Q4-5 租税訴訟が通常の民事裁判と異なる点について教えてください。
A
租税訴訟は行政訴訟の一類型であり、行政訴訟は民事訴訟の一類型ですから、その意味では、通常民事訴訟と異なるところはありませんが、行政訴訟そして租税訴訟ゆえの特殊性に起因する差異が生じることとなります。
解説
租税訴訟は、民事訴訟の一類型である行政訴訟の一類型として、民事訴訟のひとつであることには変わりがありません。したがって、行政事件のための特別の手続法である行政事件訴訟法の適用なき限り、通常民事訴訟と同様に取り扱われることになります(行政事件訴訟法7条。なお、行政訴訟としての租税訴訟については、その特別法としての国税通則法が行政事件訴訟法に優先して適用されます(国税通則法114条)。)。つまり、租税訴訟においても、通常民事訴訟と同様、民事訴訟法が適用されることになります。
もっとも、これを言い換えれば、租税訴訟においては、その特殊性ゆえ、行政事件訴訟法や国税通則法が適用されます。行政事件訴訟法や国税通則法といえば、弁護士等法曹の中でもいわば「難解な法律」として毛嫌いされており、その条文部分の六法全書を開いたことがないという法曹すらいてもおかしくないほどではありますが、テクニカルな問題があるだけで、条文数も少ないし、表面的に理解する分にはさほど難しいものではありません。
これら特別法が適用されてこれによって法律関係ないし法手続関係が規定されることが、通常民事訴訟との違いということになります。
実際上の違いというと、東京地裁の場合、通常民事訴訟については通常部で審理されるのですが、租税訴訟については行政部で審理されるという違いが出てくることになりますが、この点は後述します。
訴訟類型概略図
租税訴訟の適用法律関係
国税通則法(更に特別法)
↑
行政事件訴訟法(特別法)
↑
民事訴訟法(一般法)