税務調査を法的に考えるQ&A
Q 36 無予告調査はどう対処するか
無予告調査については第6回「無予告調査の要件とは」において、無予告調査の法的要件について解説していますので参照してください
無予告調査を受けたことがある方はご理解いただけるのですが、無予告調査 は納税者側で何も事前準備ができないこともあり、また調査官側も通常の税務調査とは違い、帳簿等を精緻に確認するというより、現場で否認根拠となる証拠を見つけるというスタンスから、粗い調査になりがちで、トラブルが起こる大きな要因と考えられます。
このことから、法的要件を満たしている場合であったとしても、無予告調査をそのまま受けることは、できる限り回避すべきなのです。
その一方で、事前通知の有無にかかわらず、税務調査はあくまでも質問検査権の行使ですから、納税者には受忍義務があり、税務調査そのものを断ることはできません。具体的には、第3回「質問検査権と受忍義務の関係」を参考にしてください。
それでは、無予告調査 にはどのように対応すべきなのでしょうか?
税務調査には受忍義務があり、断ることはできないのですが、しかし、調査官が来たら「その時に」「その場で 」調査を受けなければならない、という法的規定ではありません。
ですから、無予告調査 が来たら、下記のように対応すべきなのです。
【無予告調査の正しい対応方法】としては
(1)事業所内に入れないこと
「税理士に連絡しますのでそのままで少々お待ち下さい」と伝え税理士が来るまで待ってもらう。
(2)今日は予定がある旨を伝える
「今日は今から仕事があるので無理なのです」と伝え日時を変更してもらう。
(3)次の調査予定を決める
「来週であれば○○日(〇曜日)が大丈夫なのですが」と伝える
このように対応すれば、あくまでも税務調査を拒否いるのではなく、「今(今日)は調査を受けることができない」ということで、無予告調査 を回避することができるのです。
当事務者は、上記の対応方法を顧問先・関与先に指導し、実践してもらっています。