税務調査を法的に考えるQ&A
Q 11 不当な税務調査がなされた場合は
税務調査を行う調査官に質問検査権の権限が与えられ、かつ納税者には受忍義務(罰則規定)があることをもって、税務調査は法的に成り立っているのですが、実はその反面、質問検査権の範囲を逸脱した(不当な・違法な)税務調査が行われた場合の罰則規定はありません。
ここで、違法性のある税務調査が行われてしまった場合、何を根拠に税務署に訴えを起こせばいいのでしょうか。
このような場合、税法ではなく、国に対する違法請求になりますから、下記の法律が適用根拠になります。
国家賠償法第1条
「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」
この規定は当然に課税当局に対しても適用になります。
国家賠償法を根拠にする要件としては、「故意又は過失」ですから、調査官が質問検査権を逸脱するような言動を行った場合には、税務調査の現場で是正を促すとともに、「これ以上不当な税務調査を行う場合には、故意又は過失があったとして、国家賠償法による訴えも辞さないですが、よろしいですか?」と歯止めをかけることが大事になります。
これは私たち税理士にとって頭の中に入れておかなければならないことだと思います。