Q3-3 審査請求の流れについて教えてください。
A
審査請求書の提出によって始まり、担当審判官を介して原処分との書面によるやり取りが行われ、その後裁決へと進んでいきます。書面(反論書)の提出の際には、当方の主張を裏付けつ証拠資料の提出をすることもできますし、逆に原処分庁が課税証拠として提出した資料を閲覧することもできます(国税通則法第96条2項)。
なお、審判所の審理には職権探知主義が採用されています。したがって、質問検査権が審判官に与えられていますので(同法第97条1項)、関係者に対していわゆる反面調査と呼ばれているような調査が行われることがあります。
解説
審査請求は審査請求書を納税地を管轄する国税不服審判所に期限内に提出することにより開始されます(国税通則法第75条3項、第87条1項)。
審査請求書が提出された国税不服審判所は、原処分庁から答弁書が提出されるとその事案を担当する審判官を指定します(同法第94条)。原則は事案を順番に審判部の審判官に割り振ることになっていますので、どの審判官が担当するかはふたを開けてみるまでわからないことになります。
審査請求人には、国税不服審判所から担当審判官のお知らせと原処分庁から提出された答弁書が送付されてきます(同法第63条6項)。そしてこの答弁書に対する反論を行うことにより、審査請求が進んでいくことになります。(当然に原処分庁からも、こちらの主張に対する反論書が提出されることになり、これもまた担当審判所から審査請求人に写しが送付されてきます。
原処分庁から提出された反論書等に対しても再反論等を行うことができ、そしてこれが繰り返されていきます。)。両者の主張が出揃うと、担当審判官を含む3人の審判官ないしは副審判官からなる合議体において合議をし、その事案に対する議決(結論)を出します。そしてこの議決書に基づいて裁決が行われることになります。
これが大雑把な流れですが、この過程において適切な反論を行うために、審査請求人に認められた権利として閲覧請求権があります(同法第96条2項)。これは、原処分庁から担当審判官に提出された課税根拠となる資料に関して閲覧をすることができるという権利です。さらに文章ではうまく自分の主張が担当審判官に伝わらないと思われるときには、口頭意見陳述を行うことも認められています。
これらの行為は審査請求人本人が行うこともできますし、逆に審査請求人は全く表に出ず、すべてを代理人に任せることもできます。極端な場合には、審査請求人は一度も担当審判官と接触することなく、裁決を迎えることも可能です。
また、担当審判官には結論を導き出す手段として関係者に対する質問検査を行う権限が与えられています(同法第97条1項)。これを職権探知主義といい、このために与えられた公権力が質問検査権です。当然にこの審判官に与えられた質問検査権には、質問検査に応じない者に対する罰則規定が規定されていますので(同法第127条本文)、間接強制力が働くことになります。
ただし、審査請求人にだけはこの罰則規定の適用がありませんので(同条ただし書。納税者救済の制度ですから適用がないのは当然ですが。)、自分に都合の悪い質問や検査に対しては答える必要はありません。間接強制がない代わりに、不答弁等の場合には、その質問等に対応する審査請求人の主張は採用されないことになります(同法第97条4項)。