したにもかかわらず、その金額の一部を消費税申

告の際、控除していたもの

   

 

A 個別評価に係る貸倒引当金繰入額を消費税の控除対象としていたもの

 

⇒課税売上に関して発生した債権を貸倒処理した場合、その債権に係る消費

税部分については消費税額から控除することができます。しかし、その対象

となる債権については、売掛金等その債権発生時に消費税が含まれている債

権に限られますので、事例のような貸付金についてはその適用はありません。

 

J 課税事業者から免税事業者になった場合

 翌期は免税事業者になるにもかかわらず、期末の棚卸資産に係る仕入を仕

入税額控除の対象としていたもの

 

⇒課税事業者が免税事業者になった場合、免税事業者となる課税期間直前の

課税期間中に課税仕入を行った棚卸資産のうち、期末保有分に係る消費税額

については、その期の課税仕入の税額から控除する必要があります。

 

K 課税売上割合

@ 土地を売却し課税売上割合が95%未満となっているにもかかわらず、課

税仕入税額全額を控除対象としていたもの

 

⇒課税売上割合が95%未満となった場合には、課税仕入税額の全額が控除対

象となりません。当事業年度に土地を売却したり、住宅の貸付事業を新たに

開始した事業年度においては、課税売上割合が95%未満となっていないかを

チェックする必要があります。

 

A 有価証券売却額の5%相当額を、課税売上割合算定における計算式の分母

に含めていなかったもの

 

⇒課税売上割合算定の際、有価証券売却額の5%相当額を考慮にいれていなか

ったという事例がよく見受けられますので、注意が必要です。

 

(4) 簡易課税制度

@ 簡易課税制度選択の要件

 平成1641日以降に開始する基準期間の課税売上高が5,000万円超である

にもかかわらず、簡易課税制度を適用していたもの

 

A 簡易課税制度の取りやめ

 前事業年度に初めて簡易課税制度を選択したにもかかわらず、当事業年度に

おいて簡易課税を取りやめ、原則課税方式により消費税の計算を行おうとして

いたもの

 

⇒いったん簡易課税制度を選択してしまうと、事業を廃止した場合を除き、2

年間継続して簡易課税を適用しなければ、その適用をやめることは認められま

せん。

 

B 兼業の場合におけるみなし仕入率の適用

 卸売業に係る課税売上高70%、小売業に係る課税売上高30%の兼業法人が、

全課税売上につき卸売業のみなし仕入率を適用していたもの(参考:卸売業の

みなし仕入率90%、小売業のみなし仕入率80%)

 

2種以上の事業に係る課税売上がある場合、特定の1種類の事業に係る課税売

上高が総課税売上高の75%以上を占める場合には、すべての課税売上について、

その75%以上を占める事業に係るみなし仕入率を適用することができます。

 

(5) 申告書、各種届出書の提出等

@ 簡易課税制度選択届出書

@ 「消費税簡易課税制度選択届出書」を簡易課税により計算した申告書と同

時に提出していたもの

 

⇒「消費税簡易課税制度選択届出書」は適用する事業年度開始前に提出する必

要がありますので、事業年度開始前までに、次事業年度において簡易課税によ

り申告するか否かの意思決定を行う必要があります。

 

A 過去において「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しているにもかか

わらず、原則課税により申告を行っていたもの

 

B 従来、簡易課税制度を適用していた者が、「消費税簡易課税制度選択不適

用届出書」を提出することなく、原則課税による申告書を提出していたもの

 

⇒簡易課税を選択すると、その効果は「消費税簡易課税制度選択不適用届出書

」を提出するまで消滅しません。したがって、基準期間の課税売上高が簡易課

税を選択できない5,000万円超の事業年度でも、簡易課税を選択しているとい

う効果は潜在的に残っており、将来、基準期間の課税売上高が再び5,000万円以

下となった場合には簡易課税による申告を行う必要があります。

 

A 課税事業者選択届出書

 免税事業者が「消費税課税事業者選択届出書」を提出することなく当事業年

度の課税売上高が1,000万円超であるという理由で消費税の還付申告を行ってい

たもの

 

⇒免税事業者(基準期間の課税売上高が1,000万円以下の法人)については「消

費税課税事業者選択届出書」を事業年度開始前までに提出しない限り、消費税

の申告は認められないことになります。

 

B 消費税の申告期限延長

 法人税の申告において申告期限延長の承認を受けたという理由により消費税

の申告を決算日から3か月後に提出していたもの

 

⇒消費税申告書の提出期限は、たとえ法人税の申告において申告期限延長の承

認を受けていたとしても、事業年度終了後2か月以内となります。これは、法

人税と異なり、税額計算を、確定した決算すなわち株主総会により承認された

決算書に基づき行う必要がないためです。

 

 

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