税務調査を法的に考えるQ&A
Q 16 税務調査の対象期間は何年(1)
税務調査の実務では、通常「3年」になっている調査対象期間ですが、否認項目が出てくれば「5年」に遡られるケースもあり、脱税だと「7年 」と言われるケースもあります。
税務調査における遡及年数は、実際のところ何年が正しいのでしょうか? 税務調査における遡及年数を定めた法律はありません。一方で、(増額)更正の年数を定めた法律があります。
税務調査において、誤りがあった場合は、修正申告もしくは(税務署による)更正になるわけですから、調査年数は更正の期間に依存すると考えられます。
更正の除斥期間は、下記条文が原則となっています(一部省略)。
国税通則法第70条
「次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から5年を経過した日以後においては、することができない。」
となっています。
つまり原則として、更正は「5年」できるのですから、税務調査の対象年数は「5年 」になります。
なお、下記のような一部例外の税目があります。
法人税で純損失等に関する更正:9年(通則法第70条(2))
法人税で移転価格税制に関する更正:6年(措置法66条の4(17))
贈与税:6年 (相続税法36条(1))
となっています。それ以外はすべて、「5年」です 。
つまり、通例では3年となっている調査期間も、本当は5年間遡ることができるというわけなのですが実務上3年 で済んでいる(税務署が済ませている)だけです。
ですから、税務調査の事前通知で、当初3年と言われていたものが、否認項目が出てきた関係で、調査官から「調査期間を5年にします 」と言われれば、断ることができない、というわけです。