第４回②についてサービスの質を平準化して、２００％向上させるための

フレームワークその１

 

　 サービスの質の平準化と向上は介護サービス業界の中で常に掲げられて

きた課題である。場当たり的な取り組みになったり、掛け声倒れにならない

ための手法である「平準化のフレームワーク」について考えてみたい。

 

 ①なぜサービスの質の平準化が強く求められるのか 

 「良いサービスをして、利用者に幸せになってほしい」と考えるのは法人

の種別、職種、階層に関わらず、介護サービスに携わる者の共通の願いである。

しかし、願いは同じでもサービスを提供するものによって「サービスの質」の

差はどうしてもうまれてしまう。サービスの平準化とは何か。「平準化＝平均化

ではない。目指すサービスレベルに全体を可能な限り引き上げることがサービス

の質を平準化することの目的であって、決して「平均的なサービスがしたいので

はない」ということが分かってもらわなければならない。しかし、この課題は効

果測定がしにくいため後回しになりがちであるが、次にのべるような介護業界を

取り巻く今日の事業環境からは優先順位が増している。

 サービスの質の低下により介護業界の信頼性はさらに低下することになる 

 

大きな社会問題となったコムスン問題の影響で世間の介護業界に対するイメージ

は著しく悪化した。この悪化したイメージを払しょくし信頼を取り戻すため、ま

た、事業者として生き残っていくためにはサービスレベルの平準化と向上は不可

欠である。

 

 競合との最大の差別化要因はサービスの質の向上である

 

 ２００６（平成１８年）年度の介護保険制度改正での報酬減による影響に

より､すでに供給過剰上状態であった「訪問介護」「福祉用具」）などは事

業者数が減 少していた。また、比較的収益状況が良いとされる「通所介護」

「有料老人ホーム」「高齢者専用賃貸住宅」などに関しても、地域によって

はすでに厳しい競争状態に ある。

 

今後はその収益性の高さから大手をはじめ、訪問系を中心としていたサー

ビス事業者からの進出が加速すると考えられる。

 

また、医療制度改革により「在院日数・病床数の削減」が進められる医療

業界からも､患者の受け皿、囲い込みのための介護業界進出が増えている。

このような生き残り時代 に突入する中では当然最大の差別化要因である

「サービスの質」の平準化と向上の重要 性は高くなる。

 

   なお、２１年４月からの介護保険制度改正での報酬増による影響がどう

 出るかは興味のあるところである。

 

 人材確保難のときにおいて職員定着率を高めるためにはサービスを平準化

できる組織的な取り組みが必要 

 

 人材確保のための一番の対策は定着率を上げること。そして、定着率を

向上させるためには「安心して仕事に取り組める環境」をつくることが

大切である。

 

　 対人援助サービスである介護（特に利用者宅がサービス提供場所になる

 訪問系サービス）はサービスを行う状況が目まぐるしく変化する。このよ

 うな状況では臨機応変な対応が求められ必然的に職員の裁量による判断が

 多くなる。

 

 

  このような裁量が多くなる職場において職員は不安や迷いを抱くことも

 多くなろう。そして、ひいては上司は職場全体に対して不満を抱くこと

 につながる。これは定着率を押し下げる大きな要因になる。

 

　このような状況においては「サービスの質の平準化と向上」は後回しに

 はできない大きな課題となっている。

 

　この問題を解決するためには「ケア計画作成～サービス提供・記録～

 アセスメント・評価～ 修正」といった個々のサービス提供プロセスの中

 だけでなく、組織的な取り組み（マネジメント）が欠かせないのである。