〈a href="https://plus.google.com/u/0/102667563044732818612?rel="author"〉+Naoyuki Shibata

〒470-0113 愛知県日進市栄2丁目1306番地 ノースステージ2F

営業時間
8:30~17:00
定休日
土日祝祭日

Q4-13 納税者側が最終的に勝訴した判決にはどのようなものがあるのですか。

A

ここ3年で見ますと、最高裁が納税者側逆転勝訴を言い渡した主な判決は以下のとおりです。最高裁がだいぶ租税法律主義を意識していることは明らかですが、いわゆる武富士巨額訴訟判決への風当たりは相当なものと思われ、今後の動向が注視されます。 

 

解説

 

①最高裁平成21年12月3日第一小法廷判決・いわゆるガーンジー島判決

最高裁第一小法廷は、「ガーンジーで納付した所得税も外国法人税に該当しないとはいえない。」として高裁判決を−部破棄、地裁判決も一部取り消して、実質的に納税者側逆転勝訴判決を言い渡しました。この最高裁判決は、実務家、学者の間においてはおおむね好感を持って受け入れられているように思われますが、東京地裁、東京高裁が原告の主張を一蹴してきていたのに、これら判決を「租税法律主義にかんがみると・・・」と言ってばっさり一蹴しています。

 

②最高裁平成22年3月2日第三小法廷判決・いわゆるホステス報酬源泉判決

ホステス報酬に係る源泉所得税額の計算の誤りを税務署から指摘されて差額分の納税の告知および不納付加算税の賦課決定を受けたことから経営者側が訴訟を提起したというものです。この訴訟においては、所得税法施行令322条にいう「当該支払金額の計算期間の日数」の意義が問題となったのですが、高裁が、国側の主張を容れて、「ホステスさんの契約関係と稼働実態を前提としたその必要経費というものを考えれば、ここにいう『日数』とは、『集計期間の通算日数』ではなくて、『実際の出勤日数』をいうものと考えるべき。」としたのに対し、最高裁は、「租税法規はみだりに規定の文言を離れて解釈すべきでない。普通に考えて、『期間』とは、時間的連続性を持った概念であり、これと異なる解釈を採るべき根拠となる規定もない。であれば、『日数』とは、『実際の稼働日数jではなく、『当該期間に含まれるすべての日数』を指すのは明らか。」として、高裁に差し戻しました。

 

③平成22年4月20日第三小法廷判決・長期譲渡所得の特別控除額の特例の適用の可否を判断した判決

これは、国側逆転勝訴となった平成22年4月13日判決の「市を被告とする国賠バージョン」ともいうべきものですが、長期譲渡所得の特別控除の特例の適用があるなどと市の担当職員が誤った教示をしたから更正処分等を受けて損害を被ったとして原告が国家賠償法に墓づいて被告市に対してその損害の賠償を求めたのに対し、最高裁は、担当職員の教示・指導は違法な公権力の行使に当たり、かつこれにより過少申告加算税相当額の損害が原告に発生 により過少申告加算税相当額の損害が原告に発生したとして、破棄差戻しとしました。

 

④最高裁平成22年6月3日第一小法廷判決・いわゆる固定資産税過納金国賠訴訟判決

本件は、倉庫を所有してその固定資産税等を納付してきた上告人が、各賦課決定の前提となる価格の決定には倉庫の評価を誤った違法があるとして、国賠法に基づき、被上告人に対し、15年分の固定資産税等の過納金等を請求したというもの。

 

最高裁は、「・・・たとい固定資産の価格の決定及びこれに基づく固定資産税等の賦課決定に無効事由が認められない場合であっても、公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは、これによって損害を被った当該納税者は、地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく、国家賠償請求を行い得る・・・」、「・・・国家賠償法1条1項は、『国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。』と定めており、地方公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときは、当該地方公共団体がこれを賠償する責任を負う。

 

前記のとおり、地方税法は、固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができる事項に 審査委員会に審査を申し出ることができる事項について不服がある固定資産税等の納税者は、同委員会に対する審査の申出及びその決定に対 、同委員会に対する審査の申出及びその決定に対する取消しの訴えによってのみ争うことができる旨を規定するが、同規定は、固定資産課税台帳に登録された価格自体の修正を求める手続に関するものであって(435条1項参照)、当該価格の決定が公務員の職務上の法的義務に違背してされた場合における国家賠償責任を否定する根拠となるものではない。」と判示しました。

 

⑤最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決・いわゆる生命保険二重課税判決

本件は、年金払い特約付きの生命保険契約に基づく年金として年金の支払を受けた上告人が、税務署長から当該年金の額から必要経費を控除した額を上告人の雑所得とするよう更正を受けたことから、当該年金は相続税法3条1項1号所定の保険金に該当していわゆるみなし相続財産に当たるから所得税法9条1項15号により所得税を課することができないとして、その一部取消しを求めたという事案ですが、最高裁は、まず、所得税法9条1項の解釈論を展開して、「・・・所得税法9条1項は、その柱書きにおいて「次に掲げる所得については、所得税を課さない。」と規定し、その15号において「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。)」を掲げている。

 

同項柱書きの規定によれば、同号にいう「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」とは、相続等により取得し又は取得したものとみなされる財産そのものを指すのではなく、当該財産の取得によりその者に帰属する所得を指すものと解される。

 

そして、当該財産の取得によりその者に帰属する所得とは、当該財産の取得の時における価額に相当する経済的価値にほかならず、これは相続税又は贈与税の課税対象となるものであるから、同号の趣旨は、相続税又は贈与税の課税対象となる経済的価値に対しては所得税を課さないこととして、同一の経済的価値に対する相続税又は贈与税と所得税との二重課税を排除したものであると解される。」とした上で、本件へのあてはめとして、「・・・本件年金受給権は、年金の方法により支払を受ける上記保険金のうちの有期定期金債権に当たり、また、本件年金は、被相続人の死亡日を支給日とする第1回目の年金であるから、その支給額と被相続人死亡時の現在価値とが一致するものと解される。そうすると、本件年金の額は、すべて所得税の課税対象とならないから、これに対して所得税を課することは許されない・・・」と判示しました。

 

⑥最高裁平成23年2月18日第二小法廷判決・いわゆる武富十巨額訴訟判決

本件は、上告人が、その両親から外国法人に係る出資持分の贈与を受けたことにつき、所轄税務署長から相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの。)1条の2第1号および2条の2第1項に墓づき贈与税の決定処分および無申告加算税の賦課決定処分(以下、これらを併せて「本件各処分」という。)を受けたため、上告人は上記贈与を受けた時において国内に住所を有しておらず上記贈与に係る贈与税の納税義務を負わない旨主張して、本件各処分の取消しを求めている事案です。

 

最高裁は、「原審は、上告人が贈与税回避を可能にする状況を整えるために香港に出国するものであることを認識し、本件期間を通じて国内での滞在日数が多くなりすぎないよう滞在日数を調整していたことをもって、住所の判断に当たって香港と国内における各滞在日数の多寡を主要な要素として考慮することを否定する理由として説示するが、前記のとおり、一定の場所が住所に当たるか否かは、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かによって決すべきものであり、主観的に贈与税回避の目的があったとしても、客観的な生活の実体が消滅するものではないから、上記の目的の下に各滞在日数を調整していたことをもって、現に香港での滞在日数が本件期間中の約3分の2(国内での滞在日数の約2.5倍)に及んでいる上告人について前記事実関係等の下で本件香港居宅に生活の本拠たる実体があることを否定する理由とすることはできない。

 

このことは、法が民法上の概念である「住所」を用いて課税要件を定めているため、本件の争点が上記「住所」概念の解釈適用の問題となることから導かれる帰結であるといわざるを得ず、他方、贈与税回避を可能にする状況を整えるためにあえて国外に長期の滞在をするという行為が課税実務上想定されていなかった事態であり、このような方法による贈与税回避を容認することが適当でないというのであれば、法の解釈では限界があるので、そのような事態に対応できるような立法によって対処すべきものである。」とばっさり切りました。

 

私は、この判断は租税法の解釈として至極真っ当と考えますが、物議を醸し出していることは周知のとおりであります。

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
0561-75-6634

担当: 柴田(しばた)

営業時間:8:30~17:00
定休日:土日祝祭日

対応エリア
名古屋、日進、東郷、長久手、みよし、豊田他

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ

0561-75-6634

<営業時間>
8:30~17:00
※土日祝祭日は除く

柴田尚之税理士事務所

住所

〒470-0113
愛知県日進市栄2丁目1306番地 ノースステージ2F

営業時間

8:30~17:00

定休日

土日祝祭日

介護、医療系事業者の方
法人設立手続きから税務

労務までフルサポート
柴田尚之税理士事務所

office_side3.jpg

(業務エリア:名古屋、日進、東郷、長久手、みよし、豊田他)

愛知相続サポートセンター

Facebook

パート募集